子どもに発症が多い病気、川崎病。

名前は知っていても、実際の症状や治療方法はわからないという方も多いのではないでしょうか。

川崎病が発表されたのは1967年。まだまだ歴史も浅く、世界中で研究が行われている病気です。

川崎病は、患者数が年々増加傾向にあり、2015年10月におこなわれた「日本川崎病学会」では、川崎病患者の報告数が過去最多であるという発表がされました。

9月〜10月は比較的患者数は少なく、12月と1月に増える傾向があるという報告もあり、患者数の変動に季節性や地域性が関係しているため、ウイルスや細菌の感染との関係も疑われています。

しかし、未だにはっきりした原因はわかっていません。

この記事では、子どもの保護者は知っておきたい川崎病の症状や治療、病気にかかってしまった時に注意すべきことなど、川崎病について詳しく解説していきます。

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世界中で研究が進められている川崎病

川崎病は、正式名称を「急性熱性皮膚粘膜りんぱ腺症候群」といい、動脈を中心に、全身の血管に炎症が起こる病気です。

名前の由来となっている「川崎」は、病気の発見者である小児科医・川崎富作の名前から付けられ、「川崎病」は全世界共通の病名となっています。

川崎病患者の特徴は、4歳以下の乳幼児が多く、特に1歳前後の赤ちゃんに多く発症がみられます。

また、女性より男性の方が、若干発症しやすい傾向があります。

家族内で発症することも多くみられ、欧米諸国に比べて東アジア地域に多いのも特徴といえるでしょう。

治療法が進化していることから、病気の重症化や死亡率は低下していますが、軽症化しても患者数は年々増え、現在では年間1万人以上の子どもに発症がみられます。

解明されていく川崎病の原因

川崎病の原因は、まだはっきりとはわかっていないのが現状です。

遺伝的な要素・細菌・ウイルス感染などと関連があると考えられてきました。

しかし、ここ数年で川崎病の原因に関して数々の具体的な研究発表がされており、原因特定に近づきつつあります。

2007年:理化学研究所の研究グループによる発表

川崎病の発症しやすい遺伝子に関する発表がありました。

人間の持つ遺伝子の中に、SNPという要素があります。SNPはすべての人に存在するわけではなく、SNPを持つ人・ほとんど持たない人など様々です。

理化学研究所の研究発表で、この遺伝子が川崎病の発症原因に関して、なんらかの影響をもたらすという見方を示しました。

SNPを持つ人は持たない人に比べて川崎病の発症リスクが約1.4倍に高まることがわかったのです。

2009年:順天堂大学研究グループによる発表

川崎病の原因は体内で大量に増えた複数の細菌の感染によって引き起こされる可能性が高いという発表がありました。

川崎病にかかると、毒性の弱いブドウ球菌桿菌(かんきん)とその仲間が患者の喉や小腸に通常の10倍〜100倍も存在することから研究が進められました。

その結果、

①高熱や腫れの原因はブドウ球菌によって免疫が高まるため

②冠動脈で過剰な免疫反応が起きるのは、桿菌とその仲間が血管内皮細胞に免疫細胞の標的となる特殊なタンパク質を作らせるため

ということを突き止め、川崎病の原因には細菌の感染との関わりが強いという見方を示しました。

2014年:日本の研究者を含む国際研究グループによる発表

川崎病の原因となる物質が中国東北部から飛来している可能性があるという発表がありました。

患者の発生数が季節によって異なることから、研究グループは1977年以降の日本周辺の風の動きをコンピューターでシミュレーションして、日本上空の大気中を浮遊している物質を採取し、検査を行いました。

