いつも食事で気を抜けない食物アレルギー

2015年10月に、全国の小中高生を対象としたスマホ向けアプリ開発コンテスト、「アプリ甲子園2015」の決勝戦がおこなわれました。

 

小学6年生の優勝者、中馬慎之祐(ちゅうましんのすけ)さんが開発したアプリ「allergy(アレジー)」は、食物アレルギー情報のアプリ。

このアプリは、食物アレルギーのかたが自宅以外で食事をする時に、誤まってアレルギー原因の食物を食べてしまうことを防ぐために開発されました。

 

では、自分は食物アレルギーを持っているのかいないのか。

それは食物アレルギー検査によって確認することが出来ます。

 

食物アレルギーを発症してしまった人、もしかしたら食物アレルギーかもしれないと感じている人、全然アレルギー症状は出ないけど…、など、様々な人にあてはまる、食物アレルギーの検査について詳しく解説をしていきます。

食物アレルギーの原因は多種のアレルゲンが持つタンパク質!

食物を食べる・触る・吸い込むのがきっかけで、身体に有害な症状もたらす場合があります。これが食物アレルギーです。

本来身体を守るための免疫システムが過剰反応を起こすことによって、身体に有害な症状があらわれます。

食物アレルギー症状が身体にあらわれるタイミングは様々!

食物アレルギーには原因食物(アレルゲン)を食べたあと、すぐに症状があらわれる即時型数時間〜数日経ってから症状をあらわす遅発型、遅延型があります。

 

即時型:食物を食べてから15〜30分後、少なくとも2時間以内に症状があらわれる。

遅発型:食物を食べてから6〜8時間後に症状があらわれる。

遅延型:食物を食べてから数日後に症状があらわれる。

 

即時型の場合、皮膚、呼吸器、消化器などにあらわれる多彩な症状が食物を食べてから比較的速やかにあらわれるので、「食物アレルギーだ」と分かりやすいのですが、遅延型、または遅発型の場合でも食物アレルギーであることを見落としてしまうことがあります。

 

その理由は、症状があらわれるのが遅い上、肌あれ・倦怠感・肩こりやイライラなど、日常の中でも起こりえる症状であることが多いため、年齢や体質に原因があると思い込んでしまうからです。

 

即時型や遅発型の場合はもちろんですが、遅延型の場合でも「もしかしてこれって食物アレルギー?!」と思ったら医師に相談するようにしてください。

食物アレルギーの原因物質を特定し、対策をとることが非常に大事になります。

アレルゲンは3大アレルゲンをはじめ、様々なものが!

食物アレルギーの原因となる物質は、食物のタンパク質です。糖質や脂質などは基本的に食物アレルギーを起こしません。

 

タンパク質を含む食物の中でも、鶏卵、牛乳、小麦3大アレルゲン(原因食物)と呼ばれています。

その他、有名なものに「そば、ピーナッツ、甲殻類(えび・かになど)」があります。更には果物や豆類などもアレルゲンとされており、実に幅広い食物が食物アレルギーの原因となっています。

 

そして、年齢によってアレルギーの原因になっている食物に傾向が見られます。

 

【新生児期】

牛乳

 

【乳児期】

鶏卵、牛乳、小麦、大豆など

 

【幼児期】

卵類、牛乳、小麦、果物類、ピーナッツなど

 

日本小児アレルギー学会 のデータによると、2・3歳になると卵の中で鶏卵だけでなく、魚卵でもアレルギー症状が増えてくる傾向がみられます。

 

【学童・成人期】

蕎麦、小麦、甲殻類、果物、野菜など

食物アレルギーの検査方法や費用は即時型と遅延型で違います!

自分はどの食物を食べると食物アレルギー症状をあらわすのか。食物アレルギーを持つ人にとって、自分のアレルゲン特定は生活していく上でとても重要なことです。

 

食物アレルギー症状が発症した。食物アレルギーの疑いがある。この場合は即時型、または遅発型の食物アレルギーが強く疑われます。すぐに病院で検査を受けましょう。

 

また、「普段はなんともないと思っていたけど検査を受けてみたら食物アレルギーだった」という話しを聞くことがあります。

この場合、遅延型の食物アレルギーであることがほとんど。

 

今後の生活のための予防目的や、自分の身体のことを知るためのアレルギー検査を受ける人もいます。

今まで見て見ぬふりをしていた体調の悪さや肌あれなどの原因が食物アレルギーだと分かれば、解決策を探ることもできるでしょう。

子どものアレルギー検査は小児科へ

食物アレルギーの症状には様々なものがあるため、何科を受診すればいいのか迷ってしまう人も少なくありません。

 

もし、子どもであればまず小児科で受診をしましょう。そこから症状によって診察をしてもらう“科”が移る場合もあります。

 

アレルギー症状で一番確実なのは、アレルギー科での受診です。

しかし、分かりやすく皮膚に症状が出ているなら皮膚科、咳などの症状があれば呼吸器内科など、症状に合わせた科を受診するのも正しい選択であり、確実な治療に繋がります。

即時型の食物アレルギーには食物経口負荷試験を!

