帯状疱疹(たいじょうほうしん)は水痘・帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうのウイルス)によりおこります。

子供のときに多くの方が水ぼうそうになりますが、それが治った後、ウイルスは神経節というところに潜んでいます。

そして、将来、過労や免疫の低下などの環境が整うと、再びウイルスが暴れだしておこるのが帯状疱疹です。

原則として、帯状疱疹にかかるのは一生に一度だけです(再発率は5%以下)。

また、帯状疱疹が他人にうつることはほぼあまりありませんが、水ぼうそうにかかったことのない人にはうつる可能性があります。この場合は、帯状疱疹の症状ではなく、水ぼうそうと同じ症状が出ます。

帯状疱疹はどの年齢層でも起こりえますが、50歳代とそれ以上の年齢層での発生率が最も多く、これらの高年齢層が帯状疱疹患者全体の約70%を占めています。

ただ、最近は若者の発症も増えています。帯状疱疹はごく一般的な感染症で、一生のうちに6〜7人に1人がなるといわれています。

また、8月に多く、冬に少ないといわれています。

ちなみに、米国では年間120万人の患者が帯状疱疹を発生しており、日本に限らずメジャーな病気です。

帯状疱疹は早く治療を始めれば、皮膚の炎症や痛みが重症化するのを防ぐことができます。帯状疱疹かなと思ったら、痛みを我慢せず、すぐに皮膚科を受診しましょう。

 

帯状疱疹の原因

水痘にかかったときのウイルスが感覚神経節に潜んでいて、長い時間をおいて、過労や免疫が低下したときに再び活性化することでおこります(この再活性化の機序はよくわかっていません)。

 

帯状疱疹の症状

症状は、しばしば重度の疼痛(とうつう:ずきずきする痛み)を伴う、水ぼうそうと同じような発疹(赤みを伴った小さな水ぶくれ)が特徴です。

発疹が現れる1週間前より神経痛に似た痛みが生じます。
その後、ウイルスがひそんでいた神経が支配しているからだの片側の部分の皮膚に帯状に発疹ができます。

また、神経がおかされるため激しい痛みを伴うのが帯状疱疹の症状の特長です。発疹が頬や耳にできたときは顔面の神経麻痺が起こることがあり、外陰部にでると尿が出にくくなること(尿閉)があります。

さらに発疹にともなって頭痛や発熱も現れます。

その後、水ぶくれができ膿んできますが、2、3週間でかさぶたになり、いったん症状は治まったようにみえます。

高齢者や糖尿病を持っている人は、治癒後も痛みが続くこともありますが、1度かかれば2度かかることはまれです。

帯状疱疹の患者は自分の病気について正しく認識できている人は約30%にすぎず、なかでも「虫さされ」や「かぶれ」と間違える方が多いので注意が必要です。

少しでも違うと違和感を感じたら、お近くの医療機関に相談してください。

帯状の水ぶくれとともに、水ぼうそうのように、全身に小さな水ぶくれが同時にみられることがあります(汎発性帯状疱疹:はんぱつせいたいじようほうしん)。

このような場合は、免疫力が低下しているといわれ、重大な病気が隠れていないかを検査する必要があります。

また、一般的に眼部帯状疱疹は消耗性の疾患で、抗ウイルス薬で治療しなければ失明に至りますので、直ちに眼科医を受診してください。

免疫正常者よりも免疫不全患者の方が、重症になります。

Hodgkin(ホジキン)リンパ腫と非Hodgkin(ホジキン)リンパ腫の患者で進行性の帯状疱疹のリスクが最も高く、約40%では皮膚に播種性の病変が発生します。

播種性帯状疱疹(はしゅせいたいじょうほうしん)の患者では、肺炎、髄膜脳炎、肝炎及びほかの重大な合併症のリスクが5〜10%も上昇します。しかしながら、たとえ免疫不全患者であっても、播種性帯状疱疹で死亡することはまれです。
 

帯状疱疹の合併症

免疫正常であっても、免疫不全であっても、帯状疱疹の最も重篤な合併症は急性神経炎による痛みと帯状疱疹後神経痛による痛みがあげられます。

若年層では、帯状疱疹後神経痛は珍しいが、50歳以上では少なくとも50%で皮膚症状が治った後も数ヶ月間に及び、ある程度の疼痛が残ると報告されています。

知覚が衰えたり、感覚が過敏になったりするような変化は一般的であります。

帯状疱疹後神経痛は神経の損傷によるものなので、痛みが残った場合はペインクリニックなどでの専門的な治療が必要です。

 

帯状疱疹の検査方法

血清中の水痘・帯状疱疹ウイルス抗体価(抗原を攻撃する抗体の量)が上昇し、発疹部からはウイルス性巨細胞、水痘・帯状疱疹ウイルス抗原が証明できれば診断できます。

また、補助的なウイルス学的診断とモノクローナル抗体を用いた皮膚擦過標本の蛍光染色法は、正確な診断に役立ちます。

 

