風邪ときくと秋から冬の乾燥した時期を思う方も多いかもしれませんが、日差しがギラギラと熱い夏に流行する夏風邪にも注意が必要。
夏風邪の中には、ウイルスが人の体内に侵入することで引き起こされる感染症も存在します。とくに子どもが夏場に感染しやすい3つの病気が「手足口病」「ヘルパンギーナ」「プール熱」です。
この記事では夏場におこる子どもの3大感染症から「手足口病」を取り上げます。

手足口病は英語でHFMD(Hand, foot and mouth disease)と表記されるように、日本だけではなく世界でも子どもを中心に発症している感染症です。HFMDは1950年代後半に認識され、日本では1967年ごろから手足口病の存在が明らかになりました。
温帯地域では主に夏に発生し、これまでもアジア各国で報告されています。近年大きな流行が報告された国はマレーシア、台湾、中国、カンボジア、ベトナムなどです。
手足口病そのものは軽度の病気ですが、2012年6月にカンボジアで54人、2013年4月に中国で25人が亡くなっています。これらは医療衛生状態がよくない地域での重症化が主な原因です。

手足口病が重症化する前の変化に早く気づくために、基本的な症状の知識や対処法が重要になります。うつらない・うつさないためにも症状の特徴や、原因、予防法など手足口病について詳しく解説します!

目次

⒈手足口病の症状
 ・症状の特徴
 ・症状の経過
 ・原因と重症化について
⒉手足口病の感染経路
⒊手足口病で保育園を休む期間
⒋手足口病の対処法
⒌手足口病の予防
⒍大人や妊婦の手足口病

手足口病の症状と感染

手足口病は病名の通り、手や足そして口の中に水泡性の発疹が表れる病気です。子どもを中心に夏場に流行し、ピークは7月下旬ごろです。
WHOによる2016年の日本の感染者状況の発表によると、6月時点の調査では2016年にはいってからすでに3856件の発症が確認されています。例年5月半ばから6月にかけて増え始め、6月半ばから発症者数は週を追うごとに増えていて、6月末現在発症ピークが近付いているといえます。

手足口病にかかる子どもの大半は5歳以下の乳幼児で、例年感染者の90%をこの年代が占めます。なぜここまで5歳以下の乳幼児で流行するのでしょうか。それは手足口病の特徴と感染の仕方に理由があります。

手足口病の症状

最初に白い水泡性の発疹が口内に表れ、その後手や足にも2~3mmの発疹が出現します。口内は強い痛みをともなう口内炎のような状態で、手や足の発疹は痛みがない場合もあります。

頬の内側、歯ぐき、唇の上下など1mm~5mmの水疱が出き痛みを伴う。
手の平ひら、指にできやすく、手の甲に出ることもある。
足の裏、かかと、指にできやすく、膝や太ももに出ることもある。
その他 ひじやひざ、お尻などに出ることもある。

症状の経過

手足口病の症状の経過をまとめました。

■潜伏期間:ウイルスに感染してから症状がでるまでの潜伏期間は3~5日です。

■発症期:手・足・口に水泡性の発疹が表れます。

■重症期:手足口病の通常の経過による一番症状が重い時期です。口の中の水泡が痛みを伴い食欲が低下したり、発熱、手足口以外の場所に発疹が表れる場合もあります。
発熱に関しては、感染したら必ず発熱するわけではありません。発熱する割合は3人に1人程度です。発熱した場合も38度より大きく上がるような高熱にはならず、短期間で治まります。

■回復期:発疹は3日~4日で乾燥し、1週間程度で跡を残さず消えていきます。合併症をおこすことはまれで、基本的には周囲に感染させないように意識しながら風邪と同じように安静にしていれば数日で治る軽症の病気です。
しかし手足口病は主な症状が治った後、2~4週間は体内にウイルスが残っており、主に便の中にウイルスが含まれています。そのため、発症から回復した後も含めて最低1ヶ月は感染対策に注意が必要です。

