日本人全体で1〜2%の人がなんらかの食物アレルギー!

身体になんの悪影響のない食べ物でも、人によってはそれを食べることによって「皮膚が腫れる、かゆみを伴う、気持ちが悪くなる、意識がなくなる」などの症状を発します。身体に異物が入ってきたと認識し、様々な反応を起こす。これが食物アレルギーです。

日本人全体では、1〜2%の人が何らかの食物アレルギーになっているとみられており、赤ちゃんで10%、小学生以上の子どもでも1〜3%の割合で食物アレルギーになっています。

小・中学生は、お昼ごはんには給食を食べる学校も。献立によっては、普段、給食を食べていても、食物アレルギーの原因食物を含む日はお弁当を持参するなど、様々な対策が必要です。

そこまでしてでも防がなければいけない食物アレルギー症状発症。この記事では、「食物アレルギーになるとどんな症状を発症し、どんな対処をするのか」ということを中心に、「食物アレルギーの症状」について解説していきます。

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食物アレルギーで最も恐ろしいことはアナフィラキシーの発症!

食物アレルギーになる原因食物(アレルゲン)を食べる、飲む、または吸い込んだりすると、アナフィラキシーを発症します。

アナフィラキシーとは、極めて短い時間で身体全体に影響を及ぼすアレルギー症状が出る反応です。影響があらわれるのは、皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器など。

意識障害や血圧の低下を引き起こし、時には命に関わる重篤な症状に発展する場合もあります。このようなアナフィラキシーによって命に危険が及ぶ状態をアナフィラキシーショックといいます。

食物アレルギーは、アナフィラキシーショックのように重篤な症状のものから、比較的穏やかな症状なものまで様々です。症状などの特徴から、

■新生児・乳児消化管アレルギー

■食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎

■即時型

■特殊型(食物依存性運動誘発アナフィラキシー、口腔アレルギー症候群)

の4つの病型に分類ができます。また、特殊型には2つのタイプがみられます。

4つに分かれる食物アレルギーの病型には年齢に沿った傾向も!

4つに分類される食物アレルギーの病型には様々な特徴があり、症状の他にも発症しやすい年齢群やアレルゲンにも傾向がみられます。

新生児・乳児消化管アレルギー

新生児期に発症が多く、主に「嘔吐、血便、下痢」といった消化器症状がみられ、アナフィラキシーの危険性もあります。発症させる主な原因食物は牛乳です。

個人差はありますが、だいたい2歳頃にはほとんど治るといわれているアレルギータイプです。

食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎

乳児期にもっとも多くみられるのがこのタイプの食物アレルギーです。アトピー性皮膚炎は食物アレルギーとは別のアレルギー性疾患ですが、乳幼児のアトピー性皮膚炎の場合、食物が原因で症状の悪化がみられます。

鶏卵・牛乳・小麦・大豆などが主な原因食物で、顔からはじまる湿疹がこの食物アレルギーの主な症状です。アナフィラキシーの危険性もあります。

乳児期の「なかなか治らない湿疹」の原因のすべてが食物アレルギーなわけではないので、医師の慎重な判断に委ねられますが、食物アレルギーであれば、多くの子どもは成長とともに自然と治っていきます。

即時型

特に乳幼児期に多いのがこのタイプで、原因今日持つを食べると15〜30分後、遅くとも2時間以内には症状があらわれます。

主な症状には皮膚への症状があげられ、呼吸器、消化器など非常に多種類なアナフィラキシーを発症させます。

原因食物品目は年齢によって様々ですが、乳児では3大アレルゲンである鶏卵、牛乳、小麦が多く、学童期に向かい年齢があがるにつれて、甲殻類や果物類などの食物品目も原因食物になってきます。

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FEIAn/FDEIA)…特殊型

特定の原因食物を食べてから運動した時、アナフィラキシーが起こる病態です。小・中・高校生など、学童期〜成人期に多くみられます。

小麦やエビ・カニなどの甲殻類が原因食物になることが多いとされ、それらを食べても運動をしなければアレルギー症状はでません。

口腔アレルギー症候群(OAS)…特殊型

学童期〜成人期に多くみられる症状で、果物や野菜を食べた直後に、口の中が腫れたりイガイガする症状があらわれます。

花粉症との関係があり、「特定の花粉」に「関連する果物や野菜」が反応することで起こります。

アナフィラキシーの危険は低いとされています。

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皮膚症状を中心に様々な症状があらわれる食物アレルギー!

