時計やピアス、ネックレスなど、金属による皮膚のかぶれにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
金属はアレルギーを引き起こす原因になる物質。
原因不明の皮膚疾患に悩まされ、なかなか効果的な治療方法が見つからないけれどその原因は実は金属にあった、なんてこともあります。

金属アレルギーは、接触皮膚炎(せっしょくひふえん)と呼ばれる皮膚疾患の中の一つです。
接触皮膚炎は、皮膚科外来の方の約30%が発症している普遍的な皮膚疾患です。
刺激物質に触れることで誰にでも起こりうる「刺激性接触皮膚炎」と、特定の刺激物質にアレルギー反応する人だけに起こる「アレルギー性接触皮膚炎」の二つに分類されます。

金属アレルギーの主な症状は、かゆみや痛みを伴う皮膚の炎症、水泡・湿疹・紅斑(こうはん:皮膚が赤く盛り上がったような症状)などがあります。

金属アレルギーは、金属が直接アレルギーを引き起こすのではなく、金属が汗や水に溶けてイオン化し、皮膚や粘膜のたんぱく質と結びついてアレルギー反応をおこすアレルゲンが発生することで起こるアレルギー症状です。

夏になり発汗が多くなるこの時期は、金属アレルギーの症状が重くなりやすく、様々な症状を誘発する可能性が高くなります。
しっかりアレルギー対策を行うことで、症状の軽減を行いましょう。

金属アレルギーは、その原因を確定し、原因との接触を断つことができれば、治すことができる皮膚疾患です。
金属アレルギーが起こる原因とアレルギーの種類、対策をみていきましょう。


 

この記事のポイント(目次)

金属アレルギーの原因について
金属アレルギーの検査方法について
金属アレルギーの対策について
 

金属アレルギーの原因とは?身近な金属から、意外なモノまで

金属アレルギーには、アクセサリーや時計など特定の物質との接触によりアレルギー反応が発生する「接触皮膚炎」と、食品や歯科金属に含まれる金属を摂取することにより発生する「全身型金属アレルギー」があります。

アクセサリーなどのわかりやすい金属は、対象の金属に触れないことで避けることが可能ですが、注意したいのは知らず知らずに接触している金属です。

私たちの周りにはさまざまな金属が存在していますが、銀歯や金歯などの歯科器具にも微量の金属が含まれていて、歯肉の炎症を引き起こす可能性があります。

歯科金属は主にパラジウム、金、水銀などを含有していますが、ニッケル、クロム、コバルトなどを含む場合があります。金属アレルギーをお持ちの方は歯科医師にその旨を伝えておきましょう。

慢性的な口内炎や口内疾患を発症する場合、パッチテストによるアレルギー検査と歯科金属のチェックを行いましょう。

全身型金属アレルギーでは、一見してどの金属がアレルギーの原因となっているかわからない場合があります。アレルギー反応が出た場合は、どの金属に対しどのようなアレルギー反応が起こるのか把握しましょう。

主な金属アレルギーをご紹介します。

ニッケルアレルギー

ニッケルは金属アレルギーの中で最も多い金属アレルギーです。ニッケルは非常に有用性の高い金属で、私たちの日常には、ニッケルを使用した製品が多く存在します。

ピアス、ブレスレット、ネックレスなどの装身具、硬貨、ヘアピン、メガネのフレーム、腕時計、食器や調理器具で用いられるステンレス鋼など、ありとあらゆるものにニッケルが使用されています。

ニッケルは他の金属に比べて溶けだしやすくイヤリングなどのアクセサリーでは、金メッキをほどこしたニッケル製品もあり、経年変化でメッキがはがれることでニッケルが露出してアレルギー反応の原因になることもあります。

また、ニッケルは様々な食品にも多く含まれています。ニッケルアレルギーが悪化することで、ニッケルを含む食品にもアレルギー反応がでる可能性もあります。アレルギー反応を示す金属の含有量が多い食品は、過剰な摂取を控えましょう。

【ニッケルを多く含む食品の代表例(100g当たりの含有量/μg)】

穀類 キビ(220)、オート麦(160)、ソバ(85)
菓子類 チョコレート(260)
豆類 ココナッツ(1400)、落花生(820)、くるみ(510) 、そのほか全般的に含有
魚介類 生うに(150)、するめ(130)
きのこ類 ひらたけ(180)、なめこ(140)
調味料 山椒(480)、セイジ(280)
嗜好品 麦茶(670)、ほうじ茶(570)、紅茶(480)