手足口病の原因と重症化

手足口病の原因となるウイルスは1種類ではありません。そのため1度感染して免疫ができても、別のウイルスが原因で再び手足口病に感染してしまうのです。

主なウイルスはエンテロウイルス71ですが、その他にコクサッキーウイルスA6、A16、A10などもあります。エンテロウイルス71は他のウイルスで手足口病にかかった場合と比べて、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症を引き起こす割合が高いことが報告されています。
その他の重症化の可能性として心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺などの症状がでることもあります。

手足口病は軽度の感染症のため、通常の経過による一番症状がつらい重症期に、39度以上の高熱が続く、頭痛、嘔吐、ぐったりして目の焦点があわないなどの症状がある場合には注意が必要です。早急に病院を受診しましょう。

手足口病の感染経路

手足口病はどのように感染するのでしょうか。感染経路は主に3つあります。

飛沫感染 咳やくしゃみなどでウイルスを含んだ分泌物を吸い込み感染。
接触感染 皮膚や粘膜による直接的な接触、物体の表面を介した間接的な接触により感染。
糞口感染 便の中にウイルスが排出しており、口に入って感染。

手足口病の感染を5歳以下の乳幼児が90%以上占めているのは、これらの感染経路が乳幼児が集団生活をする保育施設や幼稚園などで防ぐことが難しいからです。

◼︎誰かがウイルスのついた手でおもちゃを触り、そのおもちゃを別の子が触ってそのまま目をこすったり手を口にいれる
◼︎咳やくしゃみをするときに瞬時に手やハンカチで覆うことができない
◼︎おむつを替えるときに便の中のウイルスが浮遊する

これらを筆頭に感染原因となる行動は、乳幼児では完全に防ぐことはほぼ不可能なものばかりです。手足口病は一度かかると免疫ができますが、乳幼児はそれまで感染したことのない子が多いため、感染した場合発病する割合も高いのです。

手足口病で保育園を休む期間

手足口病に感染したら保育園や幼稚園は何日休む必要があるのでしょうか。大人の出社・出勤についてもまとめました。

症状が治まったら登園可能

手足口病は学校保健安全法による出席停止が義務付けられている感染症ではありません。規定の期間出席停止になる学校で予防すべき感染症は第1~3種までありますが、手足口病は学校で予防すべき感染症に該当していません。そのため発熱もなく、発疹も消え、本人の体調が良い時点で登園は可能です。

登園前には要確認

手足口病は基本的に数日で回復する夏風邪ですが、その後も2~4週間は便の中にウイルスが排出される感染症です。しかし水泡性発疹などの症状が出ているときと比べると、感染力は低下しています。そのため発症から便にウイルスが排出されなくなるまでの約1か月も休むことは現実的ではありません。ただし保育園や幼稚園によって登園するために医師の診断証明が必要など対応は異なりますので、症状が回復した後は登園する前に園に連絡をして状況を伝えると良いでしょう。

出社・出勤停止ではない

まれに感染する大人の手足口病に関しても出社・出勤停止は義務付けられていません。ただし大人の手足口病は子どもに比べそれぞれの症状が重症化する傾向にあり、スムーズに仕事や日常生活をおくるのは困難な場合が多いため、まずは病院を受診しましょう。症状が回復しても子ども同様その後も約2~4週間は体内にウイルスがあります。咳がでている場合はマスクを着用するなど配慮を心がけましょう。

手足口病を発症!正しい対処法

手足口病を発症したら、病院や薬、その他どのような対処をしたらいいのでしょうか。

手足口病の治療方法

手足口病の主な治療方法は「対処療法」です。手足口病に専用の薬はなく、病院へ行っても特別な治療方法はありません。状態に応じて痛みを和らげる鎮痛剤や、熱がひどい場合は必要に応じて解熱剤を使うなど、それぞれの症状に対処しながら自宅で安静にする治療となります。
まれに合併症がおこる場合もあるため、症状の経過観察はこまめにおこない、高熱がでる、嘔吐する、呼吸が速いなど少しでもそれまでと違う症状がでたときはすぐに病院で診察を受けるようにしてください。