その結果、中国東北部から日本へ向かって風が吹いてくる時期と、川崎病患者の発生数のピーク時期が一致。

川崎病患者が発生する時期の日本上空の大気中にカンジダというかびの仲間が多く含まれていることがわかりました。

また、マウスによる実験では、カンジダと川崎病の関連性が示されました。

カンジダに関連する物質に川崎病を引き起こすような働きをもつものがある可能性が高いとみています。

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特徴的な6つの症状をチェック

川崎病の症状は、発熱・咳・鼻水などの風邪のような症状からはじまりまり、全身の血管に炎症がおきます。

炎症は1〜2週間で治ることが多いですが、長ければ1ヶ月程度続きます。

見落としてはいけない川崎病の特徴的な症状は6つあります。

①5日以上の発熱
②両眼の充血
③イチゴ舌
④発疹
⑤手足が赤くなり、硬く腫れる
⑥首のリンパ節が腫れて痛い

発熱が5日以上続いたら要注意。高熱が続くと重大な後遺症を残す可能性があります。

なお、川崎病による発熱は、通常の解熱薬ではほとんど下がりません。

両眼の充血がみられるようになりまが、目やにがあまりでないという特徴もあります。

イチゴ舌と呼ばれる、赤いブツブツが下の表面にできます。また、唇が赤く腫れる場合もあります。

皮膚に発疹症状があらわれ、特に手や足、体部分に特に多くみられ、かゆみを伴うこともあります。

子どもの場合はBCG接種部分を観察するのもポイントです。発疹により赤みが強くなったり、かさぶた化する場合もあります。

病気発症時は、手足が赤く、硬く腫れます。その後、回復期をむかえると手足の皮がペロンと1枚に剥けます。そして、首のリンパ節が腫れて痛くなります

この6症状のうち、5つを満たすと川崎病と診断されます。

ただし、心臓血管に障害が認めらた時など、これら5つを満たさなくても川崎病(不全型川崎病)であると診断がくだされる例外もあります。

その他の症状として腹痛、下痢、 黄疸、関節痛、頭痛、けいれんなどがあります。

川崎病になり、最も危険なのは冠動脈への影響があった場合です。

心臓の血管に炎症が起き冠動脈瘤というこぶができます。こぶができると、あとになって血管が詰まってしまうことがあるため、十分な血液が心臓にいかなくなります。

その結果、心筋梗塞などの合併症を発症しやすくなってしまいます。

診断や治療は医師のもとでおこないましょう

川崎病の診断は医師が患者の状態や症状をみて決まります。

川崎病に限りませんが、最初は風邪のような症状からはじまる病気も少なくありません。

体調に異変を感じたり、何だか治りが悪いなと思ったら無理をしないで病院で医師による診察をうけましょう。

医師による問診だけで症状がはっきりしない場合、血液検査心臓の超音波検査などをおこないます。

血液検査では、炎症反応の値や血中タンパクの低下、または肝機能の異常などを確認することで診断に役立てます。

川崎病で一番恐ろしいのが心臓の血管にかかる負担や変化。超音波検査で異常がみられれば川崎病の疑いもでてきます。

もし、冠動脈の異常が見られたら入院をして治療することも。

冠動脈瘤は発症すると突然大きくなることがあるため、炎症を抑え、心臓の血管の中に新しいこぶを作らせないため、約2週間~1ヶ月前後の入院が必要な場合もあります。


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治療は薬による化学療法が中心!

発症の原因が確定しきれていないため、薬による治療は根本的な治療ではありませんが、各症状を軽くしたり、冠動脈瘤を防ぐための治療としては効果がみられます。

病気が発症し始める急性期は薬の投与で症状の軽減を目指し、状況に応じて薬の再投与や別の治療の可能性を考えていきます。

Step1:病気の急性期

■ガンマグロブリン療法(免疫グロブリン療法)

全身の炎症を抑えて冠動脈瘤の発生を防ぐための血液製剤を大量に投与します。

1回の投与量や日数は様々ですが、通常12~24時間かけて免疫グロブリン製剤を静脈内にゆっくり点滴で投与します。

川崎病では点滴で静脈内に投与できるようにした「静注用免疫グロブリン製剤」を使います。

現在、患者の90%がこの治療を受けています。

 

■アスピリン療法

血液を固まりにくくし、血栓(血が固まる)ができるのを予防するとともに、血液の炎症を抑える飲み薬です。

軽症の場合はアスピリンを飲むだけで良くなることがあります。

多くは免疫グロブリン療法と併用でおこなわれています。

川崎病のアスピリン療法については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:川崎病のアスピリン療法について徹底解説!

