蚊を媒介にしたチクングニア熱(チクングニヤ熱)は、昨年日本でも話題になったデング熱によく似たウィルス性の感染症で、アフリカや東南アジアが主な発生地です。最近では、リンジー・ローハンがフランス領ポリネシアのボラボラ島でのバケーション中に感染し、話題となりました。
アメリカ方面では2013年12月にカリブ海・リーワード諸島のセント・マーチン島への上陸が確認されて以降、近隣のカリブ諸島や中南米諸国にも瞬く間に拡散し、旅行者が注意すべき感染症の一つとなっています。

世界的に感染地域が拡大傾向にあるチクングニア熱とはどんな病気なのか、確認しておきましょう!

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チクングニア熱の症状

チクングニアの潜伏期間は1~12日間とされていますが、3~7日間である場合がほとんどです。流行地へ旅行して蚊に刺された人が、帰国後に発症するというケースもあります。

症状は、発熱・頭痛・倦怠感・吐き気・寒気・筋肉痛・関節痛・関節の腫れ・発疹・リンパ節の腫れ・鼻血などとなっています。

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39度以上の熱が出る場合が多く、41度に達する高熱となる場合もありますが、一気に高い熱が出て2日ほどで突然下がるパターンが多いそうです。
通常は長くとも10日以内に熱は下がり、合併症などを起こすことは稀です。

しかし、罹患者の30%程度が後遺症として関節痛を経験し、高齢者では感染をきっかけに関節リウマチを発症することもあるそうです。

新生児(生後1か月以内)の場合は髄膜脳炎になる場合もあるので特に注意が必要です。
また、妊娠後期(出産1週間前)の女性から胎児への感染例が報告されているほか、チクングニア熱発症後の突発性流産も稀に報告されているので、妊娠中の女性も高リスク群となります。
 

チクングニア熱にワクチンはありません!治療法は対症療法となります

チクングニア熱には予防薬やワクチンはありません。
もし感染してしまった場合、治療は熱や頭痛などに対する対症療法になります。

解熱鎮痛薬の第一選択は大人も子どももアセトアミノフェンとなります。
日本では処方薬のカロナールやOTCのタイレノール、ノーシンなどです。
渡航先で購入する場合は「Tylenol」「Panadol」などのブランドや、「Paracetamol」(ヨーロッパ・アフリカなど)「Acetaminophen」(北米)の一般名のジェネリック品がほとんど世界中でOTCで入手できます。

(by Mateus Hidalgo via wikimedia commons)
 

なお、アスピリン(アセチルサリチル酸)などサリチル酸系の解熱鎮痛薬は、出血傾向(鼻血・歯ぐきの出血)やアシドーシス(酸血症)といった症状につながるおそれがあるので推奨されません。

チクングニア熱が疑われる場合は水分をしっかりとり、安静にし、熱や痛みにはアセトアミノフェンで対応し、感染拡大を避けるため蚊に刺されないようにしましょう。
特に発症から5~6日間はウィルスの血中濃度が高く、この期間に蚊に血を吸われると、蚊を通じてウィルスをばらまいてしまうことにつながるため、発症してしまった後も蚊に刺されないようにすることは重要です。

予防法は蚊に刺されないこと!しっかり対策しましょう

チクングニア熱の予防法は、蚊に刺されないことです。
チクングニア熱を媒介するネッタイシマカ(通称ヤブカ)やヒトスジシマカは昼行性で、どちらも脚に縞模様があるのが特徴。日中屋外で蚊に刺されることによって感染する場合が多くなっています。
(image by CDC)
 

夜はエアコンのある部屋で窓を閉めて寝るか、エアコンがない場合は網戸を閉め、ピレスロイド(蚊取り線香などに含まれる除虫菊の殺虫成分)を練りこんだ蚊帳(かや:虫よけネット)を使用しましょう。

日中外出の際は長袖・長ズボン・帽子(見落としがちですが頭皮を刺されるケースは意外と多いです)・靴下の着用により皮膚をできるだけカバーし、露出している部分には虫よけ剤を使用しましょう。

虫よけ剤はDEET(ディート、別名NNDB)、Picaridin(ピカリジン、別名icaridin、KBR3023、日本未発売)、IR3535(エチルブチルアセチルアミノプロピオン酸)、PMD(ユーカリ油由来のp-menthane-3,8-diol)が有効とされています。

(image by CDC)

一般に、有効成分の濃度が高いものの方が、虫よけ効果の持続時間が長くなります。効果を保つためには使用説明書にしたがって塗りなおすことが重要です。
日本で販売されている製品はDEETの配合量の上限が12%(「ムシペール」など)となっているので、上記の有効成分を配合した虫よけ剤を渡航先で探して購入してもよいでしょう。

また、日焼け止めを同時に使用する場合には、日焼け止めの上から虫よけ剤の順番で塗ります。

お子さんに塗る場合は、直接スプレーせずに一旦手のひらにとり、目や口、手(子どもは手で口を触りがちです)を避けて塗ってあげましょう。

(image by freeimages)
 

季節としては雨季のあとにチクングニア熱を媒介する蚊が大量発生するパターンが多いですが、主な流行地となっている熱帯・亜熱帯地域では一年中蚊の対策が必要になってきます。
特に日本を冬に出発する場合は油断しがちですが、しっかり対策して楽しい旅行にしましょう!