アレルギー発症が即時型に該当する人は、実際に症状が発症した、またはなんらかの自覚があって病院へ行く場合が多いのではないでしょうか。

 

そこでおこなわれるのはまず問診。この時に重要な項目が、

  • 食べた物
  • 食べた量
  • 症状の様子
  • 食物を食べてから症状が出るまでにかかった時間

などです。このような情報があれば、食物アレルギーによる症状であるか専門医が予測をつけることができます。

 

そして、より具体的な特定は食物経口負荷試験による検査です。

 

■食物アレルギーの自覚はなかったが血液検査で陽性になった。

■子どもの場合は0〜1歳頃に食物アレルギーであっても成長とともにアレルギー反応がなくなる場合がある。

 

など、一見、分かりづらい症状であったり、アレルギー症状における耐性の変化などにも対応しているという点でも最も有効な検査だといえます。

食物経口負荷試験とは

実際に食物を食べ、症状の経過を観察する検査です。細かな試験方法は病院によって異なりますが、ごく少量から食べはじめ、15〜20分ごとに少しずつ量を増やしながら食べていきます。

食物経口負荷試験は手間と時間のかかる検査です。そのため検査は日帰りでできる場合だけではなく、入院をしておこなう場合も多くあります。

 

そしてこの検査は症状が出た時、すぐに処置をする必要があります。

ですので、アレルギーの診療を専門にしている医師のもと、緊急処置に対応できる医療施設でおこなう必要があります。

食物経口負荷試験を補助する様々な検査

食物アレルギーの診断の基本は問診と食物経口負荷試験ですが、この他にも診断の手助けとなる検査があります。

 

 

【特異的IgE抗体検査】

血液検査でIgE(アイジーイー)抗体を調べます。lgE抗体とはアレルギー反応に関わる物質です。どの食物に対してどのぐらいのIgE抗体の反応があるかを調べることによって、どの食物がアレルゲンであるのか予想を立てることができます。

食物経口負荷試験で陽性の判定がされてから、「ではどの食物に強く反応するのか」というのを調べる場合に役立ちます。

 

【皮膚プリックテスト(スクラッチテスト)】

アレルゲンを皮膚につけた時の反応をみる検査です。アレルゲンだと疑われる試薬を皮膚に1滴のせ、専用の針で小さな傷をつけて軽く刺激します。

皮膚に反応が強く出たらアレルゲンである可能性が疑われます。ただし、これだけでは診断を確定する根拠にはなりません。

 

【ヒスタミン遊離試験】

血液とアレルゲンを混ぜ合わせ、アレルギー反応がでるかどうかを調べる検査です。結果の解釈には専門知識が必要な上、検査できる食品が限られているという側面があります。

 

【食物除去試験】

原因と疑われる食物を数週間食べないようにして、症状がおさまるかどうかを見ます。もし、乳児が検査対象の場合、授乳をさせる母親もその期間は子どもと一緒にアレルギーの原因だと疑いのある食物を食べてはいけません。

赤ちゃんの食物アレルギー検査

赤ちゃんに食物アレルギーがあるかを疑う判断基準は、皮膚がかさかさしている、痒みがある、ゼイゼイいう呼吸をしているなど、いつもと違う素振りがあれば食物アレルギーの疑いがあります。

 

食物除去試験も実施しますが、赤ちゃんの食物アレルギー検査は血液検査が中心です。母乳だけで育っている乳児はもちろんですが、離乳食段階の赤ちゃんには「食べさせて様子を見る」検査は適していないからです。

 

血液検査をすれば、どの食物に対してアレルギー反応をおこすのか予想を立てることができます。赤ちゃんに限らず子どもは、血液検査で陽性になっても、陽性であったはずの食物を平気で食べていたり、成長段階で変化を見せる場合があります。

 

赤ちゃんのように血液検査に頼る検査段階では、確実な診断結果とはいえません。血液検査の結果は「決定」ではなく、「アレルギー反応を示す可能性がある」ということを忘れないようにしましょう。

症状が出ている食物アレルギー検査費用は保険適用されます!

