産後に蕁麻疹ができる原因は?
蕁麻疹(じんましん)は、さまざまな要因で発症する皮膚の炎症です。蕁麻疹は、皮膚が赤く盛り上がり、かゆみをともないます。
産後に蕁麻疹を発症するときは、ストレス、疲れ、睡眠不足などが要因で引き起こされている場合があります。
蕁麻疹のかゆみの原因は、皮膚の血管の周りにある細胞から、かゆみ神経を刺激するヒスタミンという物質が放出されることです。
かゆみをおさえるには、抗ヒスタミン成分が配合されている薬剤を使用することが効果的といわれています。
蕁麻疹が治らないのはなぜ?
蕁麻疹は、発症して数時間から1日以内で消えることが多いのですが、何度も繰り返し発症することがあります。
蕁麻疹が何度も繰り返し発症しても、1か月以内に消失した場合は「急性蕁麻疹」といい、細菌やウイルスなどが原因で発症していた場合があります。
いっぽう、蕁麻疹を発症してから、1か月以上何度も蕁麻疹を繰り返している場合は「慢性蕁麻疹」といいます。
蕁麻疹の症状がでた期間が長ければ長いほど、治るまでの期間も長くなり時間がかかるおそれがあり、初めて蕁麻疹が出た方は、皮膚科を受診することをおすすめします。
慢性蕁麻疹の場合も、もう一度皮膚科を受診する必要がありますが、特定の原因を見つけることが困難なことも多く、対症療法的に薬で症状をおさえる必要があります。
病院を受診する目安
蕁麻疹は、さまざまな原因によって発症するため原因を特定するためにも、初めて蕁麻疹を発症した場合は病院を受診することをおすすめします。
ウイルス・細菌・ストレス・疲れが原因、または原因が特定できない蕁麻疹の場合は、何度も繰り返し起こることが多くありますが、1か月蕁麻疹が続いた場合は、再度皮膚科を受診しましょう。
短期間に何度も繰り返し蕁麻疹が起こる場合は、病院で処方された薬や市販薬で対処することもあります。
しかし、次のような症状がある場合は、蕁麻疹とは別の病気であるおそれもあるため、再度医療機関を受診してください。
・発熱やだるさがある
・関節痛がある
・吐き気がある
・1日以内に症状が消えない
・市販薬を使用しても症状が続く
・ピリピリ、チクチクする痛みがある
食事後・薬を使用した後の蕁麻疹は要注意
蕁麻疹が発症する原因の一つに、食べ物や薬などによるアレルギー反応があります。
アレルギー反応による蕁麻疹は危険性が高く、アナフィラキシーの初期症状のひとつの場合があります。
あくまで目安ですが、食事した後や薬を使用した後、2時間以内に蕁麻疹が起きた場合は、病院への受診を優先してください。
アナフィラキーの初期症状には、次のようなものがあります。
・唇や粘膜の腫れ
・息苦しさ
・顔面蒼白
・咳
アナフィラキシーは最悪の場合、アナフィラキシーショックを起こし死にいたることもある症状です。
アナフィラキシーショックが起こると、全身への症状が発症してから数分〜数時間以内に呼吸困難や血圧の低下などがみられるようになります。
蕁麻疹などの初期症状があらわれ、アナフィラキシーが疑われる体の異常を感じた場合は、直ちに内科がある病院へ受診してください。
症状が急速に悪化している場合は、救急車を呼びましょう。
蕁麻疹の市販薬の使用について
市販薬の使用は、病院を受診した結果、ストレスや疲れといった原因、もしくは原因不明と医師に診断されたときのみにしてください。
また、母乳で育てている方は、授乳期間中に使用できる飲み薬と、使用できない飲み薬があるため注意してください。
成分の中には、母乳を通して赤ちゃんにも成分が移動し眠気が生じたり、母乳が抑制されることがあります。
また、病院では処方される成分でも、市販薬ではメーカーが使用を禁じていることもあるため注意してください。
産後・授乳中の蕁麻疹に使える飲み薬
母乳育児の場合にも使える薬
2018年6月現在、蕁麻疹をおさえる市販の飲み薬の成分で、授乳を継続できるものは「クロルフェニラミンマイレン酸塩」のみです。
