アデノウイルスはどんなウイルス?

アデノウイルスにはさまざまな型がある

アデノウイルスは、のどをはじめとした呼吸器やリンパ腺、眼、胃腸などに感染し、のどやリンパ腺の痛み、発熱、角結膜炎、下痢などさまざまな症状を引き起こすウイルスです。

アデノウイルスにはいくつもの型があり、現在50種類以上が確認されていています。この50種類以上の型が、さまざまな症状を引き起こすのです。アデノウイルスが引き起こす感染症として代表的なものが、高熱を発症する「プール熱」や結膜炎を発症する「はやり目」という眼病です。

下痢をもたらす腸管アデノウイルス

プール熱やはやり目といった症状に並び、子どもによく見られる症状が、急性胃腸炎による下痢です。下痢便の中には既存のアデノウイルスとは異なるウイルスがあることも報告されており、急性胃腸炎を引き起こすアデノウイルスは「腸管アデノウイルス」と呼ばれています。

子どもの急性胃腸炎をもたらす原因のほとんどがウイルスによるものであり、その中でも大半は腸管アデノウイルスによるものです。また、腸管アデノウイルスは一年を通して感染がみられますが、夏場になると感染者数がやや増える傾向があります。

腸管アデノウイルスによる主な症状

腸管アデノウイルスによる感染症は、以下のような症状がみられます。

・水下痢と腹痛
・発熱
・軽い嘔吐

この中でも水下痢と腹痛が主な症状です。水下痢や腹痛の症状は1週間~2週間程度続くことがあります。

発熱や嘔吐は、それほど重い症状にはなりません。

腸管アデノウイルスの潜伏期間と感染経路

アデノウイルスの潜伏期間は、通常5~7日とされています。

ただし、感染する部位により潜伏期間が異なる傾向があり、腸管アデノウイルスの場合、潜伏期間は 3~10日とさらに長い傾向があります。

アデノウイルスによる下痢の感染経路は、「糞口感染」が多く、便中に排出されるウイルスが、手指を通して口の中に入って感染します。特に使用済みおむつや便器などを通して感染します。

また、タオルやドアノブ、玩具などについたウイルスを触ることによる「接触感染」や、感染者の咳やくしゃみによる「飛沫感染」もあります。

アデノウイルスは潜伏期間中からウイルスを排出し、症状が治った後も、のどからは7~14日間、便からは30日間程は、ウイルスを排出し続けることがあるため、二次感染には注意が必要です。

腸管アデノウイルスによる下痢は自然治癒で回復を待つ

残念ながら、現在アデノウイルスに対する特効薬はありません。というのも、アデノウイルスには50以上に及ぶ種類があるため、それぞれのアデノウイルスに対するワクチンを開発することが困難なためです。

治療には抗菌薬や抗ウイルス薬は使用せず、基本的には体内のウイルスが全部排出されるのを待ちます。ただ、脱水症状を防ぐために経口補水液などで水分を摂取する必要があります。脱水症状が出た場合は点滴が必要になるため注意してください。

また、細菌の混合感染を防ぐために抗生剤を使用することがありますが、小さい子どもに抗生剤を使うことはなく、基本的には安静にして自然治癒を待ちます。

下痢をした場合のケアのポイント

腸管アデノウイルスによる下痢のケアは以下に気をつけましょう。

・脱水症に注意し、こまめに水分を与える
・嘔吐が続く時は無理に水分を与えず、落ち着いてから水分を与える
・食欲があれば、うどんやおかゆなど消化のいいものを与える
・下痢の時はおむつをすぐ取り換える
・下痢の後はシャワーや座浴でお尻を洗い流してしっかり乾燥させる
・おむつはビニール袋に入れてしっかり口を閉じて処理する
・おむつ交換の後は石鹸でしっかり手を洗い、うがいもする

感染者の下痢便からは大量のウイルスが排出されているため、ケアをする場合はおむつや便の扱いに十分注意しましょう。

もし下痢がひどくなった場合は、自己判断で下痢止めは使用せず、必ず医師に相談しましょう。

おわりに

腸管アデノウイルスは強い感染力を持つため、排泄物の扱いやこまめな手洗いをして二次感染が広がらないようにしましょう。

特効薬はないため自然治癒になりますが、その間は脱水症状が起きないよう十分注意してケアをしていきましょう。