産後は貧血になりやすい

妊娠中、体内では胎児の分の赤血球が作られるため、通常時の約2倍の鉄分が必要になり、結果として鉄欠乏性貧血になりやすい状態になります。

また、妊娠後期になると、1日に必要な鉄分摂取量でいうと妊娠初期の約2.5倍、正常時の約3.5倍の鉄分を摂取することが推奨されるほど血液の必要生産量が増加します。

妊娠が後期になるにつれて貧血になりやすくなることに加えて、さらに分娩時に平均300mlの出血が起こるため、産後は体内に必要な血液量が足りなくなって貧血になることが多いのです。

また、産後4~6週後までは悪露(おろ)と呼ばれる膣からの出血の症状が現れることも、貧血になりやすい一因です。

貧血が母乳の分泌に与える影響は?

貧血になると母乳が出にくくなる傾向があります。

もともと母乳は母体の血液から作られており、血液中の赤血球が不足する貧血の状態になると、母乳を作るのに必要な成分が足りなくなるからです。

なお、貧血になることによって母乳の成分が必ずしも薄くなるとは限りませんが、母体が摂取するビタミンなどの栄養が足りない場合は母乳に影響が出ることがあります。

授乳中の貧血におすすめの食べ物や栄養素

貧血の予防・対策には、食事から栄養素を摂取することが基本です。

鉄や鉄の吸収を高めるたんぱく質とビタミンC、造血作用のある葉酸やビタミンB12といった栄養素が多い食材を意識的に摂取しましょう。

授乳中の方に推奨される1日の栄養素の摂取量は次の通りです。

栄養素 推奨される1日の摂取量
鉄分 8.5~9.0mg
たんぱく質 70g
ビタミンC 145mg
ビタミンB12 3.2μg
葉酸 340μg

鉄を多く含む食品の中でも、体に吸収されやすいヘム鉄は肉類や魚介類に、体に吸収されにくい非ヘム鉄は乳製品や青菜に含まれています。

ただし食事では鉄だけではなく、バランスよくさまざまな栄養素を摂取することが大切です。

ごはん・パン・麺類などの炭水化物を多く含む主食に加え、肉類・魚介類・卵・大豆製品などの良質たんぱく質を含む主菜、野菜類・海藻類などのビタミン・ミネラルを多く含む副菜も合わせてとるようにしましょう。

貧血におすすめの食べ物について、詳しくはは関連記事をごらんください。

授乳中の食事以外の貧血対策

授乳中に鉄剤やサプリメントを使用してもよいの?

鉄を含む薬やサプリメントは乳児への有害な影響は報告されておらず、体内で鉄が不足している場合はこれらを使用することで補うことができます。

いっぽう葉酸やビタミンB12は母乳へ排出されることが報告されており、母親の食事の摂取に問題がなければ、あえて薬などで補充する必要はないとされています。

授乳中に使える市販薬

鉄分が不足して起こる貧血は市販薬で改善が可能です。

貧血を改善できる薬は次のようなものがあります。

ファイチ

貧血改善効果のある医薬品です。鉄分・葉酸・ビタミンB12などの貧血改善に役立つ成分をバランスよく配合し、血中のヘモグロビンや赤血球の生成を助けます。

錠剤タイプの薬で、腸で溶けるようにフィルムコーティングされていて、体内に効率的に吸収されるのが特徴です。1日1回2錠飲むだけなので、手間なく継続できます。

マスチゲン錠

鉄分以外にもビタミンB類や葉酸などを含む造血作用のある医薬品です。

血を作る成分だけではなく、鉄の吸収を高めるビタミンCや赤血球を守るビタミンEも配合され、効率よく鉄分を摂取することが可能です。

1日1錠を2〜3週間使用することで貧血への効果が期待できます。

不足する栄養素を補うサプリメント

食事ではとりきれない栄養素を補う上で、サプリメントを摂取することはおすすめです。

なお、サプリメントは薬と異なり症状に直接効くものではなく、食事で足りない栄養素を補うための栄養補助食品です。過剰摂取したからといって貧血が改善されるわけではありません。

1日の目安量を守り、あくまで食事の補助として取り入れましょう。鉄分不足による貧血が気になる方には、次のようなサプリメントがおすすめです。

ピジョン 母乳パワープラス 錠剤 90粒

鉄、葉酸、カルシウムに、食物繊維と10種のビタミンをバランスよく配合したサプリメントです。

おわりに

産後の授乳期間中の母体は貧血になりやすい状態です。

食事を見直すことや市販薬を使用することで貧血を改善しましょう。

また、市販薬を使用しても改善が見られない場合は、一度病院を受診しましょう。食生活の指導を受けることもできますし、血液検査を受ければ貧血の度合いを知ることができます。

なお、市販薬の選び方や病院に行く目安についての相談は、ミナカラ薬剤師Q&Aでも無料で受付けていますのでご活用ください。