クロルフェニラミンマイレン酸塩は授乳中でも使用はできますが、長期の使用はおすすめできません。
また、クロルフェニラミンマイレン酸塩は乳汁の分泌を抑制するおそれもあるため、授乳中の方は、あくまで病院に行けない場合の一時的な使用にとどめてください。
母乳育児ではない場合に使える薬
母乳で赤ちゃんを育てていない場合は、1日2回の使用で済み、眠気の起こりにくい「アゼラスチン塩酸塩」の飲み薬が使用できます。
ムヒAZ錠
第二世代の抗ヒスタミン成分・アゼラスチン塩酸塩配合の飲み薬です。
第一世代の抗ヒスタミン成分と比べて、眠気が起こりにくく、1錠で12時間効果を発揮します。
日中のかゆみが気になるときは朝に、かゆみで眠れないときや寝ている最中に無意識に掻きむしまうときには寝る前に使用しましょう。
個包装されており、携帯しやすく持ち運びに便利です。
また、母乳で育てている場合は、使用を避けてください。粉ミルクなどで授乳している場合は、使用できます。
薬剤師のコメント |
この商品以外の蕁麻疹に使えるアゼラスチン塩酸塩配合の市販薬はこちら→<アゼラスチン塩酸塩配合の市販薬一覧>
産後の蕁麻疹に使える塗り薬
蕁麻疹は皮膚表面の炎症ではなく、体内の影響から発症する症状です。
そのため、飲み薬の使用が有効であるといえます。
ただし、蕁麻疹によるかゆみや炎症を早くおさえたい人は、患部に直接に作用する塗り薬を飲み薬と合わせて使用しましょう。
メンソレータムジンマート 15G(第2類医薬品)
抗ヒスタミン成分であるジフェンヒドラミン塩酸塩を使用したステロイド成分無配合の塗り薬です。
塗りやすく伸びがいいクリームタイプで、メントールが配合されており清涼感があります。
抗ヒスタミン成分のほかに、かゆみを鎮静する成分クロタミトンと生薬由来の抗炎症成分グリチルリチン酸二カリウムが配合されています。
授乳中でも使用できます。
薬剤師のコメント 日本皮膚科学会の蕁麻疹診療ガイドラインでも、蕁麻疹の症状の軽減に役立つとされるジフェンヒドラミンやクロタミトンが合わせて配合されている製品です。 |
漢方薬は体質改善が目的
漢方には、自然由来の成分により炎症をおさえる働きがあります。
しかし、抗ヒスタミン成分が配合された飲み薬とは異なり、漢方は体質改善が主な目的で、今の症状をすぐおさえるわけではありません。
今起こっている症状には、抗ヒスタミンの飲み薬や塗り薬を使用し、漢方薬は蕁麻疹が起こりやすい体質の改善に補助的に使用します。
そのほか原因が特定できない慢性蕁麻疹の場合も、漢方を併用することで体質を改善し、症状をおさえていくことにつながります。
蕁麻疹が出やすい体質の改善に漢方薬を使用したい場合は、まずは医師や薬剤師に相談しましょう。
蕁麻疹には十味敗毒湯
十味敗毒湯は、日本人向けに生薬を配合した漢方薬のひとつです。
十味敗毒湯は、急性で赤みがあり、晴れて痛みがある化膿性の皮膚の疾患、蕁麻疹などから、かゆみや熱をもち化膿するおそれのある皮膚の疾患に使用されます。
蕁麻疹の症状が出ていないときにも、決められた用法用量で1か月ほど使用し続ける必要があります。
効能・効果 | 体力中等度なものの皮膚疾患で、赤みがあり、ときに化膿するもの 次の諸症:化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、水虫 |
この商品以外の十味敗毒湯でも同様の効果が期待できます。
そのほかの十味敗毒湯はこちら→<十味敗毒湯一覧>
おわりに
産後の蕁麻疹は、ストレス、疲れなどにより発生することがあると考えられます。
蕁麻疹を治すには、発症を招く要因を改善していくことが大切になります。
産後はストレスや疲れがたまりやすくなる場合も多くありますが、なるべくリラックスする時間を作りましょう。
また、市販薬は一時的な使用に止め、1か月以上蕁麻疹が続いている場合は、病院を受診するようにしましょう。