デリケートゾーンのかゆみの原因:皮膚の炎症

デリケートゾーンのかゆみの原因として最も多いのは、「ムレ」や「擦れ」です。生理ナプキン・おりものシートによるムレや下着の締め付けすぎによる擦れが原因で、デリケートゾーンのかゆみを引き起こします。

接触性皮膚炎

デリケートゾーンは皮膚が薄く、刺激に弱いため、ムレや擦れが生じると敏感に反応し、炎症を起こしやすくなります。炎症を起こすと、かゆみを引き起こします。また、性行為のときのコンドームの擦れや、薬の成分が強すぎたり、薬を手で塗るときにデリケートゾーンに接触することで炎症が起こりやすくなります。このような症状を、接触性皮膚炎といいます。

接触性皮膚炎のかゆみの強さには、個人差があります。

慢性単純性苔癬 (ビダール苔癬)

慢性単純性苔癬(まんせいたんじゅんせいたいせん)は、皮膚の慢性の炎症によりかゆみが生じる病気です。

接触性皮膚炎などの状態で、薬も塗らずに掻きむしっていると皮膚が乾燥し、またかゆくなるという悪循環に陥ってしまいます。これを繰り返すと、慢性単純性苔癬になります。

主な症状は、乾燥をともなうかゆみです。かゆみと乾燥を繰り返し、症状が進行すると皮膚の表面がボロボロと剥がれ落ちる・皮膚が厚くなる・黒い斑点が現れるようになります。

デリケートゾーンのかゆみの原因:病気

デリケートゾーンのかゆみの原因は、皮膚の炎症の他にも、体内や皮膚に常在している菌によるものや、がんのおそれもあります。

膣カンジダ症(外陰膣カンジダ症)

腟カンジダ症は、カビの一種であるカンジダが、異常増殖する病気です。

主な原因は、暑い時期のムレや発汗、性的接触、ステロイドの服用などによる免疫力の低下、抗生剤の服用による常在菌バランスの変化などです。

腟カンジダ症の症状は、外陰や膣に現れる強いかゆみです。また、おりものは白く濁ってポロポロした固形のものになり、量が多くなります。

妊娠中の方は、腟カンジダ症のおそれがある場合、注意が必要です。妊娠中は腟カンジダ症になりやすいといわれています。

36週以降の分娩が近づいてる状況では、分娩時に新生児へ感染するおそれがあるので、早めに病院を受診しましょう。

トリコモナス膣炎

トリコモナス膣炎は、膣トリコモナス原虫の感染によって引き起こされる病気です。主な原因としては性交渉によるものです。まれに、下着・タオル・便座・浴室などの感染ルートがあります。

トリコモナス膣炎の症状は、外陰や腟に現れる強いかゆみがです。また、おりものは泡立ったような状態(泡沫状)となり、量が多くなります。さらに、色は黄緑色や濃い黄色でにおいがきつくなります。他にも、外陰・膣がヒリヒリするような痛みを感じることがあります。

トリコモナス膣炎は、デリケートゾーンのかゆみの原因となる病気の中でも、最もかゆみやおりものに症状が現れます。少しでも症状に不安を感じたら、産婦人科を受診しましょう。

また性交渉が感染原因と疑われる場合は、パートナーにも受診をしてもらいましょう。

細菌性膣症(非特異性膣炎)

細菌性膣症は、膣内にいる常在している良い菌が減少、悪い菌が増殖するなどして、膣内の細菌のバランスが取れなくなることによって発症する病気です。膣カンジダやトリコモナス膣炎は特定の細菌の感染や増殖が原因ですが、細菌性膣炎はもともと持っている細菌のバランスの乱れが原因となっています。

約半数は無症状ですが、主な症状は、弱いかゆみから強いかゆみまで現れます。また、おりものの色が少し薄めの灰色、もしくは少し黄色になります。量は普通で、においが強くなる場合があります。

また、まれにトリコモナス膣炎や子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)、子宮内膜炎(しきゅうないまくえん)、卵管炎(らんかんえん)、骨盤腹膜炎(こつばんふくまくえん)などを併発するおそれがあるので、注意が必要です。

さらに、妊婦の細菌性膣炎は低体重児・絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)・産褥子宮内膜炎(さんじょくしきゅうないまくしょう)などと関連性があります。特に、妊娠36週を迎えた妊娠後期に細菌性腟症を発症した場合は、早産や新生児への感染症の原因になります。妊婦の方は、デリケートゾーンのかゆみを感じた場合は医師に相談をしましょう。

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、ウイルスの感染による病気です。主な原因は、性交渉によるものです。ウイルスの潜伏期間が2〜10日間あるので、感染してもすぐに発症せず、性交渉から数日間の経って発症します。また、38℃以上の発熱や全身の倦怠感をともなうことがあります。

初めてウイルス感染し性器ヘルペスを発症したときは、痛がゆさがあります。

また、ズキズキするような強い痛みを感じ、外陰部に1〜2mmの水膨れができます。ウイルスは、外子宮口から内子宮口の頸管(けいかん)や膀胱にまでおよぶことが多くあります。

排尿が困難になり、場合によっては歩行困難になるおそれもあります。また、太ももの付け根の腫れや圧迫されるような痛みがでてくる場合があります。

性器ヘルペスは、再発するおそれがあるので注意が必要です。初めて感染したときに比べると、症状は軽くなることが多く、性器に小さな水膨れを数個形成する程度になります。また、再発前に前兆として、外陰部に違和感がある場合があります。

感染の疑いがある場合や、再発のおそれがある場合は、医療機関を受診しましょう。

乳房外パジェット病

乳房外パジェット病は乳房にできるがんですが、まれに外陰部など他の部位に発症することもあります。

外陰部に発症した場合は、平らな赤い斑点がみられ、強いかゆみや湿疹が現れることもあります。

慢性的に湿疹ができたり、薬を塗っても治らない場合は乳房外パジェット病であることも考えられます。不安な症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。

