はじめに ~新しいウイルス「SFTS」~

「SFTS=重症熱性血小板減少症候群(じゅうしょうねっせいけっしょうばんげんしょうしょうこうぐん)」は、家ダニではなく、野生のマダニが媒介する新しい「ダニ媒介性疾患」です。

通常ダニに関係する感染症は細菌感染ですが、2011年に中国で初めて、新しいウイルス「SFTSウイルス」によって起こる感染症として特定され、2013年1月、日本国内でも、海外渡航歴のない方がSFTSに罹患していたことが初めて報告されました。

主に
ウイルスを保有している「フタトゲチマダニ」等の、マダニに咬まれることにより感染します。

国立感染症研究所によると、2015年4月現在、110人の患者が報告されており、うち死亡例は32名。
多くは西日本(九州・四国・中国・近畿地方)で報告されていましたが、SFTSウイルスを保有しているダニは関東~北海道でも確認されており、日本全国に広く分布していると見られています。

多くは5月~8月に発症するため、特に野山に出向く機会の多い季節には、広く注意が呼びかけられています。

 

潜伏期間は6日~2週間

SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)は「重症、熱、血小板が減少する」という意味で、血液の中の血小板が破壊されてしまう病気です。

すべてのマダニが病原体を保有しているわけではありませんが、ウイルスを保有しているマダニに咬まれてから、「数日~10日程度咬みついたまま」ということがあり、すぐには気づかないことが多く、咬まれてから「6日~2週間の潜伏期間の後に発症」します。
 

SFTS感染症の主な症状は?

発熱(高熱)
食欲低下
嘔気、嘔吐
腹痛、下痢
頭痛
筋肉痛
咳、リンパ節の腫れ
下血、紫斑
けいれん、意識障害、昏睡

など、出血症状をはじめ、あらゆる症状が起こり、死に至る可能性もあります。
 

SFTSの人から人への感染は?

ウイルスを保有しているマダニに咬まれることで感染するため、通常のウイルス感染のように急速に人から人への感染はないとされていますが、患者の血液や体液の接触により人から人への感染の可能性もあるとされています。

すべてのマダニが病原体を保有しているわけではありませんが、主に森林や草地等などに生息しており、市街地周辺でも見られるため、咬まれないよう予防と注意が必要です。


 

マダニに噛まれている可能性がある場合は?

マダニに咬まれているかはっきりせず、野山に行った後に、発熱や頭痛、関節痛など、前述した症状が現れたら、内科でもよいので受診しましょう。
その際「いつ」「どこの山(旅行先など)に行ったか」「刺されたかもしれない心当たり」を医師に申告して下さい。

マダニに咬まれているようであれば、無理に取るとダニの頭部が体内に残ってしまい化膿することがあります。
また殺虫剤で殺すのはやめましょう。マダニは死んでも離れず、頭部が残りやすくなります。
なるべく根っこから取ることが大切なため、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。

有効な抗ウイルス薬など、特別な治療法はなく、ワクチン接種などもありません。治療は対処療法になるため、咬まれないための予防が重要です。
 

咬まれない工夫をしっかりしましょう

森林や野山などに行く際は、以下のことに注意しましょう。

  • できるだけ草むらに入らない
  • 長そで、長ズボンなどできるだけ肌を露出しない
  • ダニが比較的付きにくいナイロン性の衣服がよい
  • 軍手して、袖を中に入れる
  • サンダルは避けて靴下をはき、ズボンの裾は靴下の中に入れる
  • 帽子をかぶり、タオルを首に巻く
  • 虫よけスプレーは袖口や裾、帽子にも塗る
  • 草の上に直接座ったり寝転んだりしない
  • 上着やタオルを草の上に置かない
  • 帰宅後はすぐに入浴してダニの有無を確認する
     

など、予防対策をしっかり心がけることが重要です。

 

おわりに

春から秋にかけて、キャンプや登山、ハイキングなど、山や森林などへ行く機会が多くなる季節です。
また野山以外、市街地にも野生のダニが生息していることがあるため、犬などペットの散歩の後は、日常的にペットにダニが付いていないか確認することも大切です。
マダニに咬まれることで「SFTS:重症熱性血小板減少症候群」という新しい感染症があることを知っておき、感染予防につとめましょう。
 

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