集団予防接種等が原因のB型肝炎持続感染者は40万人以上

B型肝炎とは、HBV(B型肝炎ウイルス)が血液や体液を通して侵入することで生じる肝臓の病気です。
その中でも一過性でなく、ほぼ生涯にわたって感染が持続するものを「持続感染」といいます。    

集団予防接種等での注射器の連続使用が原因で、B型肝炎に持続感染した人は40万人以上といわれています。
そして患者の中には不当な差別や偏見を受けたり、経済的負担を余儀なくされている人が多数いらっしゃいます。

国はその責任を認め、B型肝炎ウイルスに持続感染した方々を救済するため給付金を支給する制度を設けました。
しかし、実際に給付金を受け取った人は約1万5000人程度というのが現状です。
その要因として考えられるのは国を相手に国家賠償請求訴訟を提起し、和解等を行う必要があるといった容易には思えない手続きでしょう。

そこで、この記事ではB型肝炎訴訟の手続きの流れや、給付金を受け取る条件について解説していきます。

 

B型肝炎訴訟について―裁判が必要な理由とは?

そもそも、なぜ国から救済を受けるのに裁判が必要なのでしょうか?
実は現在、国内にはB型肝炎ウイルスに持続感染者は約110~140万人存在するといわれています。
この中から昭和23年から63年の間に集団予防接種等を受け、注射器が連続使用されたことが原因でB型肝炎ウイルスに感染した患者だと判断するために裁判が必要なのです。
 

B型肝炎の給付金が支給される条件と給付金の金額は?

給付金を受け取るには下記の項目のいずれかに該当しなければなりません。

発症から20年経過していない場合

●重度の肝硬変、肝がんにかかっている、または亡くなった・・・3600万円
重度ではない肝硬変にかかっている・・・2500万円
慢性B型肝炎にかかっている・・・1250万円
無症候性キャリア・・・600万円

発症から20年経過している場合

慢性B型肝炎である、あるいは慢性B型肝炎の治療を受けたことがある・・・300万円
(ただし肝硬変、肝がん、死亡は除く)
慢性B型肝炎に感染しているが症状が出ていない・・・50万円
上記の条件以外の者・・・150万円

相続人の場合

すでにお亡くなりになった患者が給付金の請求をしていない場合も、相続人の名前で感染者給付金を受け取ることができます。
ただし同順位の相続人が2人以上いる場合、そのうちの1人が請求し、支払われたら全員に対して支払われたものとみなされます。
 

B型肝炎の給付金支給までの手続きの流れ

それではB型肝炎訴訟を提起して給付金を受け取るまでに、どのような手続きが行われるのでしょうか?

ステップ1:書類の準備

これは一次感染(集団予防接種等が原因の感染)と母子感染で用意するものが異なります。
詳細は下記のリンクからご確認ください。

関連記事:B型肝炎の給付金の請求|訴訟に必要な提出書類とは?・・集団予防接種等の一次感染の場合

ステップ2:訴訟を提起

上記の必要書類と一緒に国に対し給付金を請求する訴状を裁判所に提出します。
訴状には請求する給付金額や病状を記載します。また、給付金額に応じて印紙と切手が必要になります。
印紙代の目安は下記の通りです。

発症から20年経過していない場合

〇重度の肝硬変、肝がんにかかっている、または亡くなった・・・12万8000円
重度ではない肝硬変にかかっている・・・9万5000万円
慢性B型肝炎にかかっている・・・5万9000円
無症候性キャリア・・・3万4000円

発症から20年経過している場合

慢性B型肝炎である、あるいは慢性B型肝炎の治療を受けたことがある・・・2万円
(ただし肝硬変、肝がん、死亡は除く)
慢性B型肝炎に感染しているが症状が出ていない・・・5000円
上記の条件以外の者・・・1万3000円

ステップ3:和解手続き・和解調書の作成

指定された日に裁判所へ行き、和解の手続きを行います。
手続き完了後に「和解調書」が作成されます。

ステップ4:給付金の受け取り

和解調書を社会保険診療報酬支払基金に提出し、給付金を受け取ります。

※社会保険診療報酬支払基金の公式ホームページ
 

補足:給付金の他に受け取ることができる手当金があります


★訴訟手当金として

・訴訟等に係る弁護士費用(上記給付金額の4%に相当する額)
・特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査費用を支給

★特定無症候性持続感染者に対しては

・慢性肝炎等の発症を確認するための定期検査費
・母子感染防止のための医療費
・世帯内感染防止のための医療費
・定期検査手当
 

さいごに

いかがでしたか?
上記の手続きを終えて給付金を受け取るまでにかかる期間は約1年、はやくて半年とされています。

ちなみにこれらの手続きは、弁護士に依頼しなくても行うことは可能です。
しかし、煩雑な手続きに思わず踏みとどまってしまう方は弁護士への依頼を視野に入れても良いかもしれません。
補足に記載した通り、給付金とは別に弁護士費用が支給されます。