はじめに

男の子の精巣(睾丸)は、はじめから正常な位置にあるのではなく、胎児の頃から生後間もなくのあいだに、ある成長の経路をたどっていきます。

成長過程の間には、精巣に関するトラブルも色々あります。

この記事で解説する停留精巣(停留睾丸)は早期発見が大切ですが、比較的ママが発見しやすい病気です。

おむつ替えやお風呂のときに確認したい症状、治療法や対処法などを知っておきましょう。

停留精巣とは?

停留精巣とは、男の子の精巣(睾丸)が、本来おさまるべき陰嚢(睾丸を入れる袋)に降りてこない病気です。

胎児の頃、男の赤ちゃんの場合、精巣は陰嚢ではなくお腹の中にあります。

太ももの付け根の鼠径部に「鼠径管」という通路があり、生まれる間近になると、精巣は鼠径管を通って陰嚢に降りてきます。

通常ママのお腹の中にいる胎児期(妊娠3〜9か月頃)に、精巣は陰嚢におさまるようになります。

しかし何らかの原因で精巣が降りずに鼠径部にとどまっている状態が「停留精巣」です。

鼠径ヘルニアとの違い

同じく精巣が陰嚢に降りてくる時のトラブルとして「鼠径ヘルニア」がありますが、次のような違いがあります。

○鼠径ヘルニア=精巣が降りる時に腸の一部が飛び出してしまう

○停留精巣=精巣がとどまって降りてこない

鼠径ヘルニアは女の子にもみられますが、女の子の卵巣はそのままお腹の中で動かないため、停留精巣は男の赤ちゃんのみに見らる病気です。

停留精巣の症状は?

◇陰嚢に触ってもコロコロとした睾丸がふれない

◇陰嚢の大きさが左右で違う

◇片方だけの場合と両方下降しない場合もある

◇とどまっている場所も異なり、お腹にとどまっている場合は触ってもどこにあるか分からない

移動性精巣との症状の違い

停留精巣と似た症状に「移動性精巣」があります。

停留精巣と異なる点は、精巣が陰嚢まで降りてきているのに「とどまらず」鼠径部と陰嚢の間を行き来するのが「移動性精巣」です。

移動性精巣の症状は、次のように状態が変わります。

①刺激があったり緊張したとき=精巣の位置が高くなり、陰嚢が空っぽになっている

②リラックスした状態=精巣が陰嚢内にあり、睾丸にふれる

移動性精巣の場合は、ひとまず陰嚢内に降りているため、基本的に治療は必要ない場合がほとんどですが、念のため医師と相談しましょう。

停留精巣の治療法は?

多くは経過を見ますが、生後1歳を過ぎても精巣がお腹の中に止まってしまうと精巣の細胞数が徐々に減少してしまいます。

そのため、1歳をこえても、精巣が陰嚢内に触れない場合は手術をします。

手術は精巣を本来の陰嚢内に固定するもので、所要時間は1時間ほどです。

手術後は食事が取りにくくなることがあるため、一般的に1〜4泊の入院が必要とされています。

海外では性ホルモン注射や内服による治療もありますが、副作用もあり日本ではあまり行いません。

治療や手術はなぜ必要なの?

精巣が発達するためには、体温より1~2度低い状態が望ましいため、通常陰嚢は体の外にあります。

停留精巣により、いつまでも温度の高いお腹にとどまっていると、精巣の発育が遅れる心配があります。

精子を作る細胞が少なくなり、成人したときの不妊の原因になる可能性もあると言われいます。

またそのままにしておくと、悪性腫瘍になる可能性もあるため治療が必要とされています。

治療後のケアは?

手術後は傷口の確認のためと、精巣の発育状態を観察するために、定期的な診断が必要になります。

まれに手術で降ろした精巣が上がってしまうこともあるため、よく観察してあげることが大切です。

おわりに

赤ちゃんの精巣の発達は、胎児の頃から生後1年の間がとくに大切なときです。

将来のためにも、停留精巣をはじめとする症状に気が付いたら、早めに小児外科、小児泌尿器科を受診しましょう。