病院を受診するタイミング

おりものの状態から病院を受診するタイミングを見定めることができます。

おりものは、健康な女性にも現れます。本来おりものには、膣内を清潔に保つ役割や、円滑に性交渉を行うことができるようにする役割があります。また、排卵期には精子を運ぶ手助けをし、妊娠しやすくする役割もあります。

しかし、何らかの感染症にかかるとおりものに変化が現れることがあります。おりものの状態やそのほかの症状で、デリケートゾーンのかゆみの原因を探りましょう。

病名 おりもの かゆみ以外の症状
接触性皮膚炎 変化なし 特になし
慢性単純性苔癬 変化なし 皮膚の表面がボロボロ剥がれ落ちる・黒い斑点
腟カンジダ症 白く濁ってポロポロする・量が多い 特になし
トリコモナス腟症 泡沫状・黄緑や濃い黄色・においが強い・量が多い ヒリヒリする痛みを感じる
細菌性膣炎 少し薄めの灰色や少し黄色・においが強い・量は普通 下腹部痛・不正出血
性器ヘルペス 変化なし 水膨れができる・全身の倦怠感
乳房外パジェット病 変化なし 湿疹が慢性化している・薬を塗っても治らない

おりものの量や色の変化がある場合は、何らかの病気が隠れてるおそれがあります。また、かゆみ・おりもの以外の症状が現れることもあります。不安を感じる場合や当てはまる症状がある場合は、早めに近くの病院を受診することをおすすめします。

家庭でできる対処法

家庭でできるデリケートゾーンのかゆみの対処法を紹介します。

入浴・シャワー

デリケートゾーンの皮膚は、とても薄いため敏感です。入浴時にボディタオルなどでデリケートゾーンを強く洗うと、皮膚を傷つけるおそれがあります。また、洗浄力が強いせっけんもデリケートゾーンのへの刺激となるため、かゆみやかぶれがでるおそれがあります。

ボディタオルの使用を避ける、または弱酸性の刺激が弱いせっけんを使用することなど、デリケートゾーンへの刺激を減らしていきましょう。

衣類・室内

通気性が悪い衣類や下着は、デリケートゾーンのムレにつながります。補正下着などの締め付けの強い下着をつけると、かゆみやかぶれを引き起こすおそれがあります。さらに、室内の温度や湿度が高くなっているとムレにつながり、かゆみの原因になります。

通気性・吸収性がいい衣類や下着を選びをし、室内は適度な温度・湿度を心がけましょう。

ムレ・擦れを改善するパウダー

生理・おりもののときのムレ・擦れは、かゆみの原因につながります。パウダーを使用することで、ムレ・擦れをおさえることができます。

生理用ナプキン・おりものシートに直接使用するパウダーです。生理のときのムレや擦れ・べたつき感を改善してくれます。

着用途中のナプキンへの使用は避け、新たに交換した未使用のナプキンに使用してください。

おすすめの市販薬

デリケートゾーンのかゆみに効く市販薬には、クリームタイプ・ジェルタイプ・ミストタイプの3種類が販売されています。成分や使用感が異なるため、好みの製品を選びましょう。

フェミニーナシリーズ

フェミニーナは、持ち運び便利なサイズを展開しています。

フェミニーナ軟膏S

クリームタイプの塗り薬です。

かゆみをおさえてくれるジフェンヒドラミン塩酸塩が他の薬に比べて多く配合されているため、特にかゆみをおさえたい方におすすめです。

15g・30gと2種類のサイズが展開されています。

フェミニーナJ

さらさらパウダー配合のジェルタイプです。パウダー配合のジェルはフェミニーナだけです。

夏など、汗ばむ季節に使いやすい製品です。

 

フェミニーナミスト

手を汚さずに使用できるミストタイプです。

かゆみをおさえるジフェンヒドラミン塩酸塩が配合されているので、特にかゆみを抑えたい方におすすめです。

15g・30gと2種類のサイズが展開されています。

 

デリトリーナ

デリトリーナは他の製品に比べメントールが多く配合されているので、清涼感が最も強くなっています。

デリトリーナ

伸びがいいクリームタイプの塗り薬です。メントール配合で清涼感を感じられます。

かゆみをおさえる成分だけではなく、血行促進するビタミンEが配合されており、デリケートゾーンのかゆみの治療を助けます。

メンソレータムシリーズ

メンソレータムシリーズは、香料が配合されているタイプです。また、さらさらパウダー入りで、塗った瞬間からベタつきがありません。

メンソレータムフレディメディカルクリームn

クリームタイプの塗り薬です。

さらさらパウダー配合でべたつきにくい使用感です。ふんわり優しいせっけんの香りで、薬のにおいが気になりにくい製品です。

 

メンソレータムフレディメディカルジェルn

ひんやりジェルタイプの塗り薬です。

冷たい使用感なので夏などにもおすすめです。すっきり爽やかなミントの香りです。

今回紹介した市販薬は、デリケートゾーンの症状以外にも虫さされやただれなどにも使用できます。添付されている説明書をよく読み、使用してください。また、カンジダ症・トリコモナス症を診断されている方は使用を控えてください。

デリケートゾーンのかゆみが治らない場合は、ほかの病気のおそれもあります。早めに病院を受診し医師へ相談してください。

おわりに

デリケートゾーンのかゆみの原因は、かゆみ以外の症状やおりものの状態からも原因を探ることができます。症状に合った市販薬を使い、自身で対処することも可能です。市販薬を使っても治らない場合はほかの病気の疑いもあるので、早めに医師へ相談しましょう。