粉瘤(ふんりゅう)とは?

粉瘤とは、アテローム表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれる、皮膚の良性腫瘍のひとつです。
症状が初期のうちはニキビのように見えるため、粉瘤だと気づかずに放置している人も多いですが、ニキビと違い自然に治癒することはありません。

原因は、表皮が袋状になって中に垢や皮脂などが溜まることで、炎症をともない急激に大きくなることもあります。

きちんと病院で治療せずにいると再発を繰り返すこともあるため、粉瘤の可能性がある場合は早めに皮膚科や形成外科を受診しましょう。

粉瘤の症状:臭いや痛みが起こることも!

ニキビとの見分けが難しい粉瘤ですが、その症状にはどのような特徴があるのでしょうか。

粉瘤の症状の特徴:ニキビとの違いは?

粉瘤はニキビや大き目のイボのように思えることもあり、初めて発症した場合に粉瘤だと判断するのは難しいです。
目安として、ニキビのようだがしばらくたっても症状に変化がない、または悪化する、という場合は粉瘤である可能性が高いです。
また、粉瘤は炎症を起こしていなければ痛みはないため、軽く触って痛みがあるかどうかも判断のポイントになります。

その他、粉瘤の特徴的な症状は以下などです。

■同じ場所に何度もできる
粉瘤の場合、一度症状が落ち着いても同じ場所に繰り返しできることが多いです。
決まった場所に何度もしこりができる場合、粉瘤かもしれません。

■黒い開口部がある
皮膚の表面に小さな黒い穴ができることがあります。
これは粉瘤の開口部であり、ここから細菌が入って炎症を起こす危険性があります。

■盛り上がった部分が黒や青、黄色などに変色している
中の袋の状態によっては、皮膚の色が変色することがあります。

嫌な臭いがする

粉瘤の中心から白い膿が出て、嫌な匂いを発することがあります。
粉瘤の中に溜まっているのは古い角質や垢、皮脂などであるため、それが白い粥状になっていると当然悪臭を放ちます。
膿が外に出ていなくても臭いを発することもあります。

特に炎症を起こしている粉瘤の場合、中の袋の内部では嫌気性菌が増殖し、菌の代謝の過程で匂いがします。
臭いのしない粉瘤もありますが、炎症を起こし膿が出ると確実に臭いがするため、できるだけ早く対処をとりましょう。

炎症が起こり痛い

粉瘤自体に痛みはありませんが、細菌感染により炎症が起こると痛みをともなうことがあります。
粉瘤の中央の開口部から細菌が入り込み、炎症が起こります。

炎症が起こると粉瘤は赤く腫れ、熱や痛みをともないます。
さらに放置していると粉瘤が化膿し、袋を破壊して炎症が周囲に広がってしまいます。

通常、粉瘤は手術で袋を取り除くことにより治療できますが、炎症を起こしていると手術の前にまず抗生物質の内服で炎症を抑える治療が行われます。
炎症が起きているときの袋はもろく、破れやすいためです。

また、さらに炎症が進み化膿が酷い場合は、皮膚を切開して膿を出す「切開排膿」という手術が行われます。
膿を取り出せば痛みは緩和されますが、袋を取り出さないと再発する可能性が高いため、後日炎症が治まってから改めて手術が行われることが多いです。

破裂

上記のように炎症が起こりさらに化膿してしまった場合、袋がもろくなっているため破裂する危険性があります。

袋が破裂すると周囲に粉瘤の中身である膿が広がってしまいます。
粉瘤の部分を中心に赤く腫れ、膿と同時に血がでることもあります。

粉瘤が破裂してしまった場合は、幹部を避けるように清潔なタオルやガーゼで膿をふき取り、出来るだけ早く皮膚科または形成外科を受診してください。

かゆい

粉瘤自体にかゆみはありませんが、炎症を起こしかけている場合、かゆみを感じることがあります。
このときにひっかいてしまうと、傷を作ることになりさらに炎症を悪化させてしまいます。
できるだけかかないようにし、早めに病院へ行きましょう。

また、手術後の数日間は傷跡がかゆいことが多いそうです。

粉瘤ができやすい場所:顔やおしりに要注意!