食物アレルギーによる症状は全身のあらゆる臓器にみられます。その中でも最も多いのが皮膚の症状です。

厚生労働科学研究班がおこなった、ある年の「即効型食物アレルギー全国モニタリング調査」では、「食物アレルギー症状を発症した患者の9割近くの人が、なんらかの皮膚症状をうったえていた」というデータが発表されたほどです。また、唇やまぶたの腫れなども多く確認がされます。

食物アレルギーで一番恐ろしいのはアナフィラキシーショックです。最悪の場合、命の危険を伴う重篤症状ということを忘れてはいけません。

原因食物を食べる、飲む、吸ったりした時にあらわれる、身体の各部位ごとの食物アレルギー反応には下記のようなものがあります。

【皮膚症状】

かゆみ、蕁麻疹、赤み、湿疹

【粘膜症状】

眼症状:目の充血・腫れ、かゆみ、流涙、まぶたの腫れ

鼻症状:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり

口腔咽頭症状:口・唇・舌の違和感・腫れ、のどの痒み・イガイガ感

【消化器症状】

腹痛、悪心、嘔吐、下痢、血便

【呼吸器症状】

喉が締められる感覚、声がれ、咳、ぜん鳴、呼吸困難

【循環器症状】

脈が速い、脈がふれにくい、脈が不規則、手足が冷たい、唇や爪が青白い(チアノーゼ)、血圧低下

【神経症状】

元気がない、ぐったり、意識もうろう、不機嫌、尿や便を漏らす(失禁)

【全身症状】

アナフィラキシー

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緊急性が高い症状の数々!救急車の要請が必要な場合も!

食物アレルギーの中でも、即時型食物アレルギーの場合、緊急性の高いものがあります。下記の症状が1つでもみられた場合、もし携帯しているようならエピペン(アドレナリン自己注射薬)を打ったり、救急車を呼ぶなど、一刻でも早い対応をとる必要があります。

【全身症状(神経、循環器の症状)】

ぐったり、意識もうろう、尿や便をもらす、脈がふれにくい、脈が不規則、唇や爪が青白い

【呼吸器症状】

喉が締められる感覚、声がかすれる、犬が吠えたような咳、息がしにくい、持続する強い咳き込み、ゼーゼーする呼吸

【消化器の症状】

我慢できないほどの持続する腹痛、繰り返す嘔吐

エピペンとは

アナフィラキシーなど、重度のアレルギー反応がでた時に症状の進行を一時的に緩和させ、ショックを防ぐ補助治療剤。

注射薬だが使用時に注射針は見えておらず、安全性が高く、子どもでも使いやすい。

食物アレルギー反応がでた時の症状の度合い別対応について

もし、身近で食物アレルギー反応を起こした人がいたら迅速な対応を取らなくてはいけない場合もあります。そんな時のために、緊急対応レベルを3つに分けて、それぞれのレベルごとの対処方を説明します。

【最も危険!ただちに救急車で医療機関へ搬送するレベル】

  • 上記、「緊急性が高い症状」の14症状のうち、1つでも該当

この場合、最も危険度が高いレベルです。救急車を呼んで病院へ搬送してください。

救急隊が到着するまでは、もし、もともと食物アレルギーの薬を処方されている患者であればエピペンを使用したり内服薬を飲ませるなどの処置をし、その場で安静を保ってください。

【速やかに医療機関を受診するレベル】

  • 数回の軽い咳
  • 中等度のお腹痛み
  • 1〜2回の嘔吐
  • 1〜2回の下痢
  • 顔全体の腫れ
  • まぶたの腫れ
  • 強いかゆみ
  • 全身に広がる蕁麻疹
  • 全身が真っ赤

この項目に1つでも該当したら速やかに病院へ向かってください。もし処方された内服薬をもっているようなら服用させ、エピペンもあるようならいつでも打てるように準備をしておいてください。

場合によっては救急車の要請が必要なほどつらい症状を訴えかねないので経過観察に注意が必要です。医療機関に到着までの間、少なくとも5分ごとの症状の変化をメモするようにしてください。

経過をみる内に症状が重篤になっていき、救急車を呼ばなくてはいけないレベルになったらエピペンを打つなどして対処をしましょう。

【安静にして注意深く経過観察するレベル】

  • 我慢できるぐらいのお腹の痛み
  • 吐き気
  • 目のかゆみ
  • 充血
  • 口の中の違和感
  • 唇の腫れ
  • くしゃみ・鼻水・鼻づまり
  • 軽度のかゆみ
  • 数個の蕁麻疹
  • 部分的な赤み

