おたふく風邪とは

おたふく風邪はムンプスウイルスというウイルスによって引き起こされる感染症です。正式には流行性耳下線炎(りゅうこうせいじかせんえん)といいます。

おたふく風邪の症状は、突然の発熱に加え、片側あるいは両側の耳の下(耳下腺)の腫れと痛みが起こることが特徴です。腫れは顎の下や舌の下に広がることもあります。

症状は基本的には1〜2週間で落ち着きますが、無菌性髄膜炎や脳炎、難聴などの合併症を引き起こすこともあるため注意が必要です。

おたふく風邪の発症年齢

国立感染症研究所によると、おたふく風邪の感染が多くみられる年齢は、4歳以下の子供で45 ~47%と半数近くにのぼり、3〜6歳の間で見ると感染者全体の60%を占めています。

しかし、おたふく風邪は子供だけがかかるわけではなく、抗体を持たない人は誰でも感染しうる病気です。

大人が感染すると子供よりも重症化しやすい傾向があるほか、男性の約20~30%に睾丸炎、女性の約7%に卵巣炎の併発が見られるなど、子供とは別の合併症にも注意が必要となります。

感染しても発症しない場合がある

おたふく風邪は、感染しても症状の出ない「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」となる割合も高く、不顕性感染は感染者全体の30〜35%にのぼります。

不顕性感染は幼児に多く、年齢が上がると不顕性感染の割合は下がります。

不顕性感染の場合でもウイルスは排泄されており、気づかないうちに感染源となっていることがあります。

おたふく風邪の予防接種の回数と時期は?

2017年12月現在現在、おたふく風邪に対する有効な治療法はなく、感染した場合は解熱鎮痛剤などで症状を抑えながら治癒を待つしかありません。

おたふく風邪は感染力が非常に強く、特に集団施設などでは流行しやすい病気です。

集団施設での流行を防ぐには、集団の中で抗体を持つ人の割合が85〜90%である必要があります。

おたふく風邪の流行を防ぐためにもっとも有効なのは、予防接種を受けておくことです。

おたふく風邪の予防接種は1歳から

おたふく風邪の予防接種は1歳以上で受けることができるため、1回目は1歳を過ぎた時点で早期に受けることがおすすめです。

2回目の接種は、MR(麻しん・風疹の予防接種)と同時期である5歳以上7歳未満、小学校入学前の1年間に受けることが推奨されています。

おたふく風邪の予防接種は2回受ける

おたふく風邪の予防接種は、1回のみだと抗体が十分に定着しないため、ワクチンの効果を確実にするために2回受けることが推奨されています。

2回おたふく風邪の予防接種を受けることによって、90%前後の人がおたふく風邪に対して有効なレベルの抗体を獲得しています。

大人も予防接種を受けられる?

おたふく風邪の予防接種は、大人でも受けることができます。

大人になってからおたふく風邪に感染すると重症化しやすいため、予防接種を受けたことがない人は今からでも受けておくことをおすすめします。

過去に不顕性感染など自覚のない状態でおたふく風邪に感染し、すでに抗体を持っている可能性のある人もいるかもしれませんが、おたふく風邪に感染したことがあるかどうかは抗体検査をしないとわかりません。

抗体検査とは、ウイルスなどの抗体が体内にあるかどうか調べるものです。

おたふく風邪の予防接種は、仮に抗体のある体に接種したとしても問題はないため、おたふく風邪に感染したことがあるかどうかにかかわらず、抗体がないと仮定して予防接種を受けることができます。

なお、大人のおたふく風邪についての詳しい解説はこちらをごらんください。

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おたふく風邪の予防接種の料金は?

おたふく風邪の予防接種の料金は、一回あたりおおむね4,000〜7,000円が目安です。

予防接種の助成金を出している自治体では4,000円以下で接種を受けられる地域もあるため、確認してみましょう。

おたふく風邪のワクチンは「任意接種」

予防接種には、「定期接種」と「任意接種」の2種類があります。

定期接種…行政が接種を推奨し、市区町村が費用を負担するもの

任意接種…健康状態などから判断し、任意で受けるもの。費用は自己負担(市区町村によって公費負担を行っている場合もある)。

おたふく風邪は任意接種のため費用は基本的に自己負担ですが、流行防止のために公費負担を行っている自治体も少なくありません。

おたふく風邪の予防接種による副反応と注意点

おたふく風邪ワクチンによる副反応の多くは、接種後2〜3週間の間に出る軽い耳下腺の腫れ・しこり・微熱などです。

しかしほとんどが一過性のものであるため、数日で自然に治癒します。

副反応とは、予防接種を行ったあとに一時的に現れる腫れや発熱、しこりができるなどの好ましくない反応のことをいいます。

また、おたふく風邪に自然感染した場合と同様に予防接種の副反応による無菌性髄膜炎や難聴、脳炎なども報告されています。

しかし、予防接種による副反応の発症頻度は、おたふく風邪に自然感染した場合と比べて極めて低いため、基本的には予防接種を受けることが推奨されています。

現在すでに感染しているおそれがある場合

おたふく風邪の感染者と接触したあとなど、すでに自分も感染しているおそれがある段階で、発症を防ごうと緊急にワクチン接種を行ってもあまり有効ではありません。

腫れなどの症状の軽快は認められますが、発症自体を防ぐことは困難です。

現状ではおたふく風邪発症後に有効な薬が開発されていないため、感染のリスクが高まる集団生活に入る前に接種を受けておくことがもっとも有効です。

幼稚園・保育園・学校の出席について

子供がおたふく風邪に感染した場合、保育園や幼稚園、学校の出席に関する制限はあるのでしょうか。

発症後5日は出席停止

おたふく風邪は、学校保健安全法でも第二種の感染症に指定されており、感染した場合は出席停止期間が定められています。

具体的には「耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」が出席停止期間の基準となっています。

ただし、医師によって感染の恐れがないと判断された場合には基準の期間内であっても登園・登校できることがあります。

おたふく風邪はいつ治ったのかを自分で判断するのは難しいので、かかりつけの医師に相談しながら登園・登校のタイミングを見極めましょう。

おわりに

おたふく風邪は、そのもの自体の症状が軽くても合併症に注意が必要な感染症です。

今のところ有効な治療方法はありませんが、予防接種により高確率で感染を防ぐことができます。

任意接種ではありますが、体調や体質を考慮し、医師との相談をしながら前向きに検討してみましょう。