粉瘤は体中のどこでもできる可能性がありますが、その中でもできやすい場所があります。

顔は粉瘤が最もできやすい場所のひとつです。

ニキビができやすい場所でもあるため、粉瘤だと気づかないことが多く、放置しがちなため注意が必要です。
目のまわり、もみあげの周辺、など、顔のどこにでもできる可能性があります。

粉瘤が小さなうちに手術を行えば傷跡も小さく、手術から1年もたてば傷跡が分からないくらいまで回復するのが一般的です。

近年、粉瘤治療に力を入れている病院では、切開せずに皮膚に小さな穴をあけ粉瘤の中身を取り出す「くり抜き法/ヘソ抜き法」と呼ばれる手術も行っています。
この場合、手術跡は5mm以下であり、跡もほとんど残ることがありません。

おしり

日々の生活で刺激や圧力が加わりやすい場所であるため、粉瘤もできやすくなります。

自分では確認することが難しいため、気づかないうちに小さな粉瘤を何度か繰り返し、ある日急激に痛みをともなって大きくなり発症に気づく、ということが多くあります。

粉瘤と同じくおしりにできやすいものに「脂肪腫」がありますが、脂肪腫はプニプニと柔らかいのに対し、粉瘤はクリクリと硬い、という特徴があります。

耳たぶ・耳の後ろ

耳のまわり皮脂などが溜まりやすく、また入浴時の洗い残しも多いため、粉瘤ができ、さらに炎症を起こしやすいと考えられています。
また、ピアスホールを開けた際の外傷が原因で粉瘤ができることもあります。

耳の裏側に粉瘤ができた場合、いくつかの粉瘤が同時に起こることが多いです。
小さいものが同じ個所に多発し、自分では見にくい場所のため発見が遅れることもあります。

耳の後ろに粉瘤ができてしまった場合、細菌による炎症を抑えるためによく洗うようにしましょう。
そして、炎症を起こす前に病院を受診してください。

背中

顔と同じく、粉瘤が最もできやすい場所のひとつです。

自分では確認することが難しいため、発見が遅れることが多いです。
炎症が起こるまで粉瘤を放置してから気づくことが多く、そうなると手術跡も大きくなり、完治にも時間がかかってしまいます。

また、仰向けに寝たときに刺激し、炎症を起こした粉瘤の袋が破れ膿や血が出てしまうこともあります。

脇の下

脇の下に粉瘤ができてしまった場合、一度にいくつもの粉瘤が多発することがあります。

いわゆる「ワキガ」の症状がある場合、脇の下にしこりがある場合があり、このしこりは粉瘤である可能性があります。
ワキガの匂いとは別の匂いですが、粉瘤が悪臭を放っていた場合も臭いは鋭いため、早めに治療しましょう。

脇の下はニキビができにくい場所であるため、脇の下にしこりや出来物があった場合は粉瘤である可能性が高いといえます。

首・頭

頭部や首も粉瘤ができやすい場所です。

頭皮にできてしまった場合、髪の毛で見えにくく、粉瘤ができてもしばらくは気づかないことが多いです。
また、髪をとかすためにブラシを使用し、ブラシの先で粉瘤を傷つけ炎症の原因になることがあります。

首も粉瘤ができやすく、特に首の後ろの頭との境目あたりにできた粉瘤は大きくなりやすいです。
自分では確認することが難しい場所なので、触ってしこりがあると感じたら早めに病院へ行きましょう。

股・足の付け根

足の付け根である「そけい部」も粉瘤ができやすい場所です。
粉瘤に気づかず過ごしていると、日常生活で足を閉じるときの圧力により粉瘤を刺激するため、破裂を起こす危険性があります。

一般の病院で診察してもらうのが恥ずかしい場合、産婦人科でも初診を行っており、病院によっては手術を行っているところもあります。

胸の間や真ん中にできることが多いといわれています。
女性の場合、胸の間は皮脂や汗などが溜まりやすく、そのため粉瘤ができる確率も高いと考えられています。

また、胸のしこりは乳がんの症状である可能性もあります。
胸にしこりができた場合は、早めに病院を受診しましょう。

粉瘤の原因は?

