あらゆる細菌による感染症は、その病気からの二次感染によりまた新たな病気を引き起こすことが多々あります。
今回のSSSSは、「とびひ」や「扁桃炎」などから続いてかかることも多く入院治療が必要な病気です。
原因となる黄色ブドウ球菌は身近にある菌です。
症状や治療法、注意点を知っておきましょう。
どんな病気?
SSSSは、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(Staphylococcal scalded skin syndrome)の略です。
原因となる黄色ブドウ球菌は、皮膚の表皮の角質をはがし毒素を出す作用があります。
喉や鼻の粘膜に黄色ブドウ球菌が付着して感染すると、菌の出す毒素「表皮剥離性毒素」が血流を通して全身の皮膚に達し、やけどのような皮膚症状がでる病気です。

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とびひ(伝染性膿痂疹)も同じ毒素によって発症しますが、とびひは皮膚の一部に水膨れを生じるものです。
炎症部位をかきこわした部分から菌が感染することがあり、その点は「とびひ」と同じですがSSSSは急速に全身の皮膚症状として出るのが特徴です。
3歳以下の子供に多く見られ、ほとんどが乳児や年少の子供、免疫力が低下した人に発生します。
新生児ではおむつをあてる部位や、へその周囲に発症します。
成人の場合は身体のあらゆる部分に発症の可能性があります。
年間を通して発症しますが、多くは秋から冬にかけて発症し、他の人にもうつります。
症状は?
■突然38度以上の高熱が出る
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■目、口、鼻のまわりが赤くなってむくみ、口のまわりに放射状にひびが入るのが特徴
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■目やにも出やすくなり、のどや首のリンパが腫れる
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■炎症が首の回り、わきの下、足の付け根などリンパ節のあるところから全身に広がって痛みを伴う
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■全身の炎症部分が水ぶくれになり、破れやすくなる
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■こすると皮膚がズルズルとむけて、やけどのようにただれる
※新生児や乳児では重症化することが多く、寒気、食欲不振、衰弱がみられ非常に具合が悪くなります。
体を保護する皮膚がはがれるため、他の感染症を引き起こしやすくなります。
診断方法は?
水疱のでき方は通常のとびひと同様ですが、診断方法が異なります。
●とびひの場合
水泡内に必ず菌があり、かきむしった指などから広がっていきます。
そのため水泡内の菌を調べることで診断します。
●SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)の場合
SSSSでは、皮膚剥奪部位には原則として原因である黄色ブドウ球菌が検出されないことがほとんどです。
それは菌そのものではなく毒素が水疱をもたらすからです。
そのため検査方法としては、咽頭や鼻腔の粘膜から黄色ブドウ球菌を検出するという方法をとります。
治療法は?
原則として入院し、抗生物質の内服または点滴注射を行います。
皮膚の治療は抗菌薬を使います。乾燥すると非常に痛がるためワセリンなどの保湿剤も使用します。
脱水症予防の点滴で水分補給をすることもあります。
投薬後5~6日頃より徐々に色はうすれてゆき、回復期には皮膚は乾燥して皮がぼろぼろとはがれ、およそ3~4週間で治ります。
注意点
■SSSSにはステロイド剤は使わないため、とびひと間違えてステロイド剤を塗ると、症状が悪化します。
むやみに手元の薬を使用するのはやめましょう。
小児科、または皮膚科を受診し、正しい診断を受けてください。
■黄色ブドウ球菌は、皮膚上に繁殖する菌であるため、食中毒にも注意が必要です。
食品に触れる際には下記の点に十分注意が必要です。
❍調理する前によく手を洗うこと
❍怪我をした手で調理をしないこと
❍菌の増殖がないようによく加熱すること
SSSSは比較的まれな病気ですが、新生児や免疫力のおちた大人や老人の場合死亡することもあるので要注意です。

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おわりに
SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)は、急速に病状が進み、全身に症状が及びます。
自宅で治療できる病気ではないため、慌ててしまうかもしれませんが、適切な治療で治る病気です。
自己診断をせず、症状が出た場合は早期の診断、治療が大切です。