帯状疱疹の治療法

対症療法が基本です。つまり、体に十分な抗体が形成されるまで待つしかありません。

それまでの間は皮膚症状には外用薬、痛みに対しては内服薬、注射、あるいは神経ブロックなどの対症療法となります。

例えば、酢酸アルミニウムの塗布は、症状を落ち着かせるとともに患部を清潔に保つことができます。外用薬による治療は病気の時期、状態によって変わっていきますので、特に主治医の指示に従いきちんと行ってください。

また、最近はいろいろな抗ウイルス薬が開発され、その効果を上げています。

抗ウイルス薬による治療のポイントは、できるだけ早い時期に内服、点滴、外用などを行うことです。

また今までは、抗ウイルス内服薬は1日5回の内服アシクロビル(ゾビラックス®)が必要とされていましたが、2000年には、1日3回の内服で効果のある新しい抗ウイルス薬(バルトレックス®)がでてきました。さらに、2008年6月からは、ファムシクロビル(ファムビル®)も新しく加わり、これは投与回数が少なく便利なだけでなく、アシクロビルと少なくとも同等、もしくはより有効であることが報告されています。

これらの内服により、皮膚の治癒を早め、帯状疱疹に関連する疼痛を抑えることができます。皮膚症状は、普通3〜6週間で治ります。神経痛も、皮膚の症状に準じてしだいに和らいで、1〜2ヶ月で治ります。

白血病やエイズなど免疫不全の人では抗ウイルス薬を点滴静注します。

重度の免疫不全患者においては、最低でも発症直後から、アシクロビルで治療すべきです。この治療により内臓合併症の発生は減少しますが、残念ながら皮膚症状と疼痛の改善に対しては効果がありません。低リスクの免疫不全患者にはファムシクロビル(ファムビル®)の内服も有効です。

顔に発症したときは、時に角膜炎、視力障害などや耳の障害(ラムゼイ・ハント症候群:顔面神経麻痺、内耳障害、味覚障害など)も引き起こしますので、主治医の指示に従ってきちんと治療してください。

眼部帯状疱疹の患者の場合、激痛に対する鎮痛薬とアトロピンの投与です。アシクロビル、ファムシクロビル(ファムビル®)も治癒を早めます。
 

帯状疱疹治療における日常生活での注意点

できるだけ安静を保ち、体力をつけることが第一です。

帯状疱疹になったということは体力が落ちたり、体調を崩していたりしているということですから、その回復を図らなければなりません。

この時期に養生せずに無理をすると、治療期間が長くなったり、皮膚症状が悪化して、瘢痕となったり、神経痛が残ってしまうこともあります。

風邪に準じた生活と考えるとわかりやすいかと思います。

入浴や洗髪をすると、ただれた皮膚からほかの細菌が入って悪化するため、一般には、かさぶたになってから許可することが多いようです。

 

帯状疱疹の予防

帯状疱疹感染の予防には以下の3つの方法が用いられています。

  1. ワクチン接種
  2. 水痘帯状疱疹免疫グロブリン(VZIG)の投与
  3. 抗ウイルス薬療法
     

ワクチン接種

水痘にかかったことがない1歳以上のすべての小児(12歳まで)と水痘・帯状疱疹ウイルス抗体陰性とわかっている成人を対象に、水ぼうそうのワクチンを接種することが推奨されています。
すべての小児に2回の接種が推奨されています。

ワクチンは安全で、かつ有効です。実際、小児に広く水痘ワクチンを接種することで、監視の行われている地域での水痘の発生率が減少しています。

また、60歳以上の人では、ワクチン接種により帯状疱疹が約50%減少したことも報告されています。
 

水痘帯状疱疹免疫グロブリン(VZIG)の投与

感受性があり、水痘の合併症を発生するリスクが高い人が、水痘・帯状疱疹ウイルスにかなりさらされてしまった場合に行います。

ウイルスにさらされてから96時間以内(72時間以内が望ましい)に投与すべきです。
 

抗ウイルス薬療法

ワクチン接種が不適当であるか、水痘・帯状疱疹ウイルスに直接接触してから96時間以上経過している高リスク患者が対象です。

従来はアシクロビルが使用されていましたが、ファムシクロビル(ファムビル®)も同様の効果が期待できることが知られています。

治療は潜伏期間の中間地点である、接触してから7日目に開始します。

この予防法は完全に発症を予防できない場合でも、顕著に疾患の重症度を減少することができます。

 

おわりに

小さな頃に発症した水ぼうそうが、高齢になったり免疫力や体力が低下してからまた襲ってくるのが帯状疱疹。

私たちの親の世代が発症することも多いので、いざという時に備えてチェックしておきたいですね。

 

参考文献

『家庭の医学』【新赤本】第6版 保健同人社

『家庭の医学』最新【第2版】 成美堂出版

『家庭医学大事典』新版 ホームメディカ 小学館

『ハリソン内科学』第4版 MEDSi