男性の貧血は病気のサインであることも

生理のある女性は鉄分を失いやすいため、貧血になりやすい傾向があります。

女性の貧血の多くは、鉄分が足りなくなる鉄欠乏性貧血であり、足りない鉄分を補給することで改善をはかることが可能です。

いっぽう男性には生理がないため毎月の出血もなく、男性ホルモンには赤血球をつくる働きがあるため、本来男性は貧血になりにくいとされています。

そのため、男性の貧血では病気による消化管からの出血が疑われます。

男性の貧血の基準値は?

成人男性の貧血の基準は、ヘモグロビンの濃度が13g/dl以下とされています。

健康診断の血液検査などでヘモグロビンの値が基準値以下であると指摘された場合は、医療機関で精密検査を受けることをおすすめします。

貧血ではどんな症状が現れる?

貧血の症状は重症度や進行の速さによってさまざまで、進行が遅い場合は自覚症状が現れないこともあります。

軽症のときに現れる主な症状としては、疲労感・脱力感・顔面蒼白などがあげられます。

症状が重くなると、眠気・立ちくらみ・息切れ・動悸・失神・めまい・発汗・喉の渇き・頭重感・集中力の低下・脈や呼吸が速くなるなどの症状が現れることがあります。

そのほか、肌がかさかさする・口の端や舌が荒れる・氷を食べたくなるといった症状が現れることもあります。

貧血が疑われる場合は検査を

健康診断で貧血を指摘された場合や貧血の症状が出ている場合は、すぐに病院で検査を受けましょう。

貧血の症状に加えて黒色の便・赤褐色の便・鮮やかな赤色の便が出ている場合は、消化管出血の疑いがあります。

貧血の症状があらわれた場合、便の状態やその他の症状がないかを確認しましょう。

特に飲酒や喫煙が習慣になっていたり、生活習慣が乱れていたりする人は、年齢にかかわらず消化器系の病気にかかるおそれがあります。

検査により貧血の原因を特定する

病院に行くと、まずは鉄欠乏性貧血と区別するための血液検査が行われ、ヘモグロビン量・赤血球数・白血球数・血小板数などが調べられます。

検査結果によって、便潜血検査などの考えられる病気の精密検査が行われます。

男性の貧血から考えられる主な病気

貧血の原因として考えられる主な病気には、次のようなものがあります。

痔の出血は少量に感じられるため、なかなか貧血と結びつきにくいものですが、長期間の出血が続くことで貧血になるおそれがあります。

胃・十二指腸潰瘍

胃・十二指腸潰瘍とは、胃液によって胃・十二指腸の組織が剥がれ落ちてえぐれてしまった状態をいいます。女性よりも男性に多く見られる病気です。

主な症状は、みぞおちの痛み・黒色のタール便・胸やけ・吐血・下血・胃もたれ・吐き気・嘔吐・食欲不振などがあります。みぞおちの痛みは空腹時に出やすいという特徴があります。

また、胃・十二指腸潰瘍が重度であったり長期化したりすると出血の総量が多くなることによって貧血を引き起こすことがあります。

胃がん

胃がんは、胃の壁の粘膜内の細胞が何らかの要因でがん細胞になって異常に増殖する病気です。

主な症状は、胃痛・胃の不快感・胸やけ・吐き気・黒色のタール便・体重減少・貧血などがあります。

しかし、胃がんは自覚症状が出ないことが多く、進行しても無症状なことがあります。また、胃・十二指腸潰瘍と症状が似ていて区別が難しいため、定期的に医療機関を受診して検査を受けることがおすすめです。

大腸がん

大腸がんは、盲腸・結腸・直腸・肛門といった大腸の細胞ががん化する病気です。

正常な粘膜ががん化する場合と良性のポリープの一部ががん化する場合があります。

主な症状は、血便・下血・下痢と便秘の繰り返し・貧血・腹痛・便が残る・便が細い・お腹が張る・体重減少などがあります。

早期の段階では自覚症状がないため、大腸がんを早期に発見するためには定期的な検査をすることが大切です。

肝硬変

肝硬変は肝臓病の一つで、アルコールやB型・C型肝炎ウイルスの感染によって肝臓に生じた傷が修復されるとき、修復する過程で発生する線維というたんぱく質が増加して肝臓全体に拡がった状態をいいます。

主な症状は、貧血・倦怠感・食欲不振・体重減少・筋肉の衰え・頬の唾液腺の腫れ・皮膚にくものような形の血管の発生・手のひらが赤くなる・乳房の膨らみ・睾丸萎縮などがあります。

しかし、肝臓は沈黙の臓器といわれているように、肝硬変になっても約3分の1の患者は無症状です。何年間も無症状な場合もあるため、健康診断などで見つかることがほとんどです。

肝がん

肝がんは、肝臓の細胞や胆管などががん細胞化する病気です。

主な症状は、食欲不振・倦怠感・微熱・お腹の張り・貧血・白目や皮膚の黄疸・こむらがえり・皮下出血・むくみなどがあります。

なお、肝硬変同様に初期段階での自覚症状はなく見つけづらい病気なため、他の病気の精密検査などで見つかることがほとんどです。

罹患率は男性の方が女性より2~3倍高いデータがあります。

慢性腎臓病

慢性腎臓病とは、腎臓の働きが健康な人の6割以下に低下する、あるいは腎臓の異常が続く状態をいいます。

慢性腎臓病が悪化すると、赤血球をつくる働きをうながすエリスロポエチンというホルモンの産生量が低下し、栄養低下・鉄欠乏・赤血球の寿命の短縮などが起こり、腎性貧血と呼ばれる貧血をきたすことがあります。

主な症状は、動悸・息切れ・頭重感・疲れやすい・倦怠感・めまいなどがありますが、腎性貧血は緩やかに進行するため、自覚症状が軽いという特徴があります。

おわりに

男性の貧血は出血をともなう別の病気が原因になっていることが多いため、男性に貧血の症状が現れたら早めに病院を受診しましょう。

特に食生活に問題がない場合は、貧血の原因が病気であるおそれがあるため、早期に病院を受診することをおすすめします。