夏のような暑い時期でなく寒い冬だというのにも関わらず、気が付くと汗まみれになる方もいるのではないでしょうか。
汗をかくことは体の正常な代謝から起こるものではありますが、汗をかきすぎて服がびっしょりと濡れてしまったりにおいが強く出たりすると生活に支障が出ることもあります。
あまりに異常な汗の出方がする場合は、病気が原因となっているおそれも考えられます。
この記事では、汗をかく原因と考えられる病気、そして汗かきを治す方法について詳しく解説します。
汗かきの原因は?
汗は皮膚にあるエクリン腺と呼ばれる汗腺で作られます。通常、汗が出るきっかけとしては、体温調節・緊張などの精神的な要因・辛いものを食べるなどの味覚の刺激などがあげられます。また、代謝が良い人は汗をたくさんかく傾向があります。
しかし、特にきっかけがないのに必要以上に汗をたくさんかいてしまう場合、原因としては次のようなものが考えられます。
妊娠による基礎代謝の向上
妊娠中は基礎代謝が妊娠前と比べて約20%向上するため、体の熱も多く発生します。暖かい日だけでなく、寒い日であっても暑く感じて汗をかくことがあります。
特に、夜間に汗をかきやすくなる傾向があるため、寝汗をかくことが多くなります。
薬の副作用
薬の副作用によって発汗の症状が現れることがあります。
特に、うつ病などの治療のために使用する向精神薬の副作用として汗が出ることが多く報告されています。また、アスピリン(アセチルサリチル酸)などの解熱鎮痛剤で寝汗やのぼせ、ほてりの症状が現れることがあります。
異常な汗から薬の副作用が疑われる場合は、主治医または薬剤師に相談しましょう。
自律神経の乱れ
汗を分泌する汗腺は自律神経によってコントロールされています。ストレスやホルモンバランスの崩れなどによって自律神経が乱れると、汗をかく原因になります。
また、自律神経が乱れると、倦怠感・息切れ・動悸・めまい・食欲不振・胃痛・不眠といったさまざまな症状が現れることもあります。うつ病やパニック障害といった病気が自律神経失調を起こし、発汗や寝汗の原因になることもあります。
異常な汗かきの症状から考えられる病気
異常な汗は病気のサインとして現れることもあるため、突然大量に、または頻繁に汗をかくようになった場合などは注意しましょう。
病気による発汗の場合は、自分で治すことが難しい場合が多いため、病気の症状に当てはまると感じた場合は近くの病院を受診してください。
異常な汗の原因となるおそれのある病気は次のようなものがあります。
バセドウ病
バセドウ病は、交感神経を刺激したり細胞の新陳代謝を高めたりする役割を担う甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気です。女性に多く見受けられる病気で、発症者の内男性1人に対して女性は5~6人程度です。
バセドウ病の主な症状は、頻脈・眼球突出・甲状腺の腫れの3つがあげられます。そのほかの症状としては、倦怠感・手足の震え・動悸・寝汗・多量の発汗・夜中に目が覚める・イライラ・発熱・体重減少・体重増加などがあります。
どのような症状が起こるかについては、年齢・性別によって大きく異なるため、一概にはいえません。
更年期障害
更年期障害とは、閉経を挟んだ前後約10年間(45~55歳前後)を指す更年期に、さまざまな体の不調が起こる女性特有の病気です。主な原因は、エストロゲンというホルモンの低下と、年齢にともなう体の変化に対する精神・心理的な要因があげられます。
更年期障害の主な症状としては、発汗・寝汗・肩こり・動悸・頭痛・めまい・冷え症・不眠などに加えて、抑うつ・イライラ・情緒不安定といった精神症状も現れます。多様な症状が現れますが、症状の原因が他の病気でないことが更年期障害と判断できる条件となります。
