りんご病(伝染性紅斑:でんせんせいこうはん)はウイルスによる感染症です。
子どもに多い流行性の発疹性疾患で、両頬が赤くなる症状が出ることから一般的にはりんご病の名で広く知られています。

流行の程度はその年々で差がありますが、大体4〜5年の周期で大流行します。毎年春の終わりから夏にかけて発症することが多いので、流行の季節には要注意です。
りんご病は子どもに多い病気の代表格ですが、大人もかかる病気です。特に妊婦はかかりやすいので気をつけなければなりません。母体には症状がなくても胎児へ影響を及ぼす可能性があるためです。

この記事では、りんご病の原因・症状・治療について、また、大人や妊婦がかかった場合の危険性について解説します。

りんご病とは?

りんご病は3~12歳の子どもに多く発症する感染症です。2歳以下の子どもや赤ちゃんに発症することは少ないですが、ゼロではありません。
子どもの時にりんご病を発症していない人は、大人になってから発症する可能性があります。特に免疫力が低くなりがちな妊婦は発症の可能性が高く妊娠中は注意する必要があります。

流行のサイクルは4〜5年に1度といわれていて、近年では2011年と2015年に大流行し、夏の時期にピークを迎えています。2016年は大流行とまではいきませんが、引き続き要注意です。

りんご病の原因

りんご病は「パルボウイルスB19」と呼ばれるウイルスに感染することで、りんご病を発症します。 最近の分類では、「エリスロウイルスB19」 が正式名称なのですが、現在も広くパルボウイルスB19の呼び名が用いられています。
パルボウイルスB19は、一度感染すれば終生免疫ができるので、その後はりんご病にかかることはありません。成人の約半数以上が、子どもの頃の感染により免疫を獲得しているといわれています。

しかしながらまれに、りんご病が治った後すぐに日差しを浴びたりすることで、再度りんご病の症状が出ることもあります。

りんご病の感染経路

感染経路は風邪やインフルエンザなどと同じで、飛沫感染と接触感染です。
飛沫感染はせきやくしゃみなどからパルボウイルスが飛び散り、口や鼻などの粘膜に直接触れてうつることで、接触感染はパルボウイルスが付着した手や子どものおもちゃなどの物に触れてうつることです。

パルボウイルス自体の感染力は、インフルエンザウイルスなど猛威を振るうウイルスとは異なり、それほど高くはないのですが、保育園や幼稚園、学校などの子どもの集団生活の場では感染を防ぐことは困難といえるでしょう。

りんご病の症状

りんご病は約1週間の潜伏期間のあと、風邪のような初期症状を経て、りんご病特有の症状を発症します。

潜伏期間:りんご病の症状はなし

パルボウイルスに飛沫感染、接触感染してからおおよそ7〜10日間が潜伏期間です。
この間に体内でウイルスが増殖し、風邪のような症状が出ることがあります。それからさらに1週間程度で、頰が赤くなるなどのりんご病特有の症状が出ます。

発症期①:りんご病の初期症状

りんご病の初期症状には個人差があり、症状が出る人と出ない人がいます。
主な症状は、発熱や鼻水、くしゃみなどの風邪と似ているので、りんご病が大流行していないと医師でも風邪と判断するケースがほとんどです。

実はこの頃がもっとも感染力が高い時期で、周囲への感染を防ぐためには、この段階で保育園や幼稚園を休ませるのがベストです。

しかしながらりんご病の初期症状は、風邪に似た症状が出ないケースも多いので、自覚症状がないこと、親や周囲の人が気づかないことがほとんどです。
そのため、本人が元気であってもウイルスを保持しているまま登園してしまうので、保育園や幼稚園などでは集団感染が起きてしまうのです。

発症期②:りんご病特有の症状

頰が赤くなる発赤(ほっせき)がりんご病の主な症状ですが、まれに発疹のような、かゆみや痛み、ほてりを感じることがあります。頰に発赤が出ていると同時に、腕や足にレース上の発赤や発疹が出るケースもあります。
りんご病特有の症状が出始めたらウイルスの感染力はほとんどありません。
そのため本人の体調に問題がなければ、幼稚園や学校などに行っても問題ないとされています。