脱水症状に注意

口の中にできた発疹が痛いときの食事は硬さが強い固形物を避け、刺激が無くのどごしがいいものをおすすめします。
手足口病の流行は夏のため、脱水症状に注意してください。体内も食欲が落ちて水分不足になりやすく、環境が暑いと熱中症にもかかりやすくなります。水や麦茶などこまめな水分補給が重要です。少量しか水分が摂れない時は、OS-1などの経口補水液をこまめに飲みましょう。

入浴時の注意点

子どもが手足口病に感染した場合、お風呂では家族が接触感染をしないよう気をつけることが大切です。同じ洗面器やタオルを使うことは、物体の表面を介した間接的な接触感染をおこす可能性がとても高くなります。また保護者が身体を洗ってあげるときに水泡性発疹がつぶれてしまうと、水泡の中にいるウイルスに接触感染してしまいます。

お風呂に入ることは禁止されていませんが、まずはシャワーだけにするなど症状や体調をみて調整してみましょう。水泡が消えたあとでも10日ほどは感染力が残っているため、一緒に生活している家族も気をつける必要があります。

プールは大きな感染源

手足口病が夏に流行する原因のひとつがプールだと考えられています。感染経路のひとつ接触感染は皮膚や粘膜からウイルスに感染します。プールの中で口、鼻、目からウイルスが侵入し、感染が広がるのです。そのため手足口病に感染後のプールに関しては慎重な対応が必要です。
症状が治まっても約一か月ほどはウイルスは体内から排出されます。もちろん感染力は弱まりますが、いつからプールに入れるかは医師の診察や通っている園の基準を参考にしましょう。

手足口病を予防しよう!

感染経路から考えて、乳幼児の集団生活において感染を完全に防ぎきることは困難です。あくまで夏風邪の一種ですので、正しい知識を持ち「予防はするけれど感染しても仕方ない」という意識で、あまり神経質にならずおおらかでいることも必要です。

手洗い

最も基本で、最も効果のある予防法です。子どもも周囲の大人もこまめに石鹸を使い丁寧な手洗いをしましょう。

おむつの処理

おむつ交換の際、使用済みおむつはビニール袋に入れ、しっかり口を閉じて処理しましょう。排便の後やおむつ交換の後は、入念に手を洗いましょう。

免疫力のために

免疫力が低下するとウイルスに感染しやすくなります。免疫力を高く保つことが必要です。そのためには生活リズムを崩さないための早寝早起き、バランスの取れた食事が大切です。
夏は基礎代謝エネルギーがあがるため、子どもの場合お昼寝は大切です。しかし夜の睡眠に影響するほどお昼寝をしてしまうと、生活リズムが崩れる原因となります。お昼寝は1時間程度を目安に、日差しが和らぐ15時以降に再度外で遊ぶなどして、夜はしっかり熟睡できるよう調節してあげてください。

保護者の正しい理解と対応

子どもが手足口病かな?と思う症状を確認したら、まずは園に連絡をする、病院で診察を受ける、発症したら感染経路に気をつけるなど、保護者の正しい理解と対応が感染を広げないためにとても大切です。

大人や妊婦の手足口病

手足口病は90%を子どもが占める病気ですが、大人でも手足口病に感染する可能性はあります。しかも大人が手足口病に感染した場合、軽症である子どもに対して大人は重症化する確率が高いのです。そのため、大人の中でも妊婦はとくに注意する必要があります。重症化には注意が必要ですが、妊娠している方が手足口病に感染しても、胎児に悪影響があるという報告は今のところありません。

■大人の症状の特徴
・発熱する
・痛みが強い
・かゆみがある
・爪に影響がある

手足口病の大人や妊婦の感染は、関連記事にて詳しく解説していますのでご参照ください!
関連記事:『大人の手足口病は重症化する?!症状・対処法を解説

おわりに

手足口病について、症状の特徴や原因、感染してしまった場合の対処法などを解説しました。
手足口病は夏風邪の一種なので、必要以上に不安がらず、適切に対処することが大切です。
また主に子どもの集団で流行する感染症のため、完全に防ぐことは困難ですが、病気の正しい知識を持ち予防法を実行しましょう。