はじめに

がん心疾患COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease: 慢性閉塞性肺疾患)のリスクに加え、男性にとっては喫煙は、Y染色体を失うリスクも伴うもののようです

スウェーデンで行われた研究により、喫煙者の男性は非喫煙者と比べ、血液細胞中のDNAからY染色体が欠けている割合が4倍も高かったとのこと。
男性喫煙者のほうが女性に比べがん発症率やがんによる死亡率が高い理由を説明するものかもしれないとして、注目を集めています。


 

年齢とともに失われるY染色体、喫煙により加速

ヒトの性染色体は通常XXが女性、XYが男性。
男性にのみ存在するY染色体はX染色体と比べ非常に短く、性の決定や精子の生産にかかわっている以外には、特に大きな遺伝情報の担い手ではないと考えられてきました。

しかし、男性が女性と比べ短命なことや、がん発症率とがんによる死亡率がともに女性より高いことなどを白血球中のY染色体の喪失と関連付ける研究結果もあり、Y染色体が腫瘍抑制にかかわることも示唆されています。

細胞が分裂しDNAがコピーされるたびに、Y染色体は複製エラー(変異)により失われる可能性があり、加齢とともにY染色体を失う率は高くなることがわかっています。

サイエンス誌に掲載されたスウェーデン・ウプサラ大学の分子腫瘍学者Jan Dumanski教授らの研究では、スウェーデンで1974年以降に行われた3つの大規模な調査から、計6014人の男性の最大20年分のデータを分析しました。

その結果、年齢以外で血液細胞中のY染色体の喪失と有意な相関が見られた因子は、喫煙の有無と喫煙量のみだったそうです。

喫煙者は血液細胞中のY染色体の喪失率が非喫煙者と比べ2.4倍から4.3倍高く、また喫煙量に応じて、つまりヘビースモーカーほどY染色体喪失率は上がったとのことです。

なお、禁煙した元喫煙者のY染色体喪失率は、たばこを吸ったことがない非喫煙者と変わらなかったとのことで、禁煙によりY染色体の変異率が下がり、元の状態にまで回復することが示唆されています。

Dumanski教授らは、今後は血液中のどの細胞がY染色体を失うのかを突き止め、Y染色体喪失が発がんリスクや死亡率にどうつながるのかを解明したいとしています。
また、Y染色体喪失から男性の発がんリスクを評価するための診断テストも開発する予定とのことです。
 

おわりに

今回の調査結果は、男性喫煙者のほうが女性喫煙者よりがん発症率やがんによる死亡率が高い理由を説明するものかもしれないとして、注目を集めています。
男性喫煙者にとっては不穏なニュースですが、失われたY染色体は禁煙により取り戻せるとのことなので、禁煙に踏み切る良い機会かもしれません。

(image by freeimages)
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