痔は、男女ともにとても身近な病気です。

痔にはいぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)、痔ろう(痔瘻)に大きく分けられますが、その多くの割合を占めるいぼ痔と切れ痔は市販の薬で治療することも可能です。

患部の場所や症状に合った薬を選択することが重要なので、自分に合った薬を見つけてください。

この記事では、痔の薬の選び方とおすすめの薬を紹介します。

痔のできた場所で使用する薬は異なる

痔の薬は主に、次のような剤形で販売されています。

・軟膏…肛門の外側にしか塗ることができないが、患部にしっかりと留まる。
・注入軟膏…肛門の内側に注入することができ、肛門の外側には塗って使うことができる。
・座薬(坐剤)…肛門に差し込んで使うため、肛門の内側の症状に使用する。
・飲み薬、舌下錠…体の中から痔の症状を改善する。痛みや出血などをおさえる即効性はなく効果は穏やか。

痔の薬は、肛門の内側と外側のどちらに痔ができているかにより、使い分ける必要があります。

切れ痔は肛門の外側にできますが、いぼ痔は肛門の内側にいぼができる内痔核と肛門の外側にいぼができる外痔核に分かれます。

注入軟膏は肛門の外側と内側、どちらにも使用できるため1つ持っておくと便利です。

【痔の種類と使える薬の種類】

  軟膏 注入軟膏 座薬 飲み薬※1
内痔核
外痔核
切れ痔 △※2

※1.飲み薬は商品によって使える痔の種類が違うので、確認してから使用してください。
※2.外側にできた切れ痔には向きません。

症状別に効く成分で選ぶ

痔の代表的な症状として、痛み・かゆみ・出血があげられますが、内痔核・外痔核・切れ痔の痔の種類によって症状が異なります。

痔の薬には痛みをおさえるための局所麻酔成分や、出血を止める血管収縮成分を多めに配合されているものが多くなっていますが、抗炎症成分を含むものや清涼感のあるものがあるなどの違いもあります。

【痔の種類と症状の違い】

  痛み かゆみ 出血
内痔核
外痔核
切れ痔

痔の症状や原因について、詳しくは関連記事をごらんください。

痛みをおさえる薬

痛みに効く成分

痔の痛みやかゆみがある場合には、次の局所麻酔成分を含む薬を選びましょう。

■アミノ安息香酸エチル
■ジブカイン
■リドカイン

特に痛みがひどい場合にはジブカインやリドカインの入ったものがおすすめです。

加えて、強い痔の痛みは主に炎症によって引き起こされます。炎症をおさえる効果を持つステロイド成分が配合されている薬もおすすめです。

ただし、ステロイド成分が配合された薬は長期連用は避けてください。

痛みに効く座薬

ボラギノールA坐剤

ボラギノールAシリーズには、患部の感覚を一時的に麻痺させ、痛みやかゆみをおさえる効果(局所麻酔成分)を持つリドカイン加え、炎症をおさえる作用を示すステロイド成分であるプレドニゾロン酢酸エステルが配合されています。 ボラギノールA坐剤は体温ですぐに溶ける座薬です。 肛門の内側の痔に使用しましょう。

痛みに効く注入軟膏

ボラギノールA注入軟膏

ボラギノールAシリーズの注入軟膏タイプです。 局所麻酔成分に加え、ステロイド成分が多めに配合されています。 注入軟膏タイプなので患部も薬剤も触れずに注入が可能です。先端が丸くなっていて肛門を傷つけにくいという特徴もあります。 肛門の内側、外側どちらの痔にも使用することができます。

かゆみにおすすめの薬

かゆみに効く成分

痔のかゆみをおさえるには、次の抗ヒスタミン成分が配合されているものがおすすめです。

■ジフェンヒドラミン
■クロルフェニラミン

抗ヒスタミン成分は、かゆみをおさえる作用を示します。

他にもメントール成分は清涼感により、かゆみの緩和につながります。

かゆみに効く座薬

新エフレチンK

かゆみをおさえるジフェンヒドラミンが配合されている体温ですみやかに溶ける座薬です。抗炎症成分としてグリチルレチン酸を配合しており、ステロイドは無配合です。痛みをおさえるジブカイン塩酸塩のほか、止血剤、殺菌剤も含まれています。

かゆみに効く軟膏

プリザクールジェル

プリザクールジェルはべたつきにくい水性のジェルタイプの痔の薬です。 抗ヒスタミン成分であるクロルフェニラミンマレイン酸塩を配合しているのに加え、メントール配合でヒンヤリとクールな使用感が特徴的です。 ステロイドを配合していないため、特に痔が慢性化してしまっている方やがんこで長引く痔におすすめです。

