子どもから家族感染しやすい水疱瘡に要注意

水疱瘡(水ぼうそう・水痘)は、2歳~8歳の小児にかかることが最も多く、9歳以下が90%を占める伝染性疾患です。

 

水疱瘡は子どもの病気として知られていますが、成人がかかると重症化することも多く、また妊娠中の感染は母体と胎児に危険を及ぼすこともあります。

 

水疱瘡は年齢に関わらず注意が必要な疾患ですが、初感染後の再発などの仕組みにおいては、詳しく知られていないことが多いようです。

 

身近な病気「水疱瘡」の原因から対処法までを解説します。

 

image by

 

Photo ac

水疱瘡の原因はウイルス

原因となるウイルスは、ヘルペスウイルスに属する「水痘・帯状疱疹ウイルス(すいとう・たいじょうほうしんういるす)」によるものです。

 

水痘・帯状疱疹ウイルスは、初めて感染した時には水疱瘡として発症します。

 

水疱瘡はまずは子どもの頃にかかり、水疱瘡が完治しても、その後ウイルスはそのまま知覚神経節に潜伏しています。

 

潜伏しているウイルスは免疫力が低下した時に活性化、「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」という神経に激しい痛みを伴う皮膚病として再発することがあります。

 

帯状疱疹は、50代以降の発症が多いとされていますが、小児でも発症することがあります。

 

水疱瘡の流行時期

水疱瘡は毎年12~7月に多く発症し、8~11月には減少傾向にあります。

 

今後も冬から初夏の流行が続くとされています。

水疱瘡の感染経路は、飛沫感染、空気感染、接触感染

水疱瘡の感染経路は、主に飛沫感染と空気感染ですが、接触感染もあります。

感染は以下の経路をたどります。

 

■飛沫感染とは

咳やくしゃみなどで飛散した病原体を吸い込むことにより、口や鼻の粘膜に付着して感染。

飛沫が1~2m以内の場合は感染の可能性が高く、患者や周囲の人がマスクを付ければ、ある程度の予防効果が見れられます。

 

■空気感染(飛沫核感染)とは

咳やくしゃみなどで飛散した病原体が感染性を保ったまま空気の流れによって拡散し、鼻や口から吸い込んで感染。

飛沫核の大きさは1~5ミクロンの微細な粒子で乾燥して軽く、長時間空中を漂い伝播します。

 

■接触感染とは

感染している人の皮膚や粘膜、汚染された物に触れることで感染。体の表面に病原体が付着しただけでは感染せず、手で口、鼻、目を触ることにより病原体が侵入し感染が成立します。

水疱瘡の水疱が破れた際にウイルスに触れた手で粘膜に触ることで接触感染することもあります。

 

水疱瘡の症状

水疱瘡は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる発疹性の疾患です。

 

水疱瘡の症状は以下の経過をたどります。

 

■潜伏期:潜伏期間は約2週間(10~21日もある)

■発症期:体幹を中心にかゆみを伴う発疹、発熱、倦怠感

■急性期:発疹は全身性。紅斑→水疱→膿疱→痂皮(かさぶた)が混在する

■回復期:全身の発疹がかさぶたになる。発症から1~2週間で回復

 

水疱瘡の初期症状

■37~38度程度の発熱

■倦怠感

■赤い小さな発疹が顔や頭皮、首から現れ始める

 

子どもの場合、熱より発疹が先に出ることが多く見られます。

 

水疱瘡の主な症状

発疹の出やすい場所

発疹は、顔、頭、まぶたの周辺・裏側、口の中、胸、お腹、背中、手足など次々と出現し、強いかゆみがあります。

 

また、鼻や咽頭、気道、膣、肛門などの粘膜や、おむつかぶれなど炎症がある所などに出ることもあります。

発疹の症状の変化

発疹は全身性で、丘疹(紅斑)→水疱→膿疱→痂皮(かさぶた)の4段階があります。

 

1、丘疹(きゅうしん)