回復期:りんご病の症状が落ち着く

頰の赤みやかゆみなどの症状が消えるまで、さらに1〜2週間を要します。
この間に、直射日光や熱いお風呂に入ると症状がぶり返す可能性があるので注意しましょう。

アトピーや血液の病気がある子どもの場合

アトピー性皮膚炎があるとかゆみや痛みが強く出る傾向があります。皮膚の症状が重い場合は皮膚科医に相談しましょう。
多くの子どもは、赤みやかゆみ、熱以外には無症状ですが、血液の病気がある場合、再生不良性貧血を起こすことがあります。一時的なものではありますが、念のためかかりつけの医師に相談しましょう。

【再生不良性貧血の症状】

・めまいや頭痛
・体がだるい、疲れやすい
・呼吸が速く、心拍数が多くなる(動悸や息切れを感じる)
・顔色が青白い

りんご病の治療

2016年現在、りんご病の原因であるパルボウイルスに対しての坑ウイルス薬はありません。
りんご病は命に関わるような重症化する病気ではなく、症状が軽ければ自然治癒する病気です。症状がほとんど出ずに、りんご病にかかったことに気がつかないケースもあるほどです。
りんご病は薬による治療は必要なく、高熱やかゆみなどの症状が出ている場合のみ、対症療法という形を取ります。

りんご病のかゆみには坑ヒスタミン薬

重症化する病気ではないといっても、かゆみや痛みがある子どもの場合、泣いて掻きむしってしまうケースも多々あります。かゆがったり痛がったりするときは早めに内科や皮膚科を受診しましょう。かゆみを抑える坑ヒスタミン薬が処方されます。

また高熱が出ている場合は、シロップや座薬タイプがあるカロナールが処方されます。

ミナカラお薬辞典:カチリ(かゆみ止め)/カロナール(解熱鎮痛剤)

お風呂はぬるめのシャワーにしよう

りんご病のときのお風呂は、高熱などのつらい症状が出ていなければいつも通り入っても大丈夫です。
ただし、かゆみが出ている場合は体温が上昇することでかゆみが増してしまうので、ぬるめのお湯でさっとシャワーする程度で済ませてあげてください。

爪は必ず短く切っておこう

りんご病が完治するまでには日数がかかります。かゆみが出ている場合は、大人であればある程度我慢できても子どもには難しいものです。爪は短く切って、掻き傷にならなように注意してあげましょう。赤ちゃんの場合は、寝ている間に掻かないよう手袋を付けておくと安心です。

もしかゆみが治まらない場合は、医師に相談して薬の処方を変えてもらうなどしましょう。子どもがかゆがっていても、お母さんが神経質にならずにいることも大事です。

日光は避けよう

赤みやかゆみの症状が出ている場合は、外出時に日光に当たらないように注意しましょう。症状が悪化する可能性があります。長袖の衣服や帽子などで日よけをしてください。

りんご病の学校出席停止期間について

りんご病は、学校保健安全法で出席停止を指定されている「学校感染症」ではないため、出席停止期間は定められていません。
誰が見てもりんご病だとわかる頬の赤みが出る頃には、ウイルスの感染力は弱くなっているか感染力はないことがほとんどです。
そのため、医師から感染の恐れがないと診断されたり、熱が高いなどの症状がなければ、頰が赤くなっていても幼稚園や学校を休ませる必要はありません。

幼稚園や保育園の登園

しかしながら、同じクラスの子どもたちに移してしまうのではないかという心配や、登園することで、りんご病に対して知識不足の人から、子どもが何か言われるのではないかと不安もあると思います。
事前に担任の先生に「ほっぺが赤くなったのはりんご病が治った証拠だよ」と子どもたちに説明してもらうよう、お願いしておきましょう。

