プール熱はウイルス性の感染症です。正式名称を咽頭結膜熱といいますが、プールで感染することが多いため、通称プール熱と呼ばれています。

プール熱の感染者は、6月頃から徐々に増加しはじめ、7~8月頃に発症のピークを迎えます。ただし、原因となるウイルスは1年中活動しており、夏以外にも発症することがあります。

プール熱は幼児から小学生にかけての子どもがかかりやすい病気で、感染者の9割が10歳以下といわれています。ただし、大人がかかる可能性もあり、その場合は重症化することもあるので注意が必要です。

この記事ではプール熱について徹底解説していきます!

プール熱の原因はアデノウイルス

アデノウイルスとは

プール熱の原因は、アデノウイルスというウイルスです。アデノウイルスは、風邪の症状を引き起こすウイルスのひとつとして知られています。

アデノウイルスには約50種類の型があり、発症しやすい病気や症状によってA〜Fの6つに分類されています。アデノウイルスが原因の主な疾患としては、プール熱のほかに「はやり目」と呼ばれる流行性角結膜炎、肺炎、胃腸炎、出血性膀胱炎、上気道炎・気管支炎、扁桃炎などがあります。

プール熱の原因となるアデノウイルス

プール熱の原因となるのは、主に3型のアデノウイルスです。ただし、1・4・7・14型で発症するケースもあります。
7型のアデノウイルスが原因のプール熱は、心肺機能や免疫機能の低下などの疾患がある人がかかった場合、重症化することがあります。熱が長く続き、呼吸器疾患や細菌の二次感染も併発することがあるので、注意が必要です。

プール熱の感染経路

プール熱の感染経路として考えられるのは、主に次の3つです。
▪️咳やくしゃみなどによる飛沫感染
▪️患者とのタオルの共用や、手指を介した接触感染
▪️塩素濃度の管理が不十分なプールの水を介しての結膜への感染や、便を介しての経口感染

1度プール熱に感染すると免疫ができ、同じウイルスには感染しません。ただし、原因のウイルスの型は複数あるので、プール熱に感染するのは1度だけとは限りません。

アデノウイルスの潜伏期間

アデノウイルスに感染しても、すぐにプール熱を発症するわけではありません。アデノウイルスには、5~7日間の潜伏期間があります。プール熱の発症期間は1〜2週間です。ただし症状がおさまった後も、咽頭からは約14日間、便からは約30日間ウイルスを排出し続けます。アデノウイルスは感染力が非常に強いので、注意が必要です。

プール熱の症状

プール熱の主な症状は、発熱、咽頭炎、結膜炎の3つといわれています。50%以上の確率で、この3つの症状が全て見られますが、1つか2つの症状しか現れない場合もあり、人によって症状に差があります。

発熱

38℃から40℃の高熱が、4日〜7日間程度続きます。風邪より長い期間、高い熱が続くのが特徴です。熱がなかなか下がらない場合、脱水症状を併発します。自力で水分補給ができなくなると、点滴治療を受けることになります。

咽頭炎

のどが赤く腫れ、痛みを感じます。症状は3日間~5日間続きます。完全にのどの痛みがなくなるまでに、1週間程度の期間が必要になるケースもあります。

結膜炎

目やにが出て、目が充血します。目にまぶしさを感じ、涙が止まらなくなることもあります。症状は片方の目から始まり、その後両方の目に現れます。結膜炎の症状は7日〜10日間続きます。

その他の症状

このほかにも腹痛や下痢、咳を伴うこともあります。これらの症状は3~5日程度続きます。

生後14日以内の新生児に感染した場合は全身性感染を起こしやすいことが報告されています。また大人が感染すると、まれに肺炎など重症化することがあるので注意が必要です。

プール熱かどうか調べるには

プール熱になったら何科に行けばいい?

病院の内科、小児科を受診しましょう。目の症状がある場合は、眼科にも相談しましょう。

プール熱の診断・検査方法

病院ではまず、現在の症状を診察します。高熱やのどの炎症、目やにや充血などの症状が見られれば、まずはプール熱の可能性が疑われます。通っている学校やスイミングスクールなどで、プール熱が流行しているなど、近隣の状況も判断材料になります。

アデノウイルスの確認は、迅速キットや血液検査によって行われます。

迅速キットの場合は、のどを綿棒でこすって検査を行います。30分程度でキットが+になれば陽性で、アデノウイルスがのどの粘膜にいることがわかります。すぐに結果がわかるので、現在はほとんどこの方法で検査が行われます。ただし発症直後の場合、ウイルスを確認できず、陽性にならない場合もあります。