粉瘤のはっきりとした原因は現在明らかになっていません。
しかし、一度粉瘤ができた人は何度も再発することが多いため、体質が大きな原因ではないかと考えられています。
現在、粉瘤の原因と考えられているものの一部を紹介します。

ストレス

粉瘤の主な原因は代謝の異常であり、過度のストレスはこの代謝異常を引き起こす原因になります。
ストレスが必ず粉瘤に結びつくわけではありませんが、代謝異常の原因となり結果的に粉瘤をできやすくしている可能性はあります。

粉瘤ができやすい体質の人は、できるだけストレスをためない生活を心がけましょう。
精神科や心療内科でもストレス緩和の治療は行われているため、積極的に受診してもいいいかもしれません。

体質

一度粉瘤ができた人は何度も再発することが多く、そのため粉瘤には体質が関係していると考えられています。

一度粉瘤ができた場合、同じ場所や他の場所にまた粉瘤ができる可能性があります。
粉瘤ができやすい場所を中心に、日ごろから粉瘤らしきしこりができていないかどうか確認し、見つけたら早めに病院へ行きましょう。

予防方法は?

原因がはっきりしていないため、明確な予防方法はありません。
代謝が良くなるよう、適度な運動を心がけることやストレスをためないことなどが予防につながりますが、対策をとっていても予防できないことが多いです。

粉瘤自体を予防することは難しいですが、粉瘤ができていたときに炎症を起こさないために、寝具や寝間着などを清潔にすることを心がけましょう。
また、耳の後ろや背中など洗い残しが多い場所は炎症が起こりやすいため、しっかりと洗うようにしましょう。

粉瘤は自然に治る?市販薬は?

病院で手術する以外に粉瘤の治療法はあるのでしょうか?

粉瘤は自然治癒しない

ニキビなどの炎症と違い、粉瘤は体の中にできた袋に皮脂や垢が溜まる症状です。
そのため、放置しておいても自然に治ることはなく、仮に一度ふくらみがなくなったとしてもほぼ間違いなく再発します。

粉瘤を治すには手術により原因となっている袋を取り出す必要があり、袋を取り出すには病院で手術するしかありません。

小さい粉瘤なら放置していても問題ないとされていますが、一度炎症を起こすと痛みがあるだけでなく傷跡が残る可能性もあります。
粉瘤ができた場合、炎症を起こす前に早めに病院へ行きましょう。

自分で潰しても大丈夫?

粉瘤は自分で潰してはいけません。
粉瘤を自分で潰すと、手術をしても再発する可能性が高くなります。

炎症を起こしていない粉瘤の場合、皮膚に穴をあけるくり抜き法で袋を取り出すことができ、この場合は傷跡も目立たず通院の必要もありません。
しかし、炎症を起こしてしまった場合はくり抜き法で処置できず切開することになるため、傷跡も大きくなりやすく通院する必要が出てきます。

針などを使って皮膚を傷つけ粉瘤の中身を取り出した場合、傷口から細菌が入り炎症を起こす危険性が高いです。
また、内部の膿が広がることにより、粉瘤の周囲が炎症を起こすこともあります。

粉瘤は自分で潰さず、早めに病院で処置をしてもらうようにしましょう。

粉瘤に効く薬は?

粉瘤そのものを薬によって治すことはできません。
病院によっては、粉瘤が小さいと感染を防ぐための抗生物質などを服用し様子を見る場合もありますが、粉瘤が大きくなれば手術が行われます。

市販薬にも粉瘤を治療する効果のあるものは存在しませんが、化膿や炎症を抑える薬はいくつか販売されています。
粉瘤が炎症を起こしているがすぐには病院へ行けない、というときに一時的な対処として使用することができます。

しかしあくまで一時的な対処なため、市販薬だけで治るとは思わずに、できるだけ早く病院へ行くようにしてください。

ドルマイシン軟膏

2種類の抗生物質が配合され、グラム陰性菌や緑膿菌などさまざまな菌に効果があります。
化膿してしまった疾患や、細菌感染の予防にも効果があります。

吸出し青膏(たこの吸出し)

腐蝕作用のある硫酸銅と、角質軟化作用のあるサリチル酸の効果により、膿を排出する効果があります。
化膿してしまった皮膚の疾患全般に効果があります。

粉瘤の手術について:手術の費用はどのくらい?傷は残る?

