HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス)に感染しても9割の人は発症しませんが、ごく一部の人が長い潜伏期間を経て感染症を発症します。

その中でも、悪性度の高い感染症がATL(成人T細胞白血病リンパ腫)です。

早急に適切な治療をするためにも早めの診断が大切になります。

この記事では、ATLの症状や診断方法、治療法などについて解説します。

ATLとは?

ATL(成人T細胞白血病リンパ腫)は、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス)によって引き起こされる感染症です。

白血球の一種であるT細胞に感染し白血病を起こします。

ATLの発症率はHTLV-1感染者のうちの約5%ほどで、ほとんどの場合、40歳を越えるまで発症しません。

ATLを発症すると数十年の潜伏期間を経て発症すると末梢血液中に特徴的な花びらの形をした核を持ったATL細胞が出現します。

HTLV-1の関係経路と潜伏期間

感染は主に母乳からの垂直感染と、性行為による水平感染です。

昔は輸血による感染もありましたが、1986年以降は抗体検査が行われるようになり、今は輸血による感染はほとんどありません。

大半は乳幼児期に感染して、潜伏期間は30年~70年といわれています。

感染後40年以上してから発症し、発症者にもっとも多い年代は60~70歳代です。

女性より男性が多く発症します。

ATLの症状

ATL細胞により、以下の症状が引き起こされます。

・全身のリンパ節の腫れ

・肝脾腫大(かんひしゅだい)…肝臓や脾臓の腫れ

・皮膚発疹

・全身の倦怠感

・意識障害

・下痢や便秘、腹痛などの消化器の異常

ひどい倦怠感や便秘などは血液のカルシウム値が上がっていることが原因で、高カルシウム血症という状態です。

また、ATLを発症すると著しく免疫力が低下し、普通の人ならまず感染しないような感染症(日和見感染症)にかかりやすくなります。

ATLの初期症状が出たらすぐに医療機関へ

40歳以上のHTLV-1ウイルスに感染しているキャリアの方で、下記の症状が見られた場合は直ちに血液内科のある医療機関へ受診してください。

・リンパ腫の腫れ(足の付け根や首、脇の下)

・だるさや発熱が続く

・皮膚の発疹

受診の際にはキャリアであることと、上記の症状がいつから、どの程度続いているかを医師に伝えると早急に適切な治療をすることが出来ます。

ATLの検査方法

視診と触診でリンパ節の腫れや皮膚発疹などATLの疑いがある場合、血液中の抗体検査をします。

そのうち、次のようなの症状があれば、ATLと診断されます。

・血液中に花びらのような形になった細胞があり、それがT細胞である場合。

・腫大しているリンパ節や皮膚発疹などの病変部位がT細胞である場合。

ATLの治療方法

ATLは「急性型」「リンパ腫型」「慢性型」「くすぶり型」の4つのタイプに分けられます。

早急な治療が必要な「急性型」と「リンパ腫型」

◼︎急性型

血液中に花の形のALT細胞が急速に増加しています。

感染症や高カルシウム血症が見られるため、抗がん剤による早期治療が必要です。

◼︎リンパ腫型

ATL細胞が主にリンパ節で増殖しています。血液中のATL細胞はあまり増加しません。

急性型と同様に急速に症状が出現るため早急に抗がん剤による治療が必要になります。

経過観察で様子を見ていく「慢性型」と「くすぶり型」

◼︎慢性型

血液中の白血球数増加と多数のATL細胞が出現します。速度はゆっくりです。

一般的には治療は行わず経過観察が主になります

◼︎くすぶり型

白血球値は正常ですが、血液中のALT細胞は確実に存在しています。皮膚に病変ができる場合がありますが多くの場合症状はあまり伴いません。

ほとんどが経過観察で治療はしません。皮膚症状に対しては治療を行うことがあります。

慢性型とくすぶり型は急性に変わる場合があり、それを「急性転化型」と呼びます。急性転化型になったら、早急に治療が必要です。

骨髄移植について

近年、抗がん剤と併用して、骨髄移植が成功を得ています。骨髄移植は自分に合う型やドナー(提供者)を探す必要があったり困難ですが、適合すれば50~70歳でも可能なミニ移植という治療が行われます。

おわりに

HTLV-1キャリアの方でリンパの腫れや皮膚発疹などの症状が出たら迷わずに病院へ行きましょう。早期治療が大切です。

現在、HTLV-1の感染症に対する公的な治療費の助成はありませんが治療費が高額になったら高額医療費制度が受けられます。

支給される額は年齢や所得によっても異なりますので制度を受けようとお考えの方は所属する自治体へ問い合わせてみてください。