発熱の前後1~2日に、小さく赤い発疹(紅斑:こうはん)が点々と現れます。

最初はあせもや虫刺されと似ていて区別がつかないことがありますが、徐々に大きくなります。

 ↓

2、水疱(すいほう)

丘疹ができてから半日~翌日までに、発疹が膨らんで「水ぶくれ」になります。

水疱瘡の水泡は、真ん中に黒い点が見えるのが特徴です。

水ぶくれの中には、水ぼうそうの原因ウイルスが含まれています。水疱は強いかゆみを伴うため、掻きむしってしまうことで広がり他人にも感染します。

 ↓

3、膿疱(のうほう)

水疱は24時間程度で白っぽい膿がたまり、壁は薄くて破れ易く、やがて渇いてかさぶたになります。

 ↓

4、痂皮化(かひか=かさぶた)

膿疱は3日~4日で黒いかさぶたになりますが、その頃は新しくできた丘疹や水泡、膿疱とかさぶたが混在して見られます。

 

発疹が発生してからかさぶたになるのは5日~1週間程度ですが、全てのかさぶたが剥がれ落ちるまで約3週間前後はかかります。

重症化に注意!こんなときは再度受診を

水疱瘡は重症化すると、皮膚の二次性細菌感染、肺炎、髄膜炎、脳炎、肝炎などの合併症を引き起こすことがあります。

 

以下の場合は注意が必要です。

 

■発疹が化膿している

■4日以上熱が続く

■ぼんやりしたり、ぐったりして元気がない

 

このような症状が見られたら、急いで医師に相談しましょう。

水疱瘡の潜伏期間

潜伏期間とは、ウイルスなどの病原体に感染してから、ウイルスが体内で活動し、水疱瘡(水ぼうそう・水痘)の症状が出るまでの期間のことです。

 

水疱瘡は主に14~16日の潜伏期間(10日未満や21日程度になる場合もある)の後に発症します。

 

水疱瘡の感染期間(いつまで他人にうつる?)

発疹が出現する1~2日前から感染します。

 

発症し、全ての水疱がかさぶた(痂皮化)になるまで他の人に伝染します。

水疱瘡の主な治療方法

病院での対応は?

抗ウイルス薬を用いて症状をより軽く、早く治すような治療が多くみられます。

 

かゆみ止めの抗ヒスタミン剤や炎症・痒み・患部を乾燥させるために塗り薬が処方されることもあります。

 

二次感染を防ぐために抗生剤を使用することもあります。

 

抗ウイルス剤は発疹が出始めてから2~3日以内のなるべく早く服用することで、より効果が高まるため、早めに小児科を受診してください。

自宅では?何に気を付ければいい?

水疱瘡の自宅ケアは以下に注意しましょう。

 

●かき壊さないように爪は短く切っておく(赤ちゃんは手袋やガーゼを利用するのも良いでしょう)

●口に水泡ができる場合、こまめに水分を与え脱水症に注意する

●患部を清潔に保つ

●お風呂は熱や水ぶくれがあるときは湯船は控える

●かさぶたを無理にはがさないようにする

 

image by

 

Photo ac

水疱瘡の主な予防法はワクチン接種

1歳になったら水痘ワクチンの接種ができます。

 

保育園に入園するなどでかかりやすい時は、1歳前でも接種することがあります。

 

しっかりと免疫をつけるために、1回目の接種後、約3か月後に2回目を受けることが必要です。

 

また、水疱瘡の患者に接触した場合は、きょうだいや家族の感染予防のために、3日以内(72時間以内)にワクチンを接種すれば、発病を予防したり軽症化が期待できるとされています。

 

患者と接触した可能性がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

水疱瘡のよくある疑問・質問

幼稚園・保育園はいつから登園再開できる?