粉瘤の完治には手術以外の方法はありません。
粉瘤の手術には大きく分けて2つの種類があり、それぞれ方法や特徴が異なります。

小切開摘出術(切除術)

粉瘤のある皮膚をできるだけ小さく切開し、そこから粉瘤の根元にある袋を取り出す手術です。
袋を取り出したあとは皮膚を縫合します。

局所麻酔が打たれるため、手術中に痛みはありませんが、手術後数日は痛みを感じる場合が多いです。
傷跡が1cm以下の場合は痛みを感じないことが多いため、できるだけ早く手術を行うことが重要です。

■日常生活に支障は?
傷跡のサイズや病院の治療方針にもよりますが、手術の翌日からお風呂・シャワーが可能な場合が多いです。
また、切開手術の場合は術後2~3日は病院へ通い、傷口の経過を観察する必要があります。

■傷跡は残る?
顔の場合、抜歯するまでに1週間ほどかかるため、1週間は傷跡が目立ってしまいます。
顔以外の場合、抜歯には1週間から10日ほどかかります。

傷跡の大きさにもよりますが、順調に経過すれば1年ほどで傷がほとんど分からなくなることが多いです。

■費用は?
粉瘤の手術には、「皮膚皮下腫瘍腫瘍摘出術」という保険が適用されます。
費用は粉瘤のサイズによりますが、3割負担の人の場合、手術代の目安は以下の通りです。
・比較的小さいもの(2cm未満):約5000円ほど
・比較的大きいもの(2cm異常):約12000円~15000ほど
また、手術の前に超音波による検査を行うことがあり、その検査におよそ1000円ほどかかる場合があります。
手術の費用は症状により異なり、状態によっては別途薬代などがかかることもあります。

くり抜き法(ヘソ抜き法)

特殊なパンチで粉瘤がある皮膚に穴をあけ、内容物を絞り出す手術です。
内容物がすべて出たあと、しぼんだ袋をすべて取り除く必要があり、この袋の摘出が重要です。

局所麻酔を打つため手術中に痛みはなく、また術後も痛みは少ないことが多いです。

■日常生活に支障は?
切開手術に比べて手術時間が短く、場合によっては3分ほどで終了します。
また、経過が順調なら術後に通院する必要もありません。

■傷跡は残る?
切開する手術に比べ傷跡が小さくすむことが特徴で、順調に経過が進めば傷跡はほとんど残らないそうです。
開けた穴が大きい場合は傷口を縫合することでより傷跡が残りにくくなります。

■費用は?
くり抜き法の場合も保険が適用されます。
費用は粉瘤のサイズや病院により違いがありますが、3割負担の人の場合、目安は以下の通りです。
・2cm以下の場合:約5000円ほど
・2cm~4cmの場合:約10000円~12000円ほど
・4cm異常の場合:約13000円~14000円ほど
手術の費用は症状により異なり、状態によっては別途薬代や検査代などがかかることもあります。

粉瘤治療は何科?

粉瘤は主に、皮膚科形成外科美容外科で診察・治療が行われています。
総合病院などではない病院でも手術を行っているところがほとんどなので、まずは気軽に病院を受診しましょう。

粉瘤が顔など目立つところにできた場合は、粉瘤治療に力を入れている形成外科や、美容外科を受診すると、傷跡を残さないための工夫をしてくれます。
再発する可能性が高い病変であるため、自分が納得できるまで手術の説明や診察を行ってくれる病院を見つけましょう。

おわりに

ニキビと見間違えやすい粉瘤ですが、放置しておけば炎症や化膿を起こす危険性があります。
傷跡を残さないためにも早めの治療が大切になるので、粉瘤と疑われるものができた場合には早めに病院へ行きましょう。