保湿剤の効果的な使い方
保湿剤には、特に決められた塗り方はありませんが、塗る際にいくつかのポイントを意識しておくとより効果的に使用できます。
ここでは、保湿剤を塗るときに役立つポイントを紹介します。
塗る前に準備しておきたいこと
まず、保湿剤を使用するときは、事前に手をきれいに洗っておきましょう。塗りたい部位に汚れがついている場合は、洗い流して清潔にしておくと良いでしょう。
また、水分による保湿剤の容器への細菌汚染を防ぐため、保湿剤を塗る前には洗った手をよく拭き、水分が残らないようにしてください。
塗り方のコツ
保湿剤の塗り方には、主にやさしく塗り広げる「塗布(とふ)」と擦り込むように塗る「塗擦(とさつ)」の2通りあります。
保湿剤の大部分は、擦り込むように塗る「塗擦(とさつ)」という塗り方が適しています。
特に、乾燥肌に使用する場合は、優しくマッサージする要領で、擦り込むように塗ると薬剤の吸収量も増加するので効果的です。
ただし、あまりゴシゴシと強く擦り込むと肌を傷つけてしまうので、やさしく塗りましょう。
塗る際は、皮膚のしわにそって塗ると、ムラなく塗り広げることができます。
また、打身やねんざによる腫れ、ひび、あかぎれなど、擦り込むと痛みがある患部に使う場合は、薬剤をガーゼなどにのばして貼って使用することがおすすめです。
なお、保湿剤の塗り方は製品によって異なるため、どちらの塗り方が良いかは、製品の説明書の「用法・用量」や「使用法」の欄を参考にしてください。
塗る回数
塗り薬を塗る回数は、1日2〜3回程度が目安です。
1回に大量に塗るよりも、塗る回数を2〜3回に分けて塗った方が保湿効果が高まる研究結果があるので、1日2〜3回程度に分けて塗ることをおすすめします。
また、1日2回を1週間程度継続して使用すると、使用中止後もしばらくの間効果が持続するという報告もあります。
ただし、原則として、保湿剤を塗る回数について医師から指示がある場合は、医師の指示にしたがってください。
塗る量
保湿剤を塗る量の目安は、軟膏・クリーム・ローションといった剤形によって異なります。
◆軟膏・クリームの場合◆
軟膏・クリームを塗る量の目安をはかる場合は、人差し指を使いましょう。
薬のチューブを絞り、人差し指の先端から第一関節まで出した量(約0.5g)が、手のひら2枚分程度の面積に相当します。
ただし、容量が5g程度の小さいチューブの場合は、人差し指の先端から第一関節までを2回絞り出した量が手のひら2枚分程度の面積に相当します。
◆ローションの場合◆
ローションタイプの薬の場合は、薬を1円玉程度の大きさに広がるように出した量(約0.5g)が、手のひら2枚分程度の面積に相当します。
塗るタイミング
保湿剤を塗るタイミングとしては、入浴後が適しています。
入浴直後の皮膚は、柔らかくなっているため、薬の吸収がよくなります。特に、手のひらや足の裏などの皮膚が厚い部位は、入浴後に塗ると良いでしょう。
1日2回使用したい場合は、朝と夕(入浴後)に使用することをおすすめします。
保湿剤はいつまで使い続ければいい?
保湿剤は、まず5~6日間の使用を目安として使用してください。5~6日間使用して改善が見られるようでしたら、しばらく使い続けてください。
症状がまったく改善していない、あるいは悪化している場合は、添付文書を持って皮膚科の医師などにご相談ください。
症状が改善した場合は、漫然と保湿剤を使用せずに使用を中止してください。
また、しばらくお使いになっても治りきらない場合や、症状の改善の停滞が見られた場合、継続しても良いか迷った場合は、一度使用を中止して、医師・薬剤師・登録販売者にご相談ください。
保湿剤の使用期限
保湿剤の使用期限は長く、開封しなければ数年間使用できるものもあります。
開封後の使用期限は、製品や保管方法によって異なり、一概には言えません。
基本的には開封後の使用期限は、おおよそ6か月から1年程度が目安になります。
薬が分離していたり変色していたりと、外観に変化がある場合は、使用期限内であっても破棄してください。
また、薬を塗るときに、容器の先端を直接つけて使用する場合も、容器が細菌に汚染されて薬が使用できなくなることがあるので注意が必要です。
保湿剤を他の塗り薬と併用するときの塗り方
保湿剤を他の塗り薬と併用する場合は、基本的にまず保湿剤を塗り、そのあとに塗り薬を塗りましょう。
先に他の塗り薬を塗ってその上から保湿剤を使用すると、塗り薬の成分が広範囲に広がって副作用が起こりやすくなってしまうので、必ず保湿剤を先に塗ってください。
また、薬の中には、併用禁止の薬もあるので、事前に添付文書をよく読んでから使用してください。
なお、複数の塗り薬を使用するとき、塗る順番について医師から指示がある場合は、必ず医師の指示にしたがってください。
軟膏・クリーム・ローションの使い分け方
保湿剤には、軟膏・クリーム・ローションの3タイプの剤形があり、それぞれ特徴があります。
軟膏は、水分が少なく油分が多い剤形です。皮膚へ付きやすく、保湿効果が高いのが特徴です。
クリームは、軟膏に比べて水分が多く含まれていて、より患部に浸透しやすいのが特徴です。
ローションは、油分が少なく水分が多い剤形で、さらっとしているのが特徴です。傷にしみることがあるので、傷口がある場合には向いていません。
夏場のような汗をかきやすい時期は、ローションが使いやすいです。
乾燥しやすい冬の時期や、乾燥の程度が強い皮膚には、皮膚を覆う効果に優れている軟膏やクリームが適しています。
保湿剤の剤形は、時期や自分の肌に合ったものを選びましょう。
おわりに
保湿剤の塗り方について医師から指示がある場合は、医師の指示を優先してしたがいましょう。
また、薬の塗り方がわからない場合は、医師または薬剤師に相談しましょう。