一気飲みが引き金に?!急性アルコール中毒とは?

短時間にたくさんのアルコールを摂取したことで一時的に意識や行動、感情、呼吸などに変化が起こる状態を「急性アルコール中毒」といいます。

「いつもより激しく酔ってしまった」という軽度のケースから、昏睡や運動障害(自力で立てない)といった重度のものまで、症例は様々。
ときには、命にかかわる危険性もあるので軽視できません。

急性アルコール中毒が起こりやすい場面といえば、「一気飲み」。
特に飲酒を始めたばかりの大学生の飲み会や、新社会人の一気飲みで起こることが多いようです。

このほか近年では、女性や高齢者の急性アルコール中毒も増えています。
女性や高齢者はアルコールの分解に時間がかかるので、急性アルコール中毒の危険性が高いのです。

そこでこの記事では急性アルコール中毒の症状と診断方法、そして対処法を解説。
さらに、乾杯する前に知っておきたい「正しいお酒の飲み方」をご紹介します。

 

急性アルコール中毒の症状と対処について

急性アルコール中毒によってみられる症状には、個人差があります。
これは症状のあらわれ方には血中アルコール濃度のほか、飲んだ速度や量遺伝的性質など、複数の要因がからんでいるためです。

急性アルコール中毒で主にみられる症状と対処は、以下の通りです。
 

症状1:「嘔吐」と対処

急性アルコール中毒で命を落とす場合、最も多い原因が嘔吐です。
嘔吐物が喉に詰まったことによる窒息死を避けるために、横に寝かせましょう。

中には眠った状態で嘔吐する場合もあるので、注意深く観察することが大切です。
このほか、嘔吐物に血が混ざっている場合は危険度が高くなります。
早急に救急車を呼びましょう。
 

症状2:「歩行困難」と対処    

ふらついて1人で立てない、歩けないといった歩行困難がみられる場合は、無理に立たせず早めに水分を補給しましょう。

1番良いのはひと肌程度の温度のぬるま湯。これは急性アルコール中毒によって体温が低下している可能性があるためです。
血中のアルコール濃度を下げるようにしましょう。
 

症状3:「呼吸回数の減少」と対処

急性アルコール中毒によって、呼吸が乱れたり、呼吸回数が減少するケースが多々あります。

患者の様子を確認し、1分間の呼吸が7回以下になっている場合は危険度が高いです。
早急に救急車を呼ぶようにしましょう。
 

症状4:意識の低下がみられた場合の対処

完全に意識を失ったわけではないけど、意識が朦朧(もうろう)としている。
こんなとき、電車やタクシーに乗るべきか迷う方も多いかと思います。
しかし、症状の悪化を避けるためには乗り物に乗らず、患者の回復を待ちましょう。

徐々に意識がなくなっていく場合もあるので、常に呼びかける、つねるといった刺激を与えて反応を確認してください。

大声で呼びかけても反応が見られないといった変化がみられると、重度の急性アルコール中毒の可能性があります。
迷わず救急車を呼び、適切な治療を受けるようにして下さい。

いずれの症状の場合も、急性アルコール中毒のときは体温を下げないことが大切です。
急性アルコール中毒による低体温は、心臓への負担を大きくして、最悪、命を奪う可能性があります。
毛布や上着をかけてたり、室内の温度に気を配ることで体温を維持するよう対処しましょう。
また、患者を1人にしないことも大切です。


 

急性アルコール中毒の診断について

急性アルコール中毒の正確な診断は病院で行うことになります。

代表的な診断方法に血中アルコール濃度を調べる血液検査尿検査がありますが、これだけでは急性アルコール中毒と診断できません。

意識障害がみられる場合、原因としてアルコール以外のものがないか確認することが重要です。

例えば、酔っている間に転倒して頭部打撲や脳出血を起こしていることが原因ではないか。
あるいは、他の病気(糖尿病や脳梗塞)や脱水、血圧の低下が原因ではないか診断の前に念入りに確認する必要があります。

ほかの原因が見当たらないことが分かって、初めて急性アルコール中毒と診断されます。

アルコールには解毒剤がないほか、吸収が速いので胃洗浄も効果を期待できません。
そのため、急性アルコール中毒の治療は、安静による体内のアルコール分解を待つこととなります。

軽度の場合は12時間ほどで回復が可能です。

重度の場合は、症状に合わせて人工呼吸や輸液によるアルコール排泄の促進などを行います。

 

急性アルコール中毒を予防するために、正しいお酒の飲み方を知ろう

急性アルコール中毒は、意識障害を筆頭に症状の変化が激しく、1分1秒の対処の遅れが命にかかわることをお分かり頂けたのではないでしょうか?

危険度が高い急性アルコール中毒を避けるには、普段から正しいお酒の飲み方を理解しておくことが大切です。

「今更・・もう知っているよ」という人も、念のためにお酒の飲み方をおさらいしておきましょう。
 

お酒は少しずつ楽しみましょう

アルコールが肝臓で分解されることは、みなさんご存知だと思います。
そのとき活躍するのが「アセトアルデヒド脱水素酵素」という酵素です。
この酵素の働きには個人差があり、これがいわゆる「お酒に強い・弱い」を決めています。

一般に、1時間当たり肝臓がアルコールを分解する目安は、ビール中瓶の場合は約3分の1日本酒の場合は7分の1合程度となります。

この範囲を超えるような速さでの飲酒は体に大きな負担となるので、じっくりお酒は楽しみましょう。
 

飲酒前・飲酒中にこまめな水分補給を

飲酒前や飲酒中のこまめな水分補給は、メリットだらけです。

例えば「肝臓への負担を軽くする」「脱水症状を避ける」そして「アルコール濃度を下げる」といった効果があります。

おすすめはお茶やスポーツドリンクではなく、水や炭酸水。
お酒とお水を交互に飲むことで、体に負担なく飲酒を楽しめます。
 

飲酒直後は避けたい薬の服用

アルコールが体に残っている状態で薬を服用すると、体に悪影響を及ぼす可能性があります。
以下の薬の服用は避けましょう。

睡眠薬の服用
薬の注意書きにも記載されている通り、アルコールと睡眠薬の併用は危険です。
相乗効果による強い催眠作用によって、呼吸困難や昏睡状態に陥る危険性も。

 

血管拡張剤の服用
アルコールとの併用によって過度に血圧を下げる危険性が。
起立性低血圧によって、ふらつきや立ちくらみを起こすことがあります。

 

精神神経用剤の服用
脳の中枢が刺激されて、強い催眠作用を起こす可能性があります。

 

さいごに

急性アルコール中毒と正しいお酒の飲み方の話はいかがでしたか?

お酒は適量の摂取であれば「酒は百薬の長」といわれ、また楽しい時間を過ごすためのスパイスにもなります。

健康を意識しながら、ご自身の体に適した量のアルコールを堪能するようにしましょう。
 


(image by lllust AC)
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