天井や頭がぐるぐる回る、ふわふわ浮く、ふらつくなどの症状を「めまい」といいます。自分が揺れているのに地面の方が揺れていると錯覚して、地震が発生していると勘違いすることや、時には、まっすぐ歩けないこともあります。この病名は日本で一番古く、昔は脳の病気とされていました。

しかし、のちに耳との密接な関係が発見され、やがて目の働きや手足の感覚も関係していることや、首などの神経障害が、脳と複雑に絡み合うことでも発症すると考えられ始めました。

「めまい」を大きく分類すると、「耳から生じるもの」「脳から生じるもの」「老人性」があります。そのなかで一番多いのは耳の異常とされ、三半規管(さんはんきかん)といわれる場所が深く関わっています。


 

めまいとは?

人間が、重力に対しバランスを崩したときに察知する「平衡感覚(へいこうかんかく)」というものがあります。カラダの中で、この感覚を担当するのが「三半規管・耳石器・前庭神経・脳幹・視床・大脳皮質」。これら、どれか一つに障害が起こっても「めまい」が発症します。

◆三半規管(さんはんきかん)

耳から脳までの間の内耳(ないじ)と呼ばれる位置にあり、回転などカラダの動きをキャッチします。この場所に障害が起こると、グルグルとカラダや周囲が回転しているかのような「めまい」を感じます。

耳石器(じせきき)

内耳に存在し、三半規管につながっています。頭の位置を感知したり、加速度や重力をとらえる場所です。この部分に障害が起こると、ふわふわと浮いているような「めまい」を感じます。前庭(ぜんてい)ともいわれています。

◆前庭神経(ぜんていしんけい)

内耳より少し奥で、脳に近い場所にあります。三半規管と耳石器でキャッチしたカラダの信号を、脳幹へ伝える場所です。この部分に障害が起こると、何日間も続く激しい回転性の「めまい」を感じます。

◆脳幹(のうかん)

脳の神経中枢部。生命の根源的な機能をつかさどる場所です。カラダの位置や平衡をコントロールする神経系が集まっているため、この部分に障害が起きると回転性の「めまい」を発症させることが多いようです。

◆視床(ししょう)

脳のほぼ中央に位置しています。嗅覚以外の、すべての感覚がこの場所を中継します。脳幹からやってきた情報がこの場所を通して大脳皮質へと伝わります。この部分に障害が起こると、ふわふわと浮いているような「めまい」を感じます。

◆大脳皮質(だいのうひしつ)

脳の表面にあるシワシワの部分です。脳幹からやってきた情報は視床を通してこの場所に伝えらえます。この部分に障害が起こると、ふわふわと浮いたような「めまい」が起こります。

 

三半規管とめまいの関係と原因

平衡感覚(へいこうかんかく)をつかさどる「三半規管・耳石器・前庭神経・脳幹・視床・大脳皮質」に障害があると「めまい」が起こるのは、誤った情報が脳に伝えらえるためと考えらえています

例えば、内耳に位置する「三半規管」は、カラダの動きとともに内部にあるリンパの流れを変えながら、半円形の管でカラダの動きをとらえています。同じく内耳に位置する「耳石器(前庭)」も、頭の位置などを感知し、カラダの動きを調節しています。しかし、病気などにより内耳の調子が悪くなった場合には、実際のカラダの動きとは異なる情報が脳に伝えらえてしまいます。

そのため、視覚や筋肉、関節などの感覚が「動きの情報」と一致せずバランスを崩すのです。それが「めまい」です。

 

めまいの原因となる耳の病気とは

◆良性発作性頭位めまい症

耳の異常で起こる病気のなかでは一番発症率が多い病気です。前庭の中なかにある耳石(炭酸カルシウム結晶からなるもの)が剥がれ、三半規管に入り込んでしまうことで「めまい」を発症させます。頭を動かしたり、朝起きるときなどに、グルグルと周囲や自分が回っているような回転性のめまいが起こりますが、症状はすぐにおさまります。

 

◆メニエール病

発作的に激しい回転性のめまいや、難聴、耳鳴り、耳閉感など4つの症状が同時に30分から数時間ほど起こる、40代前半に発症しやすい病気です。メニエール病の原因は不明とされていますが、病気そのものは内耳の水ぶくれ(内リンパ水腫)です。なお、めまいの種類は回転性だけではなく、ふわふわと雲の上を歩いているような浮動性も起こる場合があるとのこと。顔面が蒼白になり、めまいや吐き気、嘔吐、冷や汗などをともなう場合も少なくありません。几帳面で神経質な人がかかりやすいといわれ、肉体的な疲労から、精神的ストレス、睡眠不足、気圧の変化などで発症するようです。

 

◆前庭神経症

三半規管と耳石器でキャッチしたカラダの信号を、脳幹へ伝える場所である前庭神経が炎症を起こすと、脳に正確な情報が伝わらないために「めまい」を発症します。風邪を引いた後の発症が多く、突然、吐き気や嘔吐をともなう激しい回転性の「めまい」を起こし2〜3日ほど続きます。

 

◆突発性難聴

聴神経(聴覚を脳に伝える感覚神経)が炎症を起こすことで、とつぜん耳が聞こえにくくなり、軽い回転性のめまいを起こします。耳鳴りをともなうことも。

 

◆聴神経腫瘍

聴神経(聴覚を脳に伝える感覚神経)に良性の腫瘍ができて、軽いめまいを発症します。しかし、腫瘍が大きくなると顔面神経痛などを引き起こすことがあります。腫瘍は手術により取り除きます。

 

◆外リンパ瘻(ろう)

気圧の変化などで脳を保護する髄液(ずいえき)が内耳の内側にある内リンパ腔に漏れ出し、回転性のめまいを起こします。耳がつまったような感じがあり、耳鳴りや難聴などをともなうことがあります。

 

◆中耳炎

中耳の炎症が、内耳に及ぶことで、比較的軽い、ふわふわと浮くような浮動性めまいを起こします。

 

さいごに〜めまいの対処法・予防法

突然めまいが襲ってきたら、まずは楽な姿勢で安静にしましょう。軽いようであれば症状がおさまり次第、耳鼻咽喉科、もしくは神経内科か脳神経外科を受診してください。しかし、もしも激しい頭痛や嘔吐、手足の麻痺や、痺れなどをともなう場合は、脳などの重大な病気による可能性があるので早急な治療が必要です。その場合は、脳神経外科か神経内科、整形外科などを受診してください。

なお、ストレスや睡眠不足が「めまい」を発症させる要因となります。リラックスして、しっかり休息をとり、無理をしない。これが「めまい」を引き寄せない法則です。