これらの症状レベルの場合は、しばらく安静にしてみて注意深く経過観察をしましょう。

もし内服薬を持っていたら飲ませてください。「少なくとも1時間は5分ごとに症状の経過を観察」をし、症状の改善がみられないようなら病院で診察を受けてください。

食物アレルギー発症者への対応ポイントの数々

食物アレルギー発症者の経過観察をする間や救急車を待つ間、「症状が悪化したらどうしよう」、「何もできなくてもどかしい」など、焦りや不安がつきまとってしまうかたも多いのではないでしょうか。

そんな時に役立つ、食物アレルギー発症者の経過観察や看護対応などのポイントをご紹介します。

その場で安静にさせる時のポイント

安静にさせる時は体位が重要です。特に、アナフィラキシーやアナフィラキシーショック時は、急な体位変換が体内での血液分布のバランスを崩させ、状態を悪化させるおそれもあります。患者の状態に適した体位で休ませましょう。

①ぐったり、意識がもうろうとしている時

この場合、血圧低下のおそれがあります。足を15〜30cm高くさせ、あおむけに寝かせましょう。

移動させたり、体位をかえる時も頭を高くしないように注意が必要です。移動が必要な時は、横抱きにかかえるか担架で運ぶのが理想です。そしてできるだけゆっくりおこなってください。

立位は好ましくないので、「背負う、縦抱き、歩かせる、車椅子」での移動はさせないようにしましょう。

②吐き気がある時

身体を横向きにして寝かせてください。あおむけだと、嘔吐したものにより窒息する場合がります。

③呼吸が苦しい時

呼吸が苦しい時は、上半身をおこし、背もたれなど、後ろに寄りかからせると楽になる場合があります。

ただし、この時に「ぐったり、意識がもうろう」、「吐き気がある」場合はそれらに適した体位を優先するようにしましょう。

症状観察のポイント

症状観察で大切なのは、危険性の高い症状を見逃さないことです。主に神経の症状や循環器の症状はアナフィラキーショックが疑われます。

これらは患者の機嫌姿勢受け答えなどで判断をします。

「ぐったりしている、横になりたがる、普段のように歩けない、呼びかけても反応が鈍く意識がもうろうとしている」などは、極めて危険な状態です。

また、循環器系の症状では唇や爪が青白くなったり、脈がふれにくいなどの状態も危険であるといえます。

呼吸器の症状も危険信号を判別する大事なポイントといえます。咳ばらいの初期症状からはじまり、進行していくとゼーゼーやヒューヒューとといったいった呼吸、または呼吸困難なったりします。症状の進行に要注意です。

呼吸に合わせて肩が上下する肩呼吸になっていること、鎖骨と鎖骨の間、肋骨と肋骨の間、胸とお腹の間など、息を吸う時にへこむ陥没呼吸になっていることなども分かりやすい変化なので観察のポイントになります。

そして、全身をくまなく観察すること、繰り返し観察することが大切です。

呼吸器症状、消化器症状、目、口、鼻、顔、皮膚など、症状の発症箇所は様々です。時間の経過と共に症状が悪化することも考えられます。

「時間の経過と共にどの症状がどうなった」という情報は医師の診療にも役立ちますから、メモなどに書いておくといいでしょう。

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準備と対策で危険を未然に防ぎましょう!

食物アレルギー反応を見せる時、その症状度合いがゆるやかにでてくるものもあれば、いきなり大変な症状がでる場合もあります。

症状をみて、緊急性が高い症状であるかどうか5分以内に判断するのが望ましいとされています。

アレルギー反応は時間と共に進行していまうこともあるので、病院へ連れていく最中、または救急車を呼んで待っている最中に患者の状態が悪くなることも。

患者にエピペンを自分が注入してあげなくてはいけなかったり、または心肺蘇生をおこなわなければいけない場合もでてくるかもしれません。

最悪の事態を防ぐためにも、食物アレルギーを持っているのが分かっていれば、日頃から薬の携帯をしたり、またはどこに薬の保管をしてあるか明確にしておくのも大切です。

また、食物アレルギーを持つ人に対して「これを食べるとこんなアレルギー反応がある」ということをまわりも理解することによって、危険を未然に防ぐようにしたいですね。