HIV感染者/AIDS患者にインフルエンザが脅威になる理由

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者またはAIDS(エイズ)患者の場合、インフルエンザなどのウイルス性感染症には十分な注意が必要です。

HIVウイルスは体内の免疫細胞を傷つけ死滅させるため、インフルエンザなどのウイルス性感染症に対する身体の免疫力が低下します。

免疫細胞が傷つくことでインフルエンザに感染しやすくなり、感染した時も肺炎などの合併症を引き起こしたり、症状が重症化しやすくなります。

HIV感染者/AIDS患者の場合、インフルエンザに起因する肺や胸の病気で入院するリスクが高くなり、最悪の場合は死に至るケースも報告されています。

インフルエンザのハイリスク群

インフルエンザにかかると肺炎などを併発し重症化する可能性の高いグループのことをハイリスク群といいます。

免疫不全症であるHIV感染者の方は、このハイリスク群に当てはまります。

・慢性呼吸器疾患
・慢性心疾患
・糖尿病などの代謝性疾患
・腎機能障害
・ステロイド内服などによる免疫機能不全 など

インフルエンザの予防接種の効果とは

HIV感染者/AIDS患者の場合は、インフルエンザの予防対策として、ワクチン接種が推奨されています。

インフルエンザの予防接種には、インフルエンザウイルスの感染を防ぐ働きはありませんが、感染後の発症と発症後の重症化を予防する効果が認められています。

インフルエンザの流行は、毎年12月頃からはじまり1月から3月にピークを迎える傾向があります。

インフルエンザワクチンは接種して2週間後ぐらいから効果を発揮し、効果が持続するのは約5か月程度とされています。本格的なインフルエンザシーズンを迎える前の10〜11月に、かかりつけの医療機関や医師とも相談の上、予防接種を受けましょう。

2017/2018シーズンのインフルエンザ予防接種について詳しくは関連記事をごらんください。

フルミストではなく注射の予防接種を

日本では注射による予防接種が主流ですが、一部の病院では鼻から吸うタイプの「フルミスト」という予防接種を輸入して扱っている場合があります。

「フルミスト」と呼ばれる鼻腔噴霧型のワクチンは、死んだウイルスを使用する注射型のワクチンと異なり、弱体化させている生きたウイルスを使用しています。ウイルスを弱体化させているとはいえ、もともとの免疫力が低くなっているHIV感染者/AIDS患者の方は避けることが望ましいです。

フルミストについて詳しくは関連記事をごらんください。

肺炎ワクチン接種の検討を

肺炎ワクチンは、肺炎球菌の感染を防ぐためのワクチンです。

肺炎球菌による肺炎は、インフルエンザの合併症としてだけではなく、肺炎の中でも最も発症しやすい肺炎の種類になっています。

CDC(アメリカ疾病管理予防センター)は、HIV感染者/AIDS患者を含む持病をもつ方など、免疫力が低下している方には、肺炎ワクチンの接種も推奨しています。

肺炎ワクチンの接種を受けたことがない方は、かかりつけの医療機関や医師とも相談の上、予防接種を検討しましょう。インフルエンザの予防接種の前後に受ける場合は、予防接種の間隔を前後一週間あける必要があります。

予防接種の間隔について詳しくは関連記事をごらんください。

予防接種以外のインフルエンザ対策

HIV感染者/AIDS患者にとってウイルスやバクテリアは脅威となります。まずはウイルスに感染しない予防対策の徹底を心がけましょう。

また、自分だけではなく家族や身の回りにいる方にも協力をあおぐことも大切です。

手はこまめに洗う、くしゃみが出る場合にはマスクをする、室内の環境を整えるなど、ウイルスを吸い込まない対策を行いましょう。また、インフルエンザが流行する季節には、人混みを避けることも大切です。

睡眠をよくとり、バランスのよい食事と適度な運動を心掛け、免疫力が落ちないように配慮してください。

インフルエンザ予防対策について、​詳しくは関連記事をごらんください。

インフルエンザが疑われた場合の対処

インフルエンザが疑われたら、早めに対処することが大切です。インフルエンザの症状が疑われたら必ず病院を受診しましょう。

インフルエンザの症状

インフルエンザは、1〜3日の潜伏期間を経て発症します。インフルエンザは次のような症状が特徴です。

【主な症状】
・38℃~40℃の高熱
・悪寒・寒気
・筋肉痛・関節痛
・鼻水、鼻づまり、くしゃみ
・のどの痛み
・咳、痰
・呼吸困難
・頭痛、めまい
・全身倦怠感
・食欲不振
・腹痛、嘔吐・下痢

【インフルエンザの重症化による合併症】
肺炎、気管支炎、関節炎、中耳炎、副鼻腔炎、急性胃腸炎、心筋炎など

インフルエンザの症状について詳しくは関連記事をごらんください。

インフルエンザの検査

インフルエンザ発症が疑われる場合には医療機関を受診しましょう。ただし、病院を受診するタイミングが早すぎると、ウイルスの増殖が十分ではなく、感染しているのに陰性となるおそれもあります。

熱がでてから12時間以上経過したら病院へいきましょう。

ただし、症状が出てから48時間以内に抗インフルエンザ薬を飲む必要があるため、発症から48時間以上経過しないように注意してください。

やむをえず48時間が経過してしまった場合でも、早期の完治のために病院を受診することをお勧めします。

インフルエンザの検査について詳しくは関連記事をごらんください。

抗インフルエンザ薬で治療

HIV感染者/AIDS患者とその周りにいる人のインフルエンザ治療は、抗インフルエンザ薬(タミフル・イナビル・リレンザ)で行います。

抗インフルエンザ薬は、HIV/AIDS関連薬との飲み合わせによる弊害は報告されていません。

インフルエンザの薬について詳しくは関連記事をごらんください。

おわりに

HIV感染者/AIDS患者がインフルエンザを発症すると重症化する危険性が高く、特に肺炎の合併症を引き起こすおそれがあります。

インフルエンザの発症や重症化を防ぐためにも、予防接種をお勧めします。