プリザエース軟膏

プリザエース軟膏にも、抗ヒスタミンであるクロルフェニラミンマレイン酸塩とメントールが配合されています。スーッとした使用感がかゆみを沈めます。 また、プリザエース軟膏にはステロイド成分が多めに配合されているため、強い効き目も期待できます。 つらい痛みや急な出血の痔におすすめです。

出血におすすめの薬

出血に効く成分

痔の出血をおさえたい方は、次の血管収縮成分の含まれる薬を選びましょう。

■テトラヒドロゾリン
■メチルエフェドリン
■フェニレフリン

血管収縮成分は、毛細血管を収縮し、出血をとめて腫れをおさえる作用を示します。

患部に直接作用する軟膏・注入軟膏がおすすめです。

出血をおさえる注入軟膏

プリザエース注入軟膏T

プリザエース注入軟膏Tは血管収縮成分であるテトラヒドロゾリンを配合しています。注入軟膏タイプなので、肛門の内側、外側のどちらにも使用できるのに加え、出血がおこりやすい切れ痔にも対応しています。

出血をおさえる軟膏

新エフレチンK軟膏

新エフレチンK軟膏には毛細血管を収縮し、出血を止め、はれをおさえる効果を示すメチルエフェドリンが主要成分として満量配合されています。その他にもステロイド成分も配合されており、消炎、止血、鎮痛作用を重点的に製剤化した軟膏となっています。肛門の外側の痔におすすめです。

妊娠中の切れ痔・いぼ痔に使える薬

妊娠中に薬を使用するのは抵抗があるものですが、妊娠中でも安全性の高い薬であれば使用することができます。

ただし、妊娠中は抗炎症成分であるステロイドが配合された薬や使用量の調節が困難な座薬はおすすめできません。

また妊娠中はできるだけ担当の医師の診察を受け薬を処方してもらうことを優先しましょう。もし市販薬を使いたい場合は、まずは医師・薬剤師・登録販売者に確認するようにしましょう。

軟膏

ボラギノールM軟膏

ボラギノールM軟膏はステロイドを配合していません。添付文書でも妊婦への注意の記載がないため安全性が高いと考えられますが、使用する際は念のため医師に相談しましょう。
比較的白い軟膏のため着衣への色移りの心配も少なく、刺激感を感じる成分も入っていないシンプルな痔の薬です。

授乳中のいぼ痔・切れ痔に使える薬

授乳中は、薬の成分が母乳へ移行するかどうかで使用できるか否かが決まります。

抗ヒスタミン成分であるジフェンヒドラミンは母乳中への移行のおそれがあるため、ジフェンヒドラミンが含まれた薬を使用することは避けましょう。

ステロイド成分についても心配される方が多いですが、塗り薬のステロイド成分はほとんど母乳への移行はないとされています。

ただし授乳中はできるだけ医師に薬を処方してもらうことを心がけましょう。

授乳中に市販の医薬品を使用したい場合は、まずは医師・薬剤師・登録販売者に確認するようにしましょう。

注入軟膏

ボラギノールA注入軟膏

ボラギノールAシリーズは多くのドラッグストアで販売されているために購入しやすい薬です。
ステロイドを配合しているために痛み・出血・はれなどに優れた効果が期待できます。
注入軟膏タイプは内外の痔に使用することができます。

軟膏

ボラギノールM軟膏

ボラギノールMシリーズはステロイドを配合していません。
塗り薬のステロイド成分はほとんど母乳への移行はないとされていますが、それでも子どもへの影響が心配な方におすすめです。
ボラギノールMシリーズは軟膏タイプと坐剤タイプが販売されていますので、内側の痔には坐剤、外側の痔には軟膏と使い分けてください。

子どもが使える痔の薬

多くの痔の薬は15歳未満の使用は許可されていませんが、中には保護者の監督のもとならば使用可能なものも販売されています。

薬剤師や登録販売者に相談しながら、子どもの症状にあった薬を選択しましょう。

間宮アロエ軟膏a

間宮アロエ軟膏は名前の通りアロエを成分とした軟膏剤です。痔だけではなく、しもやけやあかぎれ、やけどなどにも効果があるので、常備薬として持っておくと安心です。

おわりに

軽度のいぼ痔と切れ痔は市販薬で改善します。ただし、薬の使用だけでなく排便や食事などの生活習慣の見直しも痔の症状の改善には重要です。市販薬を効果的に使い、治療に役立てましょう。