脇の湿疹に市販薬は効く?

肌がブツブツとしたり赤くなっている脇の湿疹には、炎症やかゆみを鎮める作用のある成分が配合されている市販薬の使用が効果的です。

抗炎症成分の中でも「ステロイド」は、炎症やかゆみを鎮める作用にすぐれています。

かゆみが強い場合には、かゆみの原因物質であるヒスタミンの働きをおさえる「抗ヒスタミン成分」、かゆみの伝達を止める「局所麻酔成分」が配合された薬がおすすめです。

湿疹が化膿している場合は、炎症やかゆみを鎮めるステロイドとともに雑菌の増殖をおさえて殺菌する「抗生物質」が配合された薬を使用しましょう。

ただし、広範囲に湿疹が広がっている場合、発熱や倦怠感、痛みやしびれなどの症状をともなう場合は病院を受診してください。

脇の湿疹におすすめの市販薬

湿疹の炎症やかゆみを鎮める成分の配合された市販薬には、次のようなものがあります。

自身が悩んでいる症状と照らし合わせ、適切な薬を選びましょう。

症状 市販薬
かゆみが強く赤みや炎症が起こっている オイラックスPZリペア軟膏
かゆみと炎症がある オイラックスA
かきむしってしまった・化膿しそう、かゆみはない ドルマイシン軟膏
軽度な炎症・化膿、かゆみはあまりない クロマイ-P軟膏AS
かゆみがありかぶれている ラナケインS
症状はかゆみのみ 新レスタミンコーワ軟膏

オイラックスPZリペア軟膏

湿疹・かぶれ・皮膚炎・蕁麻疹・汗疹・かゆみ・虫刺されに効果があります。

炎症をおさえるステロイド成分や、かゆみをおさえるクロタミトンが配合されています。

ステロイド成分はプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルで、ステロイドの強さ5段階のうち3番目のストロング(強い)に分類されます。

市販薬としてはストロング、ミディアム、ウィークが販売されていますので、市販薬ではたもっとも強いステロイド成分になります。そのため、炎症や赤み、かゆみが強い方におすすめです。軟膏タイプの他にクリームタイプがあります。

1日数回、適量を患部に塗って使用します。

包装単位 メーカー希望小売価格(税込)
5g 1,058円
10g 1,944円

オイラックスA

オイラックスPZリペア軟膏よりもステロイド強さが低いミディアムのヒドロコルチゾン酢酸エステルが含まれています。

かゆみを鎮める効果の強い抗ヒスタミン成分、ジフェンヒドラミンが配合されています。炎症よりもかゆみが気になる人におすすめです。

包装単位 メーカー希望小売価格(税込)
10g 864円
20g 1,512円
30g 2,052円

ドルマイシン軟膏

2種類の抗生物質が配合されおり、傷ややけどの化膿性皮膚疾患、二次感染の予防および治療に効果的です。患部の化膿を予防する作用があります。ステロイドや抗ヒスタミン成分が配合されていないためかゆみを止める作用はありません。化膿しそうな湿疹やかきむしってしまった湿疹などに使用することをおすすめします。

包装単位 メーカー希望小売価格(税込)
6g 648円
12g 1,080円

クロマイ−P軟膏AS

ステロイド成分プレドニゾロンと2つの抗生物質クロラムフェニコール、フラジオマイシン硫酸塩が配合された薬です。

プレドニゾロンの強さはウィーク(弱い)に分類されるため、軽度な湿疹・皮膚炎・汗疹・かぶれなどの症状におすすめです。

ただし、化膿がひどい場合は市販薬の使用を中止し、皮膚科を受診しましょう。

包装単位 メーカー希望小売価格(税込)
6g 1,068円

ラナケインS

非ステロイドの軟膏です。局所麻酔の作用と抗ヒスタミン成分ジフェンヒドラミン塩酸塩が配合されているため、かゆみを鎮めます。

殺菌成分のイソプロピルメチルフェノール配合で、傷がある患部にもおすすめです。

包装単位 メーカー希望小売価格(税込)
30g 950円

新レスタミンコーワ軟膏

非ステロイドの軟膏です。有効成分は抗ヒスタミン成分であるジフェンヒドラミン塩酸塩のみ。

症状がかゆみのみの方や、原因や症状が判断できない時や、病院に行く前にとにかくかゆみをおさえたいという方におすすめです。

※薬の価格は2018年5月現在のものです

脇に湿疹ができる原因は?