多汗症
多汗症とは、手のひら・脇・足の裏などに多量の汗をかく病気です。全身に多量の汗をかく全身性多汗症と体の一部に汗をかく局所多汗症があります。
多汗症には特に原因のないものと、感染症や精神疾患によって起こるものがあります。
通常、大勢の前でのスピーチ・大事な試験を控えているなどの緊張する場面で汗をかきますが、多汗症の場合はかく汗の量が異常に多いことが特徴です。
なお、寝汗で悩んでいる場合は、寝汗の原因と考えられる病気について詳しく解説している関連記事をごらんください。
汗かき・多汗症を治す方法|漢方薬を使う
汗かき・多汗症を治す方法としては、漢方薬を使用することがあげられます。基本的には汗かき・多汗症を自分で治す方法はなく、自分でできる方法としては唯一漢方薬を使用することで発汗の症状を緩和することがあげられます。
漢方薬を選ぶときのポイントと、汗かき・多汗症の改善が期待できる薬剤師おすすめの漢方薬を紹介します。
漢方薬を選ぶときのポイント
漢方薬の性質上、同じ漢方薬を使用しても、体質や性別などによって作用が変わることがあります。
また、漢方薬は症状ごとに選ぶだけではなく、自分の体の状態に合わせて選びます。たとえば、同じ汗かき・多汗症という症状であっても、病気が原因なのか自律神経の乱れが原因なのかによって、選ぶ漢方薬も異なります。
漢方薬を選ぶときは、一つの症状だけで考えずに、今の自分の体の状態に合わせて選びましょう。
汗かき・多汗症を改善するおすすめの漢方薬
発汗の原因となる更年期障害を改善する漢方薬
おすすめの汗かき対策グッズ
汗の排出をおさえる効果の期待できる、汗かき対策グッズを紹介します。
汗かき対策グッズとしては次のようなものがあります。
汗かき改善が期待できる医薬品
【日邦薬品】オドレミン 25ml
皮膚に塗ると発汗量を減らす作用がある塩化アルミニウムが有効成分として配合された医薬品です。入浴などで体を清潔にしたあとに、脇の下などの汗のかきやすい部分に適量塗って使用します。制汗作用のほか、わきが・汗のにおいの改善に効果が期待できます。
汗かきが気になる人におすすめのグッズ
リフレア デオドラント クリームバー 20g【医薬部外品】
殺菌有効成分が配合されており、汗のにおいの原因菌を殺菌できるほか、発汗をおさえる効果も期待できます。脇に塗るタイプの製品で、スティック型なので手を汚さずに使えるのが特徴です。
エージーデオ24 パウダースプレー 無香料 180g (医薬部外品)
においをおさえる有効成分イソプロピルメチルフェノールが配合されているほか、ミョウバンの働きで制汗の効果も期待できます。無香料のスプレータイプの制汗剤で、さかさにしても使用することが出来ます。
汗かきは何科の病院を受診すべき?
汗が気になって精神的にあるいは生活的に支障が出ているようであれば、多汗症などの病気のおそれがないにしても、一度近くの皮膚科を受診して医師に相談してみましょう。
多汗症であった場合は病院での治療が可能なケースがあるので、まずは皮膚科を受診して医師に相談してみるとよいでしょう。
漢方薬で改善がみられないときも皮膚科へ
汗かき・多汗症の改善におすすめの漢方薬を紹介しましたが、仮に漢方薬で症状が改善できたとしても、病気の根本の原因を解消できたわけではありません。
漢方薬を使用しても改善が見られない、あるいは悪化した場合は、皮膚科を受診して適切な治療をしてもらいましょう。
おわりに
汗をかきやすい夏などの暑い時期や妊娠中は、汗をかきやすいために脱水症状を引き起こすこともあるので、こまめな水分補給を意識しましょう。
なお、漢方薬の選び方やどんなときに病院に行った方がよいのかについての相談は、ミナカラ薬剤師Q&Aでも無料で受付けていますのでご活用ください。