毎年夏場を中心に、身近に起こる皮膚トラブルのひとつが「虫刺され」です。

虫刺されの原因は蚊だけではありません。屋外でも屋内でも、人を刺す虫は生息しています。

この記事では、虫刺され症状と虫の種類の見分け方、そして虫に刺されたときの対処法について解説します。

虫刺されが起こる虫の種類と特徴

虫刺されで起こる症状は、刺した虫の種類によってさまざまです。

虫の種類と虫刺されの症状の特徴について解説します。

ハチ

山奥などに多く生息しますが、一般の家屋に巣を作ることもあるため注意が必要です。

家の外に干していた洗濯物に紛れ込んで室内に入り込むことも多いため、気をつけましょう。

初めて刺されたときは、刺された直後〜数時間以内に痛み・皮膚の赤み・腫れが生じます、大抵は数日で軽快します。

しかし、複数箇所同時に刺された、もしくは2回目以降刺された場合や体質によっては、アナフィラキシーショックなどのアレルギー反応によって症状が強く出ることがあるので、ハチに刺された場合は速やかに病院を受診しましょう。

マダニ

マダニはダニの一種ですが一般に家の中に住むダニとは違い、公園や草地、河川敷などの屋外に生息し、固い表皮に覆われているのが特徴です。

マダニは吸血する前でも3〜4mmという大きさのため、肉眼で確認することができます。マダニの多くは野生の動物に寄生して生息していますが、野山などで動物から人へ乗り移り、皮膚にくっついて血を吸います。

刺されると皮膚が赤く腫れますが、かゆみをともなわないことが多く、刺されていることに気がつかないケースもあるので注意が必要です。

■感染症のおそれも

マダニに刺されることによって、日本紅斑熱やライム病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの感染症を引き起こすこともあり、重症例は命に関わることもあります。

マダニを介してウイルスなどに感染した場合は、刺されて数日〜数週間後に発熱・赤い斑点・発疹・倦怠感・頭痛・筋肉痛・吐き気や嘔吐・下痢・腹痛などの症状が出ることがあります。

草むらで作業したり山に入ったりした後に異常が現れた方や、マダニにかまれた心当たりがある方は、速やかに病院を受診しましょう。

なお、肌についたマダニを無理やり取ると、マダニの口だけが肌に残ったり、マダニの体内の病原体を逆流させてしまうおそれがあるため、取り除こうとして触らずに皮膚科で処置を受けましょう。

ムカデ

ムカデに刺されると、激しい痛み・かゆみ・腫れなどの症状が現れます。

ムカデの毒によって、頭痛・発熱・めまい・吐き気・じんましん・呼吸困難などの重い症状が現れる方もいます。

症状が強く出る場合は、速やかに病院を受診してください。

蚊は、メスだけが夏場の産卵期に栄養源として人の血を吸います。

刺されてから症状が出るまでの時間は年齢によって異なり、成人は刺された直後から症状が出ますが、小さい子どもの場合は刺されてから数日〜1週間後に症状が出ることもあります。

小学生くらいになると、刺されてすぐ症状が出たあと、数日後にふたたびかゆくなるケースもみられます。高齢者になると刺されても症状が出ないことが多くなります。

人によって現れる症状の強さには個人差がありますが、主に激しいかゆみをともなって赤く腫れ、ひどい場合は水ぶくれができることもあります。

掻きこわしてしまうと症状が悪化して「とびひ」という別の皮膚疾患になってしまうこともあるため注意が必要です。

また、ごくまれではありますが、蚊アレルギーと呼ばれる38℃以上の高熱や患部の潰瘍・炎症などをともなう症状が現れることがあるので、発熱や強い症状が現れた場合は病院を受診しましょう。

ダニ

ダニは、屋内に生息する約0.3mm〜1.0mmの虫です。

ダニは多くの種類が生息しますが、屋内で生息し人を刺すのは主に、ヒョウヒダニ・イエダニ・ツメダニ・コナダニです。

ダニに刺されると数時間〜数日後に強いかゆみが発生し、数mm〜2cmほどのしこりのある赤いブツブツができることもあります。

個人差がありますが、症状は数日から7日程度続きます。

ノミ

ノミはさまざまな種類が存在しますが、近年の被害はほとんどが犬や猫に寄生するネコノミによるものです。

刺されると数ミリ程度の小さな発疹が複数できたり、強いかゆみ・赤い腫れ・水ぶくれ・かさぶた・色素沈着などの症状が出たりすることがあります。

多くの場合は、1週間程度で治ります。

アブ

アブはウシやウマなどを好んで吸血しますが、動物がいない場合は人間を狙ってきます。

針を刺して吸血するのではなく、皮膚を切り裂いて流れる血を吸うため、激しい痛みをともなうのが特徴です。

噛まれた直後は激痛が走り、その後に強いかゆみ・赤い腫れ・灼熱感の症状が出ます。

ブヨ(ブユ・ブト)

