高血圧の薬(降圧剤)による治療、その判断基準は?

高血圧が気になって病院へ行った場合、最初に血圧の程度や合併症を調べるための検査を行います。
(検査の詳細については関連記事「高血圧の治療、病院は何科?どんな検査・問診がある?」をご覧ください)

よほどの重症高血圧でない限り、1回の検査で高血圧の薬(降圧剤)を勧められることはありません。
基本は、減塩や有酸素運動といった生活習慣の改善から始めます。

生活習慣の改善を数か月行っても収縮期(最大)血圧が140以上、拡張期(最少)血圧が90以下の場合、降圧剤を飲むことになります。

最初は1種類、低用量から始め、その後は患者の状態に合わせて降圧剤を組み合わせていくケースがほとんどです。

そこでこの記事では、様々な高血圧の薬(降圧剤)の種類や副作用などについて解説します。


 

高血圧の薬(降圧剤)の一覧・・種類、副作用、特徴

高血圧の薬にはそれぞれ全く異なった特徴があるため、患者の状態によって向き不向きがあります。
以下に降圧剤の種類ごとの特徴や副作用をまとめました。ご参考にして頂けると幸いです。

高血圧の薬:カルシウム拮抗薬

 

特徴 心拍数を抑える。
血管を拡張することで血圧を下げる。
脳、心臓など臓器の血流が改善するため
臓器疾患のある患者や高齢者に適している。
副作用 顔面紅潮、むくみ、頭痛
動悸、便秘、歯肉増殖など
注意点 「フラノクマリン」を含む
グレープフルーツ、夏ミカン、ボンタンといった
柑橘類との飲み合わせは行わない。
禁忌  房室ブロック
(心臓の刺激伝達系における心房、心室間の刺激伝導障害)

 

高血圧の薬:ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)

 

特徴 末梢血管を拡張し、心臓や腎臓の負担を軽減。
副作用が少ない
副作用 めまい、動悸など
注意点  血清カリウムの上昇をきたす可能性がある。
禁忌 妊娠、高カリウム血症、両側腎動脈狭窄

 

高血圧の薬:ACE阻害薬

 

特徴 アンジオテンシンⅡの生成を阻害して
血圧を下げる物質の生成を促す。
降圧作用が強力。利尿作用や心臓への負担が軽減。
副作用 痰を絡まない空咳
注意点 腎機能が中程度~高度に低下した患者の場合
腎機能悪化する可能性がある。
禁忌 妊娠、高カリウム血症、両側腎動脈狭窄

   

高血圧の薬:利尿薬

 

特徴 腎臓の水分やナトリウム排泄を促すことで血圧を下げる。
最初に用いられることが多い。
むくみやすい女性に適している。
副作用 痛風、低カリウム血症、高脂血症、日光過敏性皮膚炎
月経異常、腎結石など
注意点 腎臓に障害がある場合は使用しない。
禁忌 痛風

 

 高血圧の薬:β遮断薬

 

特徴  心臓から送られる血液の量を抑え、末梢血管の拡張を促す。
交感神経が高ぶっている人に適している。
副作用 気管支ぜんそくの誘発、慢性閉塞肺疾患の悪化
末梢血管の循環の悪化
注意点 悪夢や脱力感、うつ病を起こす可能性があるので注意する。
禁忌 喘息、房室ブロック、末梢循環障害

 

高血圧の薬:α遮断薬

 

特徴 交感神経のα受容体にだけ働き、血管の緊張を和らげて
血圧を下げる。
臓器への影響が少ない。糖や代謝への悪影響も少ない。
副作用 めまい、立ちくらみ
注意点 初回投与時にはとくに血管拡張による
副作用が起こりやすい。
禁忌 起立性低血圧


降圧剤による治療では副作用を最小限に抑えるため、服用中も定期的に検診や血液検査を行います。
こうした定期的な検査のほかにも、ご自身で気になる症状がある場合には、すぐに診察を受けるようにしましょう。


 

さいごに:高血圧の薬(降圧剤)が効きにくい人もいます

降圧剤の効果を下げる薬(非ステロイド性抗炎症薬、副腎皮ホルモン、三環系うつ薬など)を併用している場合は効きにくいとされています。
このほか肥満の方や、睡眠時無呼吸症候群の方も降圧剤の効果があらわれにくいです。

また喫煙習慣、大量の飲酒、塩辛い食事が好きという傾向がある人は、降圧剤の効果を弱めている可能性があります。
高血圧を治療することで脳卒中をはじめとした合併症の予防ができるので、ぜひ生活習慣も見直してみてください。


(image by Photo AC)
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