庭先で見かける草花や、街中に植えられている身近な植物の中に、じつは「毒」が含まれているものがあることをご存じでしょうか?中には命を脅かしてしまうほど強い毒性を持つ植物を、野菜と間違えて食べてしまったり、子供が遊びの中で口にすることがないよう、正しい知識を身につけましょう。

 

えっ?!この花に毒が?

★水仙

早春に咲き始める水仙は観賞用でも身近ですが、全草と根に有毒物質リコリンが含まれています。食べると吐き気を催すほか、茎や葉の汁で皮膚炎を起こしたり、敏感な人は香りだけで皮膚がかぶれたりします。球根の形が玉ねぎに、葉の形がニラに似ていることから、間違って食べて食中毒を起こすケースが報告されています。

★スズラン

小さな鈴のようなかわいらしい花からは想像もつかない強力な毒をもつ植物、スズラン。
葉、花、実(種子)とすべてに毒が含まれています。主成分であるコンバラトキシンは毒性が強く、胃痛、頭痛を引き起こすほか、多量に体内に入ると不整脈を起こし死に至るほどです。このコンバラトキシンは水溶性の成分なので、花を生けた水にも要注意!実際にヨーロッパでは、スズランを活けた水を誤飲して死亡事故が起きています。

★アジサイ

うっとうしい梅雨空の中可憐に咲くアジサイは、一服の清涼剤。季節の演出として料理の飾りに使いたくなるところですが、危険です。
花や葉、根に毒があるのです。詳しい成分はまだわかっていませんが、一説では青酸性配糖体といわれており、吐き気やめまいなどの食中毒症状を引き起こします。

★スイートピー

ひらひらと揺れる花びらが何とも可愛らしいスイートピーも、有毒植物です。毒性アミノ酸の一種・アミノプロピオニトリルは、花や葉などすべてに含まれ、なかでも種子に多いとされています。頸椎麻痺を引き起こし、脚、腕、腸、膀胱などにも障害が出る神経毒です。

 

食べるな危険!命にもかかわる毒をもつ植物

★イチイ

イチイの写真をみて「あ!うちの庭にもある!」と思った方は結構多いのではないでしょうか。中には赤い実を食べたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが・・・、無事でよかった!イチイの有毒成分は、じつは熟した実以外の部分に含まれているのです。
ですから誤って種をかじったらアウト!タキシンやタキソールといった成分により痙攣が硬直、呼吸困難などが引き起こされます。

現在は化学の進歩により、これらの成分がもつ抗腫瘍作用が抗がん剤などに利用されています。
(このまま植物を食べても抗がん作用は得られません!念のため。)
「毒と薬は紙一重」とは、よくいったものですね。

★シキミ

古くから仏前や墓前に供える風習があるシキミは、実の形が中華料理でよく使われる八角(スターアニス)に似ていることもあって誤食事故が多い植物。有毒成分アニサチンは猛毒で、シキミの果実は植物として唯一「劇物」に指定されています。下痢や嘔吐、全身の痙攣、意識障害を引き起こします。

★ハシリドコロ

山の中の日蔭でよく見かける植物で、芽吹いた新芽がフキノトウに似ていることから早春に誤食事故が多く起こります。個性的な植物名は「食べると錯乱して走り回る」という意味もあるようです。有毒成分トロパンアルカロイドは全草に含まれますが、特に根の部分に多く、嘔吐、下痢、めまい、幻覚、昏睡などを引き起こし、最悪の場合は死に至ることも。東京都健康安全研究センターでも写真を載せて注意を呼び掛けています。

東京都健康安全研究センターHP http://www.tokyo-eiken.go.jp/lb_iyaku/plant/hukinotou/

★トリカブト

古代ギリシャ時代から毒性が知られた植物、トリカブト。薄紫色のベルが連なったような美しい花が特徴です。古くは根の煮汁を矢に塗って狩猟に使われたこともあるようですが、それ以上に犯罪の道具として世界中で悪用された歴史の方が有名です。日本でも保険金殺人事件に絡んで記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。有毒成分アコニチンは痙攣や不整脈などのショック状態を引き起こし、微量でも致命的な毒性を発揮するといわれています。21世紀の現在でも解毒剤がないため、くれぐれもご注意を!

 

おわりに

厚生労働省のホームページでは、過去10年間(平成17年~26年)の有毒植物による食中毒発生状況を、間違えやすい植物の例や写真とともに詳しく載せています。知識があれば防げる事故ですので、ぜひ参考になさってください。

厚労省HP http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yuudoku/index.html

(image by photo-ac)

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