血液検査は、一定期間を空けて2回行われ、1回目より2回目で抗体の数値が上がればプール熱と診断されます。しかし、1回目と2回目の検査の間は、2週間以上空ける必要があるため、結果が出るまでに時間がかかります。結果が出る頃には、すでに治っているので、現在ではあまり使われない方法です。プール熱であったかどうかを確認するため、事後検査として使用されることがあります。

プール熱の治療法

プール熱は安静にして治す

プール熱は、アデノウイルスが原因の感染症ですが、今のところアデノウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。基本的には、安静にして睡眠をしっかり取り、自然に治るのを待つことになります。

食事は消化が良く、十分に栄養がとれるものがおすすめです。プール熱のときは、のどが痛くなるので食欲不振に陥ることもあります。そんなときは、ヨーグルトやプリン、ゼリー、アイスクリームなど、冷たくのどに刺激の少ないものを食べさせましょう。豆腐やみそ汁、ポタージュスープ、冷ましたおかゆなどもよいでしょう。どうしても食べ物を受け付けない場合は、無理に食べさせる必要はありません。
ただし、発熱によって脱水症状を起こしやすくなっているので、水分はしっかり補給しましょう。汗をかいたら、こまめに下着や服を着替えさせましょう。

お風呂は熱が下がれば入っても構いません。ただし、入浴の順番は最後にしましょう。

プール熱の治療は対処療法

アデノウイルスによって引き起こされる、発熱や咽頭炎、結膜炎の症状に対しては、それぞれの症状をおさえる薬を医師から処方されることがあります。

【処方される薬】
▪️発熱…解熱剤
▪️咽頭炎…抗炎症剤内服薬
▪️結膜炎症状…点眼薬

プール熱の予防法

プール熱の予防法

プール熱が流行する夏の時期には、周囲にウイルスが蔓延しています。手や指にウイルスが付着している可能性がありますので、石けんと流水で手や指をきれいに洗いましょう。目を触ったり、指を舐めたりすることも避けましょう。うがいも予防に効果的です。
石けんで十分に手洗いした後のアルコール消毒剤も有効ですが、80%程度の濃度の物を使いましょう。あまり低濃度の物は、アデノウイルスに対して効果が期待できません。

プールでの感染の予防には、水泳前後のシャワーや水泳後の洗眼、うがいをしっかりしましょう。目やにから感染することがあるので、タオルも共用しないようにしましょう。

プール熱を感染拡大させないために

プール熱は看病している家族が二次感染するケースも多く見受けられます。次のようなことに注意し、二次感染を防ぎましょう。

▪️感染者と密接な接触は避ける
▪️感染者と接触する際には、手袋やマスク、メガネを着用する
▪️感染者に触れた後はよく手を洗う
▪️感染者の便や嘔吐物には直接手で触れず、使い捨て手袋を使用する
▪️便やオムツはしっかりビニールに入れて処理し、処理後はしっかり手を洗い消毒する
▪️タオルや食器、洗面器の共有はしない
▪️目薬を共用しない
▪️洗濯は、感染者のものを別にして洗う
▪️ドアノブや手すり、おもちゃなど、身の回りのものをこまめに消毒する
▪️トイレを消毒する
▪️感染者の目やに・涙を拭き取る場合は、ティッシュペーパーや綿棒、洗浄綿を使用し、直接目に指を触れないようにする
▪️お風呂は感染者を最後に入れる

登園・登校はどうなる?

学校保健安全法では、プール熱は第二種感染症に位置づけられており、症状がなくなった後から2日経過するまでは、出席停止となります。

アデノウイルスは、症状がおさまった後も2週間~1か月程度に渡り、ウイルスの排出を続けるため、他のこどもへの二次感染には最大の注意が必要です。

そのため、プール熱を発生した児童は、基本的に登園・登校から2週間程度は、プールに入れません。

プール熱の出席停止期間について、詳しくはこちらをごらんください。

大人のプール熱は重症化に注意

プール熱を発症するのは幼児~小学生が圧倒的に多く、大人がかかることはまれです。しかし、アデノウイルスは感染力が非常に強いため、大人でもプール熱を発症する可能性がないわけではありません。大人の場合は子どものようにプールで感染するケースはほぼなく、プール熱を発症した子どもからの二次感染がほとんどです。

プール熱に感染すると、大人の方が子どもより症状が軽いことが多いですが、まれに重症化することもあるので注意が必要です。報告されている例は、胃腸炎、急性呼吸器感染症、出血性膀胱炎、流行性角結膜炎などで、これらを発症すると治療が長引きます。

大人のプール熱について、詳しくはこちらをごらんください。

おわりに

プール熱は、アデノウイルスが原因となる感染症です。感染力が強いので、プール熱が流行する夏のシーズンはとくに、手洗い・うがいなどの予防を徹底しましょう。
プール熱に感染してしまった場合は、病院の内科・小児科を受診してください。