それでも心配な場合は、赤みが治まるまで休ませてしまう方がお母さんも安心かもしれません。

小学校や中学校の登校

幼稚園や保育園と同じで、りんご病は「学校感染症」に指定されていないため、心配な症状がなければ登校しても問題ありません。

体育やプールなどは本人の体調次第です。病み上がりであることを考慮して、子どもとよく話し合って決めてください。

大人のりんご病について

りんご病は一度かかったら、二度とかからない病気と言われていますが、子どもの頃に発症したことがない方の場合、大人になってからも発症する可能性はあります。

大人のりんご病はつらい症状が多い

子どもから大人に感染したりんご病であっても、子どもとは異なり大人の場合はつらい症状に悩まされるケースがみられます。

【大人のりんご病の症状】

・高熱や激しい頭痛
・強い吐き気やめまい
・筋肉痛や関節痛
・強いかゆみを伴う発赤

大人になってからりんご病に感染した場合、60%の人は発赤や発疹などの症状が現れないのですが、中には比較的重い症状が出る人もいます。軽いりんご病であれば薬も治療も不要ですが、このような重い症状が出てしまったらすぐに病院に行ってください。

解熱鎮痛剤や吐き気止め、かゆみ止めなどの症状に合った薬が処方されます。

関連記事:大人のりんご病は頬が赤くならない?症状・感染経路・治療法について

妊婦のりんご病について

妊娠中はさまざまな病気に気をつけなければなりませんが、りんご病も同じです。りんご病を子どもの頃に発症せずに成人した場合、とくに注意が必要になります。

りんご病の胎児感染

妊婦がりんご病にかかった場合、母体に症状がないまま胎児へ感染し、全身のむくみや心不全などの症状をもつ胎児水腫となるケースがあります。

胎児水腫は発症率は少ないものの、胎児が重症の貧血を起こし、胎児の体内に水分がたまって全身がむくんでしまい、お腹の中、もしくは生まれてすぐ亡くなってしまうことが多い病気です。

身近な人がりんご病であれば、母体にりんご病の症状はでなくても感染に気付かず胎児にも感染している可能性があります。

りんご病が母体から胎児へ感染しても、必ず死産につながるわけではなく、無事に出産までたどり着く人も多くいます。妊娠中にできることは、周囲にりんご病にかかった人がいる場合、1日も早く主治医に相談することです。

胎児水腫を防ぐのは難しい

母体がりんご病に感染したかどうかは採血でわかりますが、胎児への感染は羊水や超音波異常、臍帯採血や胎児の体液中にウイルスがいるかなどを調べる必要があります。

しかしながら、母体が無症状であった場合、原因が分からずに胎児が亡くなってしまって、後に調べたらりんご病から胎児水腫を発症したと分かるケースがほとんどです。

りんご病を予防することが一番ですが、りんご病が感染する時期は無自覚、無症状であることが多いので、予防は困難を極めます。周囲と隔離されるのが確実といえますが、現実的ではありません。

りんご病の予防

りんご病は子どもの集団生活の中で感染しやすいので、完全にウイルスを遮断するのは難しいといわれています。しかし、日常でできる予防対策でも感染拡大を防げることがあります。可能な限りウイルスに対する予防策を実践するようにしましょう。

りんご病の予防接種はある?

パルボウイルスに対しての坑ウイルス薬がないように、2016年現在りんご病のワクチンはありません。予防接種を受けることができないため、流行期には家族で予防をすることが大切です。

手洗い・うがい・マスクの着用

りんご病の流行期には、毎日の手洗いうがいの習慣をふだんより丁寧に行いましょう。
また、マスクの着用は、風邪やインフルエンザなどの予防と同じで、ウイルスが体内に侵入することをある程度抑える効果が認められています。小さい子どもがいる場合は、子どもと一緒に毎日の習慣にしましょう。
また、妊娠中はりんご病以外の感染症防止も考えて、外出時のマスクの着用は必須です。

十分な睡眠と栄養バランスのよい食事

体力と免疫力をしっかりとつけておくことが、りんご病予防の大前提です。
睡眠時間の目安は、幼児であれば14時間、幼稚園児で10〜13時間、小学生で10〜11時間くらいの睡眠を取れると良いでしょう。大人であれば6〜7時間は確保するのが望ましいです。

そのほかは基本的なことですが、毎日の入浴や栄養バランスの取れた食事、適度な運動といった規則正しい生活が健康維持につながっていきます。

さいごに

症状を自覚できない時期が、もっとも感染しやすい時期であるりんご病。
りんご病の集団感染を防ぐのはとても難しいので、自分で意識して気をつけるしか予防策はありません。

子どもであれば重症化の恐れはありませんが、妊婦は他の病気を防ぐ意味も込めて、手洗いやマスク使いなど普段からできる限りの予防をしておきましょう。