脇に湿疹やかゆみの症状がでる理由には、市販薬では対処できない病気が関わっている場合もあります。

まずは市販薬で対処し、おおよそ5〜6日以上使用しても改善がみられない場合は、皮膚科を受診しましょう。

カミソリ負け(尋常性毛瘡)

カミソリ負け(尋常性毛瘡:じんじょうせいもうそう)は、脇毛をカミソリで剃った際にできた小さな傷に菌が入り、毛穴が炎症を起こす病気です。

主に、発疹や赤み、痛痒さなどの症状が現れます。

脇のほか、ひげなどの硬い毛をカミソリで剃った場合に症状が見られることがあります。

<原因>

カミソリ負けによる炎症は、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌に感染することで発症します。

切れ味の悪いカミソリを使用したり、毛の流れに逆らってカミソリを当てたりすることで皮膚に傷がつき感染します。また、カミソリ負けの状態のままカミソリを使用し続けると、さらに菌が増殖し、症状が悪化する原因となります。

<対処法>

まずはステロイドと抗生物質の配合された「ドルマイシン軟膏」や「クロマイ-P軟膏AS」などの市販薬を使用し、改善が見られない場合は皮膚科を受診しましょう。

また、カミソリでの脇毛の処理を中止したり、カミソリを使用する頻度を減らしたりすることも対処法として有効です。

汗疹

汗疹(あせも)は、汗により皮膚が炎症を起こし、湿疹・かゆみ・水ぶくれなどの症状を引き起こします。

脇のほか、頭・額・首・関節の内側・お尻などの汗が乾きにくい部位に症状が現れやすくなります。

<原因>

大量の汗をかいた際に、汗が皮膚に溜まってしまうことで炎症が起こります。

汗は本来であれば、皮膚の下にある「汗菅(かんかん)」という管を通り、「汗孔(かんこう)」という出口へ通じます。この流れがうまくいかなくなると汗が汗菅の周りの組織へ漏れてしまい、皮膚に炎症を起こすのです。

<対処法>

軽度の症状であれば、放置して自然治癒することも可能です。

かゆみが強い場合は「オイラックスA」などの市販薬を使用します。また、汗疹は発汗をおさえることも治癒につながるため、脇を乾燥させるクリームなどを使用する場合もあります。

紅色陰癬

紅色陰癬(こうしょくいんせん)とは、通称「またずれ」と呼ばれる病気です。

脇のほか、足の指の間・太ももの付け根・乳房の下・腹部の皮膚がこすれ合う部分などにも症状が現れることがあります。皮膚どうしがこすれ合う部分や抵抗力の弱い人に発症しやすいため、肥満の人や糖尿病患者によくみられます。

主な症状には湿疹やかゆみのほか、脇にピンクや赤みを帯びたまだら模様ができたり、皮膚が細かく剥がれ落ちることがあります。

<原因>

紅色陰癬は、コリネバクテリウム・ミヌティシマムという細菌に感染することで引き起こされます。

脇などは皮膚どうしがこすれ合う部分であるため、汗をかくと感染症を引き起こしやすくなります。

<対処法>

まずは脇を乾燥させ、清潔に保つことが大切です。通気性の良い衣服を着用することもおすすめします。市販薬では、「オイラックスPZリペア軟膏」や、かゆみが強い場合は「オイラックスA」などがおすすめです。

細菌の感染を防ぐには抗生物質の配合された「ドルマイシン軟膏」や「クロマイ-P軟膏AS」などの薬がおすすめです。

また、紅色陰癬は再発しやすいことも特徴のひとつです。症状がひどい場合や再発を繰り返す場合は、皮膚科を受診しましょう。

接触性皮膚炎

接触性皮膚炎とは、いわゆる「かぶれ」や湿疹の症状をさします。何らかの物質に接触したことで、それが刺激となり皮膚が炎症を起こし、湿疹・かゆみ・発疹などのあらゆる症状を引き起こします。

症状が引き起こされる仕組みは、「刺激性接触皮膚炎」と「アレルギー性接触皮膚炎」の2つに分けられます。刺激性接触皮膚炎は、化学物質によって皮膚が直接傷つけられることによる症状です。また、アレルギー性接触皮膚炎は、皮膚に接触した物質に対する免疫反応として引き起こされる症状です。

接触性皮膚炎による症状は、脇に限らず皮膚のどの部分にも原因となる物質が接触すれば起こりうるものです。

<原因>

身の回りにある物すべでが接触性皮膚炎の原因となりえます。脇の場合は、制汗剤による刺激性接触皮膚炎が考えられます。

<対処法>

接触性皮膚炎は症状が軽度であれば、「ラナケインS」などの市販薬での対応が可能です。

接触性皮膚炎の治療においてもっとも重要なことは原因物質との接触をなくすことであり、炎症の原因となっている物質を特定する必要があります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、かゆみと湿疹の症状が繰り返される病気です。脇のほか、顔・首・耳・ひじ・膝などにも発症する場合があります。

かゆみや湿疹のほか、皮膚の赤み、腫れなどが見られることもあります。発症の仕方には波があり、悪化したり一時的な回復を見せることがあります。また、その程度や期間には個人差があります。