まず、医師より水疱瘡と診断された場合は、速やかに園・学校へ連絡してください。

 

水疱瘡は、学校保健安全法により、「登園・登校停止が必要なもの(第2種学校感染症)」に当たります。

保育所、幼稚園の出席停止期間は「すべての発疹が痂皮化するまで」とされています。

 

園および学校に届け出て、定められた出席停止期間に従い、登園・登校再開については医師の許可が出るまで家庭で安静にします。

 

保育所の場合は、幼稚園、小学校、中学校における学校感染症対策にプラスして、乳幼児は児童・生徒等と比較して抵抗力が弱いこと、手洗いなどが十分に行えないなど、乳幼児の特性を踏まえた感染症対策が必要です。

 

保育所については「保育所における感染症対策ガイドライン」に基づいています。

参考:厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン」をご覧ください。

 

小学校・中学校はいつから登校再開できる?

保育園と同様、出席停止期間は「すべての発疹が痂皮化するまで」とされています。

 

学校に届け出て、定められた出席停止期間に従い、登園・登校再開については医師の許可が出るまで家庭で安静にします。

 

学校感染症には病状により出席停止の基準は定めれらていますが、病状は個人によって異なるため、子どもが感染症にかかった場合は必ず医師の指示に従い、登校の許可が出るまで十分に休養することが大切です。

妊婦の感染について

感染した場合は、すぐに産婦人科に連絡しましょう。

 

水疱瘡はほとんどの大人は抗体を持っているため、妊娠中の感染は少ないとされていますが、妊娠中の感染は、母体が「水痘肺炎」などの合併症を起こすことがあり、場合によっては死亡する危険性があります。

 

特に妊娠20週未満で感染すると、胎児が「先天性水痘症候群」になる可能性があり、低体重出生、脳炎、水頭症、白内障、部分筋肉萎縮、四肢形成不全、皮膚の欠損、色素沈着、子宮内胎児発育不全などが起こる可能性があります。

 

また出産の5日前から2日後の間に母体が感染すると、ごくまれに赤ちゃんが死亡する可能性があります。

 

妊娠中の多くの感染症については、妊娠初期の感染に注意が必要ですが、水ぼうそう(水痘)の場合、妊娠初期と合わせて、特に分娩前後の感染には最も注意が必要です。

 

妊娠中に発病してしまった場合は、母体の重症化を予防する目的として「抗ウイルス薬」を投与する場合があります。

 

母親が出産の5日前~出産2日目の期間に水ぼうそうが発症した場合、母親には、抗ウイルス薬を使用、新生児へは「ガンマ(免疫)グロブリン注射」を行います。

 

妊娠中には水痘ワクチン接種はできません。

 

水痘ワクチンに限らず、基本的に「妊娠中の生ワクチン接種は原則禁止」となっています。

そのため妊娠中は感染者との接触を避けることが重要です。

授乳婦・ママの感染について(母乳からうつる?)

水痘が発症した場合は、抗ウイルス薬等の内服薬がありますが、服薬中は薬が母乳に移行するため、授乳はストップすることになります。

 

授乳以外でも、赤ちゃんへは接触感染、飛まつ感染などもあるため、ママが感染した場合は、赤ちゃんとは別室で過すなど距離を置き、感染させないために注意が必要です。

大人の感染について

成人が水痘を発症すると、子どもより重症化する割合が多いとされています。

 

大人の症状は

■高熱を伴い、倦怠感が強い

■皮膚粘膜症状が強い(水疱が多い)

■肺炎や脳炎など合併症が多い

 

などの特徴があります。

子どもの頃の水疱瘡の罹患歴の有無にかかわらず、大人も予防接種を受けることがすすめられています。

 

再発の場合は帯状疱疹の可能性もあり、いずれも重症化する可能性があります。

子どもや家族が感染した場合はもちろん、発疹などの皮膚疾患がある場合は早めに皮膚科を受診しましょう。

おわりに

水疱瘡は誰でも知っている病気ですが、水疱瘡が治った後にも、水痘・帯状疱疹ウイルスの知覚神経節への潜伏や再発など、決して子どもだけの軽い病気ではないため、水疱瘡の基礎知識を知っておきましょう。

 

流行期間も寒い時期から初夏まで長期のため、家族みんなで注意しましょう。