 

Step2:ガンマグロブリン療法に効果がなかった場合

静注用免疫グロブリン投与後、24時間経っても解熱しない・再発熱が認められたなど、各症状に対する治療の効果がみられなかった場合には、

●ガンマグロブリンの追加投与(点滴)
●ステロイドパルス療法(点滴)
●ウリナスタチン静注療法(点滴)
●免疫抑制薬
●血漿(けっしょう)交換
●その他

など、いくつかの治療法を選択し、解熱・炎症反応抑制・浮腫・壊死・出血による血管の病変などを軽減するようにします。

継続的な治療と検査の必要性

川崎病の治療は、遅くとも発症から7日以内に治療を開始するのが望ましいとされています。

治療が遅れることによって冠動脈瘤が大きくなってしまったり、入院などで患者の負担も増してしまうからです。

異常を感じたら、医師の診察を受けるようにしましょう。

冠動脈瘤の症状を発症した場合、治療によって症状をおさえますが、約半数の患者は1年ほどの時間を費やしてこぶを自然に小さくしていきます。

残りの半数はこぶがあまり小さくならないまま残ってしまい、後遺症として冠動脈障害を起こすこともあります。

冠動脈障害が起こっても、薬の服用を続ければ日常生活を送ることは可能です。

しかし、冠動脈障害になると心臓障害のリスクが高まっています。冠動脈障害がみられたら、必ず定期的に検査を受けるようにしてください。

また、冠動脈瘤がなかった場合でも、症状がおさまってから2〜3ヶ月はアスピリンを飲み続け、その間、心臓の超音波検査や心電図で検査をします。

問題がないようなら薬の投与を中止しますが、数年に渡って定期検診をし、経過観察をするのが望ましいとされています。

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再発もありうる川崎病!生活習慣の見直しで予防を

川崎病は患者全体の3%の人に再発がみられます。

また、再発をした約半数の人が1年以内に再発をしていますが、かなり時間をおいて再発する場合もあります。

再発した時、子どもの場合は発熱や発疹など、川崎病の急性期と同様の症状があらわれます。

成人での再発の場合は、突然の激しい胸の痛みや心臓発作などの重い症状があらわれることが多いので注意が必要です。

後遺症が残らなかったとしても、川崎病を発病したら冠動脈に炎症が起きたものと考えられます。

冠動脈に炎症がおこると血管の老化が早まったり、動脈硬化もあるとされています。

川崎病になると血管の炎症を起こさないことがとても大切になってきます。

心臓をはじめとした臓器や血液の健康を考えると、

■バランスの良い食事
■肥満対策(過食や高脂血食を控える)
■適度な運動・運動不足の解消
■大人は喫煙の禁止

などが大切になります。

川崎病の再発防止だけでなく生活習慣病の予防にもつながるので、日々の暮らしの中に積極的に取り込みましょう。

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おわりに 〜川崎病急性期カード〜

「身体に異常がみられる」「川崎病の再発らしい症状があらわれた」

一度でも川崎病を発症させたことがある人は、病院を受診した際には病歴を伝える必要があります。

特に小児の病気の治療は、過去に受けた川崎病の正確な医療情報が重要な役割を果たす場合があるのです。

そこで役立つのが川崎病急性期カード

川崎病経験者の健康管理や過去に受けた治療を忘れないためにも役立ちます。

医療の発達により、重症化は少なくなってきている病気とはいえ、原因がはっきりしなかったり、後遺症が残るとその後の定期検査や治療もとても大変。

万が一の時には、医療機関と上手な連携が取れるように、川崎病急性期カードを活用・携帯しておくのも1つの方法であるといえます。