<原因>

肌が乾燥することによる皮膚のバリア機能の低下・アレルギーになりやすい体質・発汗による皮膚への刺激・ストレスなど、アトピー性皮膚炎の原因は多岐に渡ります。また、それらについて明確に分かっていない部分があることが実情です。

<対処法>

アトピー性皮膚炎が疑われる場合は、皮膚科を受診しましょう。

治療薬としては、ステロイド薬や抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬など飲み薬や塗り薬が使用されます、また、薬の使用と平行して保湿クリームも使用します。

重症度が高い場合は、免疫抑制薬も使用されることがあります。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは、皮脂の分泌が多い部位に炎症が起こる病気です。脇のほか、頭皮・顔・背中・胸などにも症状が現れることがあります。

脇に赤みが出たり、湿疹が出たりすることが主な症状です。基本的にかゆみは少ないことが特徴です。

<原因>

脂漏性皮膚炎は、遺伝的要因・環境的要因・精神的ストレスなどが関与していると考えられていますが、明確な原因やその詳細については分かっていない部分があることが現状です。

しかし、近年では人間の皮膚に常在している「マラセチア菌」というカビの一種が関与していることが分かっています。

マラセチア菌は皮脂を栄養素とし、皮膚に刺激を与えて炎症を起こします。そのため、皮脂の分泌が増えるとマラセチア菌の量も増え、結果的に脂漏性皮膚炎を発症および悪化させてしまうのです。

<対処法>

脂漏性皮膚炎はさまざまな原因があるため、まずは生活習慣の見直しをする必要があります。

脇を清潔に保つことや、皮脂の過剰分泌の原因となる食事の改善をします。ストレスや睡眠不足も原因となるため注意しましょう。

生活習慣を見直しても脇の湿疹やかゆみが改善されない場合は、皮膚科を受診します。皮膚科では治療薬として、皮膚の炎症をおさえるためのステロイド薬や抗真菌薬を使用します。かゆみがある時はヒスタミン薬を使用します。また、皮脂の分泌をおさえるためにビタミン剤を使用することもあります。

薬での治療をしている場合でも生活習慣の見直しは引き続き行いましょう。

カンジダ症

カンジダ症は、カンジダ属に分類されるカビによる感染症です。

腟カンジダ症などで名前が知られますが、腟だけではなく脇・口角・口の中・皮膚どうしがこすれ合う部分などにも発症するおそれがあります。

湿疹・かゆみ・腫れ・発疹・皮膚が細かく剥がれ落ちるなどの症状が現れます。

<原因>

カンジダ症は、湿り気の多い皮膚で発症しやすい傾向があります。

高温多湿の気候下や締め付けの強い衣類の着用によってカンジダが過剰に増殖し、カンジダ症を引き起こすことがあります。また、糖尿病患者や免疫機能をおさえる薬を服用している場合は、免疫力が低下していることによりカンジダ症を発症しやすくなります。

<対処法>

カンジダ症の場合は、必ず皮膚科を受診しましょう。

抗真菌薬や脇を乾燥させるクリームなどを使用し、治療を進めていきます。

疥癬

疥癬(かいせん)とは、「疥癬虫(ヒゼンダニ)」と呼ばれる小さなダニが皮膚に寄生する病気です。

脇のほか、手首・手のひら・足首・足の裏・外陰部などに症状が現れることがあります。

眠れないほどの強いかゆみが特徴で、湿疹などの症状もみられます。

<原因>

疥癬中が人から人へうつり、皮膚に寄生し繁殖することで発症します。

疥癬虫の成虫が交尾をした後、人間の体のあらゆる部位に「疥癬トンネル」という横穴を掘り、そこに卵を産みつけます。

卵は通常3〜4日でかえり、その後、人間の皮膚などを食べながら幼虫、若虫、成虫へと成長し、繁殖をつづけます。

<対処法>

疥癬を発症した際は、必ず皮膚科を受診しましょう。

治療にはおよそ2週間〜1か月の期間を要します。自己判断で治療を中断すると完治しないだけではなく、家族や身の回りの人にうつしてしまうおそれがあるので注意しましょう。

治療薬としては、抗疥癬薬やステロイド薬、抗ヒスタミン薬などが使用されます。また、治療期間中は、家族内での布団やタオルなどの共用を止め、人とのむやみな接触はできるだけ避けましょう。

おわりに :症状が長く続く場合は皮膚科へ

市販薬は基本的におおよそ5〜6日を目処として使用し、それでも改善がみられない場合は薬の使用を止め、皮膚科を受診しましょう。

アトピー性皮膚炎やカンジダ症が疑われる場合は、むやみに市販薬を使用すると悪化や副作用のおそれがあります。自己判断で市販薬を使用せず、少しでも疑いがある場合は皮膚科を受診し、医師の指示のもと治療を進めましょう。

また、薬に関する質問は、ミナカラ薬剤師QAにて無料で受付をしています。現在使用している薬との併用についての不安や成分に関する疑問など、気軽に問い合わせください。