ワセリンは床ずれに使える?おすすめのワセリンを紹介
床ずれにワセリンは使用できるのかどうか解説します。また、ミナカラ薬剤師おすすめのワセリンも紹介しています。併せて、ワセリンの使い方についてもピックアップ。
2019年02月17日
床ずれの原因・対処・お薬・疑われる病気を解説します。分からないことがあれば薬剤師に相談することができます。
皮膚が長時間圧迫され血管が押しつぶされると、皮膚やその下にある皮下脂肪組織、筋肉への血流が途絶えます。一定時間、必要な酸素や栄養が途絶えた細胞は傷つき、最終的に壊死を起こすのです。
布団やベッドで体を起こしたりタオルなどで体を拭くと、皮膚の表面と内部にずれが生じます。すると筋肉から皮膚につながる血管が引き伸ばされて細くなり、皮膚の血行が妨げられて床ずれの原因となります。高齢者は皮膚の弾力が衰えてしわやたるみが増えるので、床ずれを起こしやすくなります。
汗や尿・便によって皮膚が湿っていたり、おむつを使用していると、皮膚表面の細胞や血管がふやけて傷つきやすくなり、床ずれとなります。
しびれや麻痺などで感覚が鈍っていると、強い圧力が加わっても気づかないことがあります。また神経が麻痺していると自分で体を動かしにくいので、同じ姿勢を長く続けてしまい床ずれが発生します。
また食事を十分に摂れずに痩せてしまうと皮下脂肪が減少して骨が突出し、床ずれを起こしやすくなります。
抗がん剤やステロイド剤などの使用で免疫力が落ち、皮膚が感染を起こしやすくなることでも床ずれとなります。
床ずれ予防の基本は、長時間同じ場所に圧力が集中するのを避けることです。仰向けで寝ていると、頭部・肩甲骨部(背中)・仙骨部(おしり)・足(かかと)に圧力がかかり、この部分に床ずれが発生します。
仰向け、横向きが交互になるよう、2時間ごとを目安に定期的に体の向きを変えるようにしましょう。車いすに座っている場合は30分~1時間おきに座り直しを行います。シーツや寝間着の小さなしわも皮膚を圧迫し、床ずれの原因となることがあります。体位を変える際にしわがないかも確認してください。
骨の部分など一点にかかる圧力を分散させる工夫も大切です。かかとの床ずれ予防には、膝から足首の部分にクッションを入れてかかとを浮かせます。おしりの中央にある骨(仙骨部)や太ももの骨が突出している部分(大転子部)の床ずれ予防には、横向きになって、さらに体を約30度傾けた姿勢になると、ベッドのマットや布団に触れる面積が広くなり、圧力を分散できます。
皮膚が薄く弱い高齢者では、骨の突出した部位をあらかじめテープ(ポリウレタンフィルムドレッシング材)やすべり機能付きドレッシング材、ソフトシリコンドレッシング材などで保護する方法もあります。
寝たきりの状態が長い方には、エアーマットレスやウォーターマットレスなど体圧分散寝具を使用する方法があります。レンタル業者から介護保険を利用して借りるなど、ケアマネジャーに相談してみてください。
排泄物やおむつの蒸れから肌を守るためには、皮膚を洗ったあとに肛門・外陰部から周辺皮膚へクリームを塗るといいでしょう。皮膚を洗う際もゴシゴシ擦らずに、優しく丁寧に洗ってください。
栄養状態が悪化して痩せ過ぎると、骨が突出したり、皮膚が薄くなってしわが増えるなど床ずれしやすくなります。たんぱく質を多く含んだ食品を摂るなど、栄養状態の改善も心がけましょう。
圧迫されている部位の皮膚が赤くなり、体位を変えても30分以上赤みが消えずに残っていたら要注意です。入浴などで血行をよくしたり、赤くなった部位に圧力がかからないよう配慮してください。
皮膚が白くなったり、黒く変色すると壊死に至ります。壊死した皮膚は徐々にえぐれ、潰瘍となります。
いったん床ずれが発生すると治るのに時間がかかり、本人にも介護者にも大きな負担がかかります。悪化を防ぐためにも、出来るだけ早くケアマネジャーや医師に相談しましょう。
床ずれには塗り薬の使用が一般的です。発赤や紫斑(あざ)、水疱などがある場合は床ずれ面を保護してください。ジメチルイソプロピルアズレンなど、創面保護作用の高い油脂性基剤を使用します。水疱には塗り薬を多めに塗って、水疱を破らないよう注意しましょう。
水疱が破れたり、びらんや浅い潰瘍がある場合は、酸化亜鉛、ジメチルイソプロピルアズレンの他、上皮形成を促進させるアルプロスタジルアルファデクス、ブクラデシンナトリウム、リゾチーム塩酸塩を用いることもあります。
床ずれ部分がジュクジュクして滲出液が多い場合は、滲出液吸収作用があるカデキソマー・ヨウ素、ポピドンヨード・シュガー、デキストラノマー、ヨウ素軟膏を使用します。滲出液が少ない場合は乳剤性基剤の軟膏で、感染創にはスルファジアン銀、非感染創ではトレチノイントコフェリルを使用します。
傷口に感染や炎症を伴う場合は、感染制御作用があるカデキソマー・ヨウ素、スルファジアン銀、ポピドンヨード・シュガーの使用が推奨されています。
また、傷口を覆う医療用材料(ドレッシング材)も傷の深さや滲出液の量に合わせて使い分けると治りが早まります。滲出液が少ないびらんや浅い潰瘍ではハイドロコロイド、滲出液が多い場合はポリウレタンフォームで過剰な滲出液を吸収します。
いずれも種類が多いので、悩んだときは看護師や薬剤師と相談し、治療効果をみながら使い分けましょう。なお症状がひどい場合には医師に診てもらい薬を処方してしてもらいましょう。
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