妊婦がおたふく風邪にかかったときの影響は?

おたふく風邪は大人になってからかかると、子供のときに比べて重症化することもあり、特に妊婦には重大な影響を及ぼすことがあります。

おたふく風邪の正式名称は流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)といい、ムンプスウイルスの感染によっておこる感染症です。

耳の下(耳下腺)の腫れ・痛み・発熱などの症状があり、ほとんどが1~2週間でおさまります。

おたふく風邪は3~6歳の子供に多い感染症ですが、子供のときに感染したことがない人は大人になってからおたふく風邪にかかることも少なくありません。

おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスは、一度感染すると体内に抗体を獲得することができるため、終生免疫がつきます。終生とは、終生免疫とは、一度感染したことがあるウイルスに二度とかからなくなるという強い免疫のことをさします。

流産の危険性あり

妊娠中におたふく風邪にかかった場合、流産の原因になることがあります。特に妊娠3か月までの妊娠初期では、流産の危険性が高まります。

胎児への影響は?

妊娠中におたふく風邪にかかっても、胎児の先天性奇形との関連ほとんどありません。

母体に影響は無い

妊娠中におたふく風邪にかかったことによって、母体に後遺症が残ることや、不妊の原因になることはほとんどありません。

おたふく風邪では、症状が悪化すると次のような合併症を併発するおそれがあります。

・膵臓炎(すいぞうえん)
・睾丸炎(こうがんえん)
・卵巣炎
・乳腺炎
・無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)
・脳炎
・心筋炎
・難聴 など

合併症の中には、卵巣炎など婦人科の病気も含まれています。ただし頻度はまれで、おたふく風邪以外の原因で発症する割合とほとんど変わりません。

ただし、男性がおたふく風邪を発症した場合、睾丸炎(精巣炎)の合併に注意が必要です。通常は1週間程度で自然に症状がおさまりますが、症状が長期化したり、片側だけではなく両側の睾丸で腫れや炎症が起こると、睾丸の中の精子をつくる細胞が死んでしまい不妊の原因となります。

妊娠中に予防接種は受けられない

妊娠中はおたふく風邪の予防接種を受けられません。

おたふく風邪の予防接種では、生ワクチンに分類されるムンプスワクチンが使われます。

生ワクチンは接種後の副反応として発熱などのおそれがあるため、妊娠中の生ワクチンの接種は原則禁止されています。

現状ではおたふく風邪に対する治療薬はありません。そのため、おたふく風邪にかからないように予防接種を受けることが最も効果的な予防方法です。

これから妊娠の予定や可能性がある人は、早めに予防接種を受けておく必要があります。

妊娠中のおたふく風邪対策

おたふく風邪に効く治療薬はないため、おたふく風邪にかからないように対策をとっておくことが重要です。

妊娠中であってもおたふく風邪の治療薬がないことに変わりはないため、発熱や腫れなどの症状に対する治療をすることしかできません。発熱などに対しては鎮痛解熱剤が処方され、重症の場合には点滴や入院が必要になることもあります。

おたふく風邪の対策でもっとも効果的な方法は予防接種ですが、妊娠中は予防接種を受けることができません。

うがい・手洗い・マスク・人ごみを避ける・他の人からの感染に注意するなど、基本的な予防がおたふく風邪の唯一の対策です。

咳やくしゃみでもうつる

おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスは唾液中に含まれるため、咳やくしゃみでもうつります。

おたふく風邪の感染経路は、咳やくしゃみを吸い込む「飛沫感染」と飛沫で汚染されたものに触れる「接触感染」です。

自覚症状がないまま感染する、不顕性感染の場合でも唾液中にウイルスが含まれています。

おたふく風邪にかからないために、マスクの着用や身の回りの消毒を心がけましょう。

家族に予防接種を受けてもらう

妊婦がいる家庭では、妊婦以外の人が予防接種を受けることも重要な対策となります。

おたふく風邪は家庭や集団施設では、特に流行しやすくなります。

妊婦ではない人が学校や会社で感染し、妊婦にうつしてしまうことも十分に考えられます。

これから妊娠の予定がある人は?

これから妊娠の予定や可能性がある人は、早めにおたふく風邪への対策をとりましょう。

妊娠してからできるおたふく風邪への対策方法は限られています。早めの対策をとることで、妊娠中の感染に対する不安を解消しましょう。

予防接種から2か月間は避妊する

おたふく風邪の予防接種を受けてから2か月間は避妊をする必要があります。

おたふく風邪の予防接種であるムンプスワクチンは、生ワクチンに分類されます。生ワクチンの接種後は体の中に弱められたムンプスウイルス増えるため、胎児に感染するおそれがあります。

胎児へ感染するリスクを避けるためにも、おたふく風邪の予防接種を受けてから2か月間は避妊を徹底しましょう。

抗体検査を受ける

おたふく風邪の抗体検査を受けることで、体の中におたふく風邪の免疫があるかどうか調べることができます。抗体検査は、病院で血液検査を受けることで調べられます。

妊娠する前には抗体検査を受けて免疫の有無を調べ、免疫がない場合は予防接種を受けましょう。

予防接種を受けた場合は、終生免疫と同じ効力ではありませんがおたふく風邪にかかりにくくなり、かかったとしてもほとんどの場合は軽い症状で済みます。

さいごに

妊娠中のおたふく風邪はさまざまな危険性があります。

妊娠中におたふく風邪にかかってしまったら、まずは近くの病院やかかりつけ医に相談しましょう。

これから妊娠の予定がある人やまだおたふく風邪にかかったことがない人は、早めに予防接種を受け、十分な対策をとることが重要です。