排尿痛は女性に多い「膀胱炎」のおそれ

排尿痛を感じた時に考えられる原因はさまざまですが、女性の場合まず考えられるものとして膀胱炎があげられます。

膀胱炎は女性の約半数が一生のうち一度は経験するともいわれています。

膀胱炎の症状

【排尿痛】

膀胱炎の症状としてもっとも多いのが、排尿時に感じる下腹部や尿道口のツーンとした焼け付くような痛みです。

これは、炎症を起こした膀胱が排尿することによって急激に縮まるために起こります。

【残尿感・頻尿】

排尿痛に次いで多いのが、排尿したのに出しきった感じがしない残尿感や、それにともなうトイレの回数の増加があげられます。

【尿の濁り】

膀胱炎の最中は細菌が尿の中で増え、炎症によって剥がれた膀胱の粘膜や白血球によって尿が濁ります。

また、尿のにおいもきつくなる傾向があります。

膀胱炎の原因

膀胱炎は、通常無菌であるはずの尿道や膀胱に大腸菌やブドウ球菌などの細菌が入り込むことで起こります。

男性よりも女性の罹患率が高い理由として、男性の尿道が14〜18cmであるのに対し、女性の尿道は3〜5cmと短く、細菌のいる膣や肛門と距離が近いために細菌が侵入しやすいことがあげられます。また、不潔な状態での性行為も膀胱炎を引き起こしやすくします。

通常であれば体の防御機能が働いて細菌の侵入を防ぐことができますが、疲れやストレス、冷えなどによって体の免疫機能が落ちている時は膀胱炎が起こりやすくなるため注意が必要です。

膀胱炎の治療

膀胱炎になった時に、もっとも有効なのは抗生物質の服用です。

抗生物質を服用すれば、通常3日以内で症状は緩和します。

また、軽度の場合は水分をたくさんとって尿量を増やし、細菌を流すことで症状が和らぐこともあります。

膀胱炎が悪化すると腎盂腎炎に発展することも

膀胱炎の症状を放置するなどして悪化すると、腎盂腎炎(じんうじんえん)を引き起こすことがあります。

腎盂腎炎とは、腎臓内の尿を溜める場所(=腎盂)で細菌が繁殖し、腎臓に炎症が広がった症状のことをいいます。

腎盂腎炎の原因

腎盂腎炎はほとんどが膀胱炎の悪化によって起こりますが、まれに風邪などのウイルスによっても起こります。

原因となるのは主に大腸菌で、原因の約90%を占めています。

腎盂腎炎も膀胱炎と同じく、女性が感染しやすい病気です。

腎盂腎炎の症状

腎盂腎炎にかかると、膀胱炎の症状に加えて背中や腰の痛み、38度以上の熱が出るなどの症状が急激に現れ、吐き気や寒気、全身の倦怠感などをともない、意識障害が出ることもあります。

また、さらに悪化すると細菌が血流に乗って全身に広がり、命に関わることもあるため、早めの治療が重要です。

腎盂腎炎の治療

腎盂腎炎の治療は、膀胱炎と同じく抗生剤による治療が中心となります。

基本的には薬の服用で経過をみますが、症状が重い場合には入院して点滴による治療を行うこともあります。

妊娠中は膀胱炎・腎盂腎炎にかかりやすい?

一般的に、妊婦は膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症にかかりやすい傾向にあります。

その原因として、妊娠中に増加するプロゲステロンによって膀胱の筋肉が緩む一方で、子宮が大きくなることで尿管は圧迫された状態となることがあげられます。これによって膀胱は常に低緊張状態となり、残尿や尿の逆流を招いて細菌が増えやすくなるのです。

妊娠中の腎盂腎炎は切迫早産などのリスクを早めるおそれがあるため注意が必要です。

妊娠中の尿路感染予防法

妊娠中に尿路感染症にならないためには、なるべくトイレを我慢せず、こまめな排尿を心がけることが大切です。

性感染症による排尿痛

排尿痛の原因として、尿路感染症の他には性感染症の可能性も考えられます。

淋病(りんびょう)

淋病は、淋菌(りんきん)という細菌に感染することで起こる性感染症です。

1回の性行為でかかる確率は30〜50%ともいわれ、感染率の高い性病として知られています。

女性は感染しても無症状であることも多い病気ですが、症状として頻尿や排尿痛、おりものの増加や激しい下腹部痛などが現れることもあります。

そのほか、オーラルセックスによる喉への感染として咽頭痛などが現れるけケースもあります。

クラミジア感染症

クラミジア感染症は、10〜30代の若い女性に多くみられる病気で、女性の感染率は男性の2倍以上にのぼります。

クラミジア感染症も淋病と同様に無症状であることが多く、感染者の約80%は自覚症状がありません。

そのため気づかないうちに感染が広がってしまうことがあります。

症状が出た場合は、排尿痛や下腹部痛、おりものの増加などがみられます。

排尿痛になったら何科を受診するべき?

排尿痛を感じた場合、基本的には泌尿器科を受診しましょう。

ただし、排尿痛を引き起こす原因となる疾患は複数あるため、何科を受診すればよいか迷った場合は一度総合病院などを受診し、原因を特定するのも良いでしょう。

女性専用のクリニックや婦人科で治療できることも

泌尿器系のトラブルはデリケートであるため、一般の泌尿器科を受診しづらいと感じる場合には女性専用の泌尿器科や婦人科・産婦人科内で泌尿器科を取り扱っている病院がおすすめです。

おわりに

尿路感染症や性感染症は、放置すると悪化や感染拡大に繋がります。その反面、速やかに対処すればすぐに改善するケースがほとんどです。

異変を感じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。