特に女性にかかる病気で、急性膀胱炎と慢性膀胱炎があります。女性の50%(2人に1人)が生涯で少なくとも一回はかかるといわれています。

膀胱炎の主な症状は、「何度もトイレに行きたくなる」、「排尿後に痛みがある」、「残尿感」、「尿が白く濁ったり、血が混じったりすることがある」などです。初期の膀胱炎の場合、1日10回以上トイレに行くようになります。

男性の場合、膀胱炎だけにかかるということは起こりづらく、前立腺炎症候群、前立腺肥大症、膀胱結石などの別の病気が併発していることが多くあります。

膀胱炎がさらに悪化すると、排尿時に焼け付くような痛み、残尿感はますますひどくなり、トイレから出られなくなることもあります。

また、腎盂腎炎(じんうじんえん)や、腎臓への感染が起こる場合があります。

膀胱炎の疑いのある症状が出た場合、早めに病院で受診しましょう。

 

膀胱炎の原因

膀胱炎のほとんどは、急性膀胱炎で、細菌が膀胱に感染することで起こります。

大腸にいる菌(グラム陰性桿菌)が尿路に移動し、膀胱まであがることで感染することが多いです。75%ほどが、大腸からの感染だと言われています。

男性よりも女性に多い理由は身体の構造が関係しています。

男性は陰茎があるため、尿道が女性より長く、そもそも細菌が膀胱までたどり着きにくい構造になっています。

また、女性の方が肛門と尿道の距離が短く、細菌が入りやすいつくりになっています。そのため性交をすることも、感染を引き起こすリスクの一つにあげられます。

性交してから48時間以内に膀胱炎が発症する確率は性交していない場合より、60倍高くなるとも言われています。これは、性交によって腟の中に大腸菌が入りやすくなるためだと考えられています。
 

慢性膀胱炎は症状は軽いが長く続く

慢性膀胱炎は急性膀胱炎に比べて症状は軽い代わりに長く続くのが特徴です。

初めから慢性の人もいれば、急性から慢性に移行する人もいます。それから、他の病気が原因となって起こる慢性複雑性膀胱炎もあります。

また、頻度としては多くはないですが、細菌性ではない膀胱炎もあります。この場合は無菌性膀胱炎と言い、詳しい原因は分かっていないのですが、アレルギーによるものと考えられています。

小児では、ウイルス感染による膀胱炎もあります。これが、症状こそ激しくでるので大変ですが、自然に治ることも多く、予後は良好です。
 

膀胱炎の症状

膀胱炎の典型的な症状は、排尿困難、頻尿、尿意切迫の三つです。

排尿困難

膀胱炎では、おしっこをするときにつーんとしみるような痛みが出ます。
特に、おしっこが出終わるときにその痛みが強くなることが多いです。

そのため、排尿しづらいという症状が起こります。
 

頻尿

頻尿とは、何度もおしっこに行きたくなるという症状です。

定義としては1日に8回以上おしっこに行くときに頻尿と言いますが、そもそもおしっこに行く頻度は人によってさまざまなので、その人が普段よりたくさん行きたくなったら頻尿です。

また、おしっこをしたのに、「まだ出し足りないなー」というような残尿感を感じることがあります。

これは、膀胱からおしっこが完全には排泄しきれていないために感じるものです。

おしっこが残っているため、何度もトイレに行くことになるというように、頻尿の原因でもあります。
 

尿意切迫

尿意切迫とは、ふとしたとき、突然おしっこに行きたくなるという症状です。それまで特に尿意を感じてはいなかったのに、急に、漏らしてしまうのではないかというくらいにトイレに行きたくなります。

これら典型的な症状以外にも、以下のような症状が出ることも多いです。

  • 夜にたくさんおしっこに行きたくなる
  • おしっこをすることを躊躇する
  • お腹の下のあたりが不快に感じる
  • 血尿が出る

基本的には発熱することはありませんが、もし熱が出ていた場合は、腎臓か前立腺などへ感染が広がっている可能性があります。
 

膀胱炎の検査

膀胱炎かな?と思ったら小児であれば小児科へ、成人であれば内科、泌尿器科などで受診することをおすすめします。

まず、病歴のチェックを行います。

どういう人が膀胱炎になりやすいのかということが顕著なため、この問診だけでも膀胱炎だと分かるケースはたくさんあります。

しかし、複数人との性的パートナーを持ち、コンドームの使用を徹底出来ていない女性の場合は、性感染症との区別をつけることは困難です。

他に、有用な診断方法として、尿試験紙法、尿検査、尿培養があります。尿の中に、細菌があることが確認出来れば、すぐに診断がつきます。

尿培養の精度が一番高いですが、これだと時間がかかることが多く(1日〜2日)、尿試験紙を用いて簡単に調べることも多いです。

ただし、男性の場合は、女性とは少し違った診断アプローチをします。男性と女性でほとんど症状は同じですが、尿培養が行うことが多いです。

それは、男性だと、同じような症状で細菌性前立腺炎や慢性骨盤痛症候群である可能性があるため、それらの疾患との鑑別(どちらの病気であるかを判断すること)を行うためです。
 

膀胱炎の治療法

症状が弱い場合、放っておいても治ることがあります。

そもそも尿には尿道をキレイにする働きがあるため、生理的な活動だけで完治出来てしまいます。

そのため、まず水分をたくさん飲んでもらい、たくさんおしっこを出すようにします。

また、抗菌薬(抗生物質)の服用が行われることもあります。

人や症状などによって使い分けることになりますが、ST合剤やニトロフラントイン、フルオロキノロン系、βラクタム系と呼ばれるグループの抗生物質を用いることが多いです。

どの細菌が原因であるか、また、その最近は薬に対する耐性を持っているかなどを判断して使用することになります。

急性の場合は3日程度で治ることが多いです。

慢性の場合は、より長い治療が必要となります。特に、原因となる別の疾患を持っている場合は、その疾患を治すことが必要です。

急性膀胱炎は比較的簡単に治る病気ではありますが、再発するリスクも高く、20〜30%だと言われています。

そのため、連続的に再発を繰り返す人は、低容量のST合剤やフルオロキノロン系、ニトロフラントインを予防的に服用することがあります。

通常は6ヶ月間の服用したのちに、一旦中断しますが、そこでもまだ感染を繰り返す場合は、継続して予防を行います。

 

おわりに

膀胱炎は女性を中心にとても身近な疾患です。

子どもでも発症することが多く、治療に抗生物質などを活用することも多い病気です。無理せず早めに医療機関に相談しましょう。

 

参考文献

『ハリソン内科学 第4版』MEDSi(2013年発行)
『STEP 泌尿器科 第3版』海馬書房(2010年発行)
http://www.yokahan.com(2014年9月29日閲覧)
https://www.urol.or.jp/public/symptom/02.html(2014年9月29日閲覧)
http://oab.nerim.info/condition/seppakukan.html(2014年9月29日閲覧)