アレルギー反応が出た上で検査を受ける場合、検査費用が保険適用されます。

 

即時型、または遅発型の場合、アレルギー反応があらわれた上で受診、検査をおこなっていることが多いので、検査は保険適用を受ける対象になります。

 

逆に、アレルギー反応が出ていない状態で検査を受ける場合、原則的には検査費用が自己負担になります。

ですので、遅延型の食物アレルギー検査の場合は検査時にアレルギー反応が出ていない場合が多く、栄養療法の検査になってしまうため、保険適用にならいない自費診療になってしまいます。

 

症状が出ている上での検査であれば、入院による検査でも保険適用は受けることができますが、入院中の食事代などの諸経費は別途かかるのでご注意ください。

自宅でできる食物アレルギー検査キット

すぐに処置の必要のない遅延型の食物アレルギー検査であれば、検査キットを使って自宅で検査をすることもできます。使用方法は、

 

ステップ1:キットを注文

  ↓

ステップ2:指先からごく少量の血液を採決

  ↓

ステップ3:乾燥させた検体をキットに付属されている返信用封筒で郵送

  ↓

ステップ4:2〜3週間で検査結果を受け取り

 

です。即時型の食物アレルギーの場合、血液中のIgE(アイジーイー)抗体の関わりを調べますが、遅発型の場合はIgGやIgA、免疫複合体が関与しているとみられていることから、遅発型の検査ではこれらの抗体を調べることが主流です。

 

ここで紹介する、アレル・チェックキットはIgG抗体検査のパイオニアであり、世界随一の精度と検査件数を誇るUSバイオテック研究所の検査を受けることができます。

 

様々な事情で外出が困難であったり、自宅で手軽に食物アレルギー検査をしたいかたにはこのような検査方法もあります。

原因食物が特定できたらしっかりと対策を!

食物アレルギーは、時に命を脅かす程の重篤症状をあらわす場合があります。

検査でアレルゲンが特定できたら普段からしっかりと対策をしておくことが大切です。

 

 

【対策1:原因食物の除去】

医師の指導のもと、原因食物を食べない「食物除去」をおこないます。栄養の偏りや健康、成長に影響が出ないよう、除去は必要最小限にとどめることが大切です。

検査をしていれば、原因食物と自分の身体の関係が分かります。「念のために…」と、必要以上に除去をせず、食べると症状があらわれるものだけを除去すること、検査で原因食物だと分かっても、症状があらわれずに済む、食べられる範囲までは食べることが大切です。

 

 

【対策2:容器包装のアレルギー表示の確認】

食品衛生法では、短い時間で全身性のアレルギー反応を引き起こしやすい「特定原材料」の表示を義務付けています。

加工食品に極少量でも含まれていれば、容器包装に原材料表示をされます。

原材料表示を確認し、自分の該当する原因食物が含まれていたら食べないように気をつけましょう。

 

特定原材料とは

「卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生」の7品目のことを「特定原材料」と呼びます。

また、「あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン」の20品目を「特定原材料に準ずるもの」として定められています。

特定原材料に準ずるもの20品目に関しては、原材料表示に表示義務はないものの、「表示をした方がよい」と勧められています。

 

 

【対策3:アドレナリン自己注射薬の携帯】

「過去に強いアレルギー症状の経験がある」、「アレルギー症状による危険があると思われる」場合、アドレナリンを自分で注射する自己注射薬(アナフィラキシー補助治療剤)を携帯しておくと、いざという時に役立ちます。

ただし、自己注射薬は患者の状況をみた上で、医師が必要だと判断した場合に処方されるものなので、食物アレルギーを持つ誰しもが自己注射薬を携帯をする必要はありません。

検査をしてみて分かることもある食物アレルギー

食物アレルギーによる症状の度合いは様々で、身体の変化があまりみられないものから命を脅かす危険性のあるものまで実に幅が広いといえます。

 

「エビが好きだけどアレルギー症状がでてしまう」という場合にも、「どの量までなら食べても問題ない」のかということを検査をすることによって知ることができます。

もし少量の摂取でアレルギー反応が出なければ、今まで我慢してきたものを多少は食べても大丈夫だということが分かれば喜ばしいと思うかたもいるはずです。

 

食物アレルギーとの付き合い方は人それぞれ違います。

 

そして、食物を食べるということは、人間が生きていく上で重要なことの1つです。食物を食べるということが、過度なストレスにならないよう、食物アレルギーの検査と結果を自分の生活の中で有効に使えたらいいですね。