子供のとびひは基本的に病院を受診
子供がとびひ(伝染性膿痂疹:でんせんせいのうかしん)にかかった場合は、皮膚科または小児科を受診し、医師の治療を受けることを基本としてください。
とびひは伝染性の病気であるため、接触により簡単に他の人へうつってしまいます。また、むやみに自己判断で市販薬を使用すると、症状が悪化するおそれもあります。
病院が休診日であるなど、病院へすぐに行けないやむを得ない場合のみ市販薬を使用し、とびひの応急処置を行ってください。
ただし、市販薬を使用したとびひの治療はあくまで応急処置とし、その後は必ず病院を受診してください。
子供のとびひに使用できる市販薬
子供のとびひの応急処置として市販薬を使用する場合は、抗生物質が含まれている塗り薬を使用します。
抗生物質は、とびひの化膿や細菌感染を防ぐ作用があります。
ドルマイシン軟膏
2種類の抗生物質、コリスチン硫酸塩・パシトラシンが配合されています。ステロイドは含まれていません。
とびひの化膿があまりひどくない場合や、ステロイドの強い作用が心配な人におすすめです。
クロマイ-P軟膏AS
クロラムフェニコールとフラジオマイシン硫酸塩の2つの抗生物質に加え、炎症をおさえるステロイドであるプレドニゾロンが配合されています。
市販薬のステロイドのランクは、強い順にストロング>ミディアム>ウィークの3段階に分かれます。
プレドニゾロンはウィークのステロイドのため、生後6か月以降であれば使用することができます。ただし、必ず症状をよく観察しながら使用してください。
ステロイド単剤は絶対に使用しないこと
子供のとびひにステロイドの単剤を使用すると、症状が悪化するおそれがあるため絶対に使用しないでください。
ただし、抗生物質にステロイドが加わっている薬であれば使用して問題ありません。市販薬の添付文書にもとびひへの効能効果が記載されているため、安心して使用してください。
子供のとびひは薬以外の対処も併せて行う
子供のとびひは、薬での治療に併せて日常生活においてもさまざまな対策をとることが大切です。
市販薬使用中はもちろん、病院を受診した後も次のことに注意しましょう。
皮膚を清潔にする
とびひはまれに、発熱などの全身症状をともなうことがあります。全身症状がない場合であれば、シャワーを浴びて全身の皮膚を清潔に保ってください。
特に患部は、泡立てた石けんなどで優しくそっと洗い、よくすすいでください。
また、とびひは接触によって簡単に他の人にうつる病気であるため、とびひになった子供は家族の中で一番最後に入浴させるようにしましょう。
患部をガーゼなどで覆う
とびひになった部分をガーゼなどで覆い、接触を回避します。とびひは空気感染することはないため、患部を覆って接触を防いでいれば登園・登校も可能な場合があります。ただし、保育園・幼稚園・学校によって規定は異なるため、必ず確認してください。
なお、プールなどはとびひが完全になるまで禁止です。
おわりに:市販薬はあくまで応急処置として使用すること
子供がとびひにかかってしまった場合は、基本的には皮膚科または小児科を受診し、医師の治療を受けてください。
市販薬を使ってのとびひの治療は、すぐに病院へ行けない時などやむを得ない場合のみにとどめ、できるだけ速やかに病院を受診してください。
子供に市販薬を使用する際は必ず保護者が監督のもと、使用期間は長くても3日とし、症状の経過を注意深く観察してください。