 

コバルトアレルギー

科学的にニッケルに近い物質で、ニッケルアレルギーの半数以上の方がコバルトアレルギーも持っているといわれています。
コバルトは、塗料(エナメル、ラッカー)、陶器のうわぐすり、磁石、粘土、セメントなどに含まれます。
コバルトもニッケル同様多くの食品に含まれていて、ナッツ類、青のり、ヒジキ、ココアなどに多く含まれます。
コバルトは人体に必要な栄養素であるビタミンB12に含まれているため、完全に摂取しないことは困難です。
 

クロムアレルギー

クロムには3価クロム6価クロムの2種類があり、クロムアレルギーを引き起こすのは6価クラムです。
3価クロムも人体に必要な栄養素であり、3価クロムを有するメッキ・合金ではアレルギーは反応しません。
6価クラムは主に皮革製品、セメント、陶磁器のうわぐすりに含まれます。皮革製品は、耐水性・耐熱性を得るために行う「なめし」という工程でクロムを使用します。
 

金アレルギー

金は溶け出しにくい金属のため、体内に入ることがなくアレルギー反応が起きにくいとされています。
しかし、ピアスのような皮膚に直接埋め込むアクセサリーの場合、通常よりも溶け出しやすくなり、体内に入りアレルギー反応を起こしやすくなります。
ピアスを使用する方の増加により、金のアレルギーは近年増加傾向にあります。また、金には他の金属を混ぜて使用することも多く、金以外の金属にアレルギー反応が起こっている可能性があります。
アレルギー反応がみられる場合、金属の純度や素材を確認しましょう。
 

その他の金属アレルギー

水銀、亜鉛、パラジウム、アルミニウム、鈴など、様々な金属にアレルギー反応が発生する可能性があります。
 

アレルギー反応が起こりにくい金属

ステンレス、チタンなどの金属はアレルギー反応が起こりにくいとされています。特にチタンによるアレルギーは最も少ないと言われています。
しかし、ごくまれにアレルギー反応が起こることがあります。その場合、ニッケルなどの別の金属が混入されており、別の金属にアレルギー反応がでていることがほとんどです。金属アレルギーの疑いがある場合は、各金属の純度を確認しましょう。

金属アレルギーの検査方法

金属アレルギーの診断方法で、現在最も有効とされているのがパッチテストです。

パッチテストは皮膚科やアレルギー科で行うことが可能です。
検査を行う物質を含ませたパッチシールを身体(通常は上背部)に貼り、経過観察してアレルギー反応を判定します。

パッチテストは経過時間が重要になるため、複数回実施することが有効とされています。金属の種類によっては、アレルギーの陽性反応が遅れて誘発されるものもあるためです。
なお、高齢者は若年者に比べ、陽性反応が遅くみられる傾向があります。

検査を行う医院の指示に従い、原因物質の究明に努めましょう。
 

金属アレルギーの対処方法

パッチテストを受けましょう

金属アレルギーでは、アレルギーが反応する原因の金属を突き止め、原因となる物質の皮膚接触を避けることが最も重要です。
パッチテストでは、様々な物質のアレルギー反応を一度に検査できます。
アレルギー症状が発生した場合は、是非一度パッチテストを受けてみましょう。
 

アレルギー原因になる金属との接触を断つ

パッチテストにより判定したアレルギーを引き起こす金属が含まれている金属製品の使用は避けましょう。
特に、夏場やスポーツ時など汗を多くかきやすい状況の場合、できるだけ金属との接触はお控えください。
 

クリームや手袋などによる予防

接触皮膚炎においては、原因物質の皮膚への接触を防ぐことが非常に有用です。
職場環境や生活状況に応じてコットン手袋・ゴム手袋などを着用して下さい。
 

金属アレルギーが引き起こす皮膚疾患の対処法

アレルギーの原因が特定されても、食品に含まれる原因物質など、日常生活から完全に取り除くことが困難な場合、皮膚に現れる症状には短期的なステロイド外用剤の使用が有効です。
 

おわりに

金属アレルギーは、アレルギーとなる原因を特定し、その原因との接触を断つことが重要です。
なかなか治らない皮膚疾患が出た場合は、早めに皮膚科に相談してパッチテストを行い原因を突き止めましょう。

image by Photo AC
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