インフルエンザワクチンに防腐剤?妊婦や子供への安全性は?

インフルエンザワクチンに含まれている防腐剤(チメロサール)について薬剤師監修で解説。防腐剤の安全性、妊婦・授乳婦・子供への影響、防腐剤フリーのワクチンも紹介します。2017-2018年度のワクチン製造状況についても掲載!

インフルエンザの予防接種で注射するワクチンの中には、防腐剤(チメロサール)が含まれているものがあります。

妊娠中の方や小さな子どもがいる保護者の中には、防腐剤が含まれているインフルエンザワクチンの影響について心配する声もあります。

この記事では、インフルエンザワクチンに含まれる防腐剤について、正しい情報や安全性、防腐剤フリーのワクチンについても紹介します。

インフルエンザワクチンに含まれる防腐剤

インフルエンザワクチンには細菌汚染防止を目的として、ワクチンにごく微量の防腐剤が含まれています。含まれている防腐剤は「チメロサール」という優れた抗菌作用のある水銀化合物です。チメロサールは古くから世界各国でワクチンの保存剤として使われてきた物質です。

チメロサールは、「エチル水銀」と呼ばれる有機水銀に由来する物質です。

水銀といえば毒性のあるイメージがありますが、「エチル水銀」は毒性のある水銀とは異なります。水俣病の原因となるような神経系障害を引き起こす水銀は「メチル水銀」です。

チメロサールの「エチル水銀」は「メチル水銀」より体内に蓄積される時間がはるかに短く、体から排出される時間も短いことが特徴です。

防腐剤チメロサールの安全性は?

チメロサールは1990年代に自閉症などの発達障害との因果関係が指摘されたため、毒性の有無が問題視されました。

しかし、多数の研究が進んだ現在では、チメロサールと自閉症や発達障害との関連性はないとされています。WHO(世界保健機関)をはじめとする世界各国でも毒性について根拠のある証明はされていません。

チメロサールを含んだワクチンの使用で、発熱、接種した部位の腫れや痛み、かゆみなどの過敏性反応以外の副反応となる症状が起こる場合でも、チメロサールが原因だという根拠はないとされています。

インフルエンザのワクチンに防腐剤が含まれているのは、細菌汚染のリスクから安心して予防接種を受けるために必要なものなのです。

チメロサールは除去・減量の方針

チメロサールの安全性は認められていますが、WHOでは各国に向けてより安全なワクチンの使用を推奨しています。チメロサールの量を可能な限り減らし、将来的には代わりとなる保存剤を開発して完全に取り除くことを勧告しています。

現在は各国ともワクチンからのチメロサール除去・減量の努力を行っており、防腐剤入りのワクチンに含まれるチメロサールの量は、1990年代に比較しても1/10以下(0.004 ~0.008mg/mL)程度と大きく減量されています。この量は米国環境保護庁が定める基準をはるかに下回っています。

インフルエンザワクチンの防腐剤の妊婦・授乳婦・子供への影響は?

防腐剤を含んだインフルエンザワクチンの危険性は認められていません。

厚生労働省の見解では、防腐剤のチメロサールが含まれていても、インフルエンザワクチンの予防接種を行ったほうが有益であるとしています。

心配な方は防腐剤フリーのワクチンを

防腐剤などの添加物が含まれない防腐剤フリーのワクチンも製造されています。防腐剤フリーのワクチンでは、接種した部位によるにアレルギー反応や、注射するときの痛みや腫れなどの症状の軽減が期待できます。

妊娠中の方や小さな子どもの予防接種の際には、防腐剤フリーのワクチンの使用がより安全で安心できるでしょう。

しかし、防腐剤フリーのワクチンは数量が限られていたり、使用するにあたってコストがかかるため、防腐剤が含まれているワクチンより割高になるケースがほとんどです。

妊婦や子どもはインフルエンザワクチンの接種が優先的に行われるので、防腐剤フリーのワクチンによる予防接種を希望する場合は、事前に医療機関に確認しましょう。

妊娠中の方のインフルエンザの予防接種について詳しくは関連記事をごらんください。

授乳中の方への影響

授乳期間中の方が、インフルエンザワクチンを接種する場合でも支障はないとされています。

インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、ウイルスが体内で増えることはないため母乳を介して赤ちゃんに影響を与えることはありません。

防腐剤がどうしても気になる場合は、医師と相談して防腐剤フリーのワクチンを選びましょう。

2017/2018シーズンは防腐剤フリーのワクチンあり

2016/2017シーズンのインフルエンザワクチンは、2016年の熊本地震の影響により防腐剤を含んだワクチンの製造に統一されたため、防腐剤フリーのワクチンは製造されませんでした。

2017/2018シーズンは2017年9月現在、防腐剤フリーのワクチン(シリンジタイプ)が一部の製薬メーカーで製造再開されました。

ほかの製薬会社でも防腐剤フリーのワクチンの製造を再開する可能性もありますが、現在のところは製造量は少なく、各クリニックが取り扱う数量は例年より少ない見込みです。

防腐剤フリーのワクチンを希望する場合は、取り扱っている医療機関を確認し、早めに予約を取りましょう。

おわりに

インフルエンザワクチンに含まれる防腐剤は、体への悪影響は心配ないと考えられています。防腐剤の有無を過剰に心配する必要はありません。

妊娠中の方などが気になる場合は、医師に相談して防腐剤フリーのワクチンの使用を検討することをおすすめします。

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