ブヨは体長2mm〜4mmほどのハエによく似た虫です。

山の水辺に多く生息し、朝と夕方に活動します。蚊などと違い、皮膚を刺すのではなくかじって流れ出た血を吸います。

刺されるとわずかな痛みの後に少量出血し、数時間後に強いかゆみをともなって赤く腫れ上がります。

また、結節性痒疹(けっせつせいようしん)という、刺されたことによるアレルギー反応で炎症を起こすケースもあります。

毛虫・毒蛾

毒蛾の幼虫は全身に数十万から数百万の毒針毛(どくしんもう)や毒棘(どくきょう)をもち、成虫はお尻の先にも毒針毛があります。

なお、羽から出る鱗粉には毒はありません。

刺されると、かゆみ・皮膚の赤み・痛み・腫れなどの症状が現れ、じんましんのような赤いブツブツが広範囲にわたり発生することもあります。

まれに嘔吐・頭痛・麻痺・けいれんなどの重篤な症状が出ることもあるので、重症の場合は病院を受診しましょう。

虫刺されで病院を受診するべき場合は?

虫刺されは自然治癒したり、市販薬を使用して治療したりできるものが多くを占めます。

ただし、刺された虫の種類や症状によっては、市販薬を使わず、すぐに病院での治療が必要な場合もあります。

虫に刺されたときは、市販薬を使用する前に次のことに注意してください。

すぐに病院を受診すべき場合

次のような場合は、速やかに近くの病院を受診してください。

・刺された部位が広範囲で重症の場合
・刺された後に蕁麻疹や息苦しさ、発熱、気分不良などが出た場合
・ドクガ、チャドクガなどの毒性の強い虫や、マダニなど感染症を媒介する虫に刺された場合
・ハチ、ムカデに刺された場合

病院の受診を推奨する場合

次のような場合は、市販薬を使わずに病院を受診することをおすすめします。

・かきむしって化膿している場合
・刺された部分に水疱(水ぶくれ)、膨張、灼熱感、強い痛みがある場合
・市販薬を5〜6日間使用しても症状が改善しない場合

虫刺されの対処法

虫に刺された際、まずは患部を石鹸などを使って水で洗い流して清潔にしましょう。

特に、毛虫やハチに刺された場合は微細な毒針や毒毛が付着していることがあるため、患部をよく洗い流すか粘着テープ・毛抜きなどを使って取り除きましょう。

患部の炎症をおさえるために氷水や氷のうなどで冷やすのもひとつの手です。

患部を掻き壊さないこと

虫に刺された患部を掻き壊してしまうと、皮膚がジュクジュクと炎症を起こし、治りが遅くなります。

また、患部から出た血液などがほかの場所に付着して、とびひなどの二次感染を招くおそれもあります。

かゆくてもなるべく掻かないようにし、子どもの場合は搔き壊しを防止するためにパッチなどを貼ってしまうことも有効です。

市販薬を使う

患部を流水で清潔にした後、かゆみや腫れなどの炎症が起こっている場合は市販薬を使用しましょう。

虫刺され用の市販薬の成分には、かゆみをおさえることが目的の抗ヒスタミン成分・局所麻酔成分や、腫れや痛みなどの炎症をおさえるステロイド成分などがあります。

虫刺されは、症状によって適切な市販薬が異なります。

虫刺され用の市販薬を選ぶときは、症状に合わせて、薬に含まれている成分を確認しながら市販薬を選びましょう。

また、子供と大人では使用できる市販薬が異なるので注意してください。

虫刺されに使える市販薬について、詳しくはこちらの関連記事をごらんください。

おわりに 

虫刺されの原因となる虫にはさまざまな種類があり、虫によって症状も異なります。

しかし、症状が似通っている場合もあり、必ずしも症状で虫を特定できる訳ではありません。

自己判断で断定せずに、症状がひどい場合や不安がある場合は一度病院を受診しましょう。