はじめに

買い物に出かけたお母さんが迷子になった、お父さんが同じ話を何度も繰り返すようになったなど、家族や友人と接していて「もしかして認知症かも」と不安に思ったことはありませんか?

認知症の初期症状は、加齢により記憶力が低下した状態と区別がつきにくい場合も多く、「認知症だと認めたくない」などの理由から、家族もつい目をそらしてしまいがちです。
さらに、本人が進んで医療機関にかかるケースも少ないことから、余計に周囲が気づいてあげることが重要です。

ここでは、認知症で最も多いアルツハイマー型認知症を含む認知症が疑われる7つのサインを紹介します。

もし、その中で、いくつか当てはまることがあったら、念のため専門家に相談してみることをお勧めします。
もし違っていたのであれば、それで一安心できますし、認知症は早期に治療に取り組むことが何よりも大切だからです。

 

認知症の7つの初期症状

1. 物忘れがやや極端になる

昔のことは覚えているのに、最近の出来事や重要な予定など、新しい記憶を忘れてしまうことがあります。
先週行ったレストランの名前、その時どんな会話をしたかなどの細部を忘れることは誰にでもありますが、認知症の場合は、そもそもレストランに行ったこと自体をすっぽり忘れてしまうこともあります。  
また、今話をしたばかりの人の名前を忘れる、いつも探し物をしているといった、周囲の人がちょっと気になるくらいの症状が現れます。

2. 繰り返しが多くなる

同じ話を何度も、時には一言一句繰り返す場合もあります。
また、質問も同様で、何度答えても、同じ質問を繰り返すことがあります。

3. 理解力が落ちる

日常生活で頻繁に使う単語を忘れてしまったり、話し方が変わったり、意味を汲み取ることが難しくなったりします。
テレビ番組の内容が理解できなくなった、料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった、話のつじつまが合わないといった症状が当てはまります。

4. 性格の変化

気分が変わりやすくなり、何の理由もなく突然怒ったり、感情的になったりします。引っ込み思案になり、楽しんでいた趣味をやめてしまうこともあります。

財布・通帳・衣服などを盗まれたと人を疑う、ひとりになるとこわがったり寂しがったりする、自分の失敗を人のせいにするなど、
これまでとはまるで別人のようなふるまいをしたら、注意が必要です。

5. 近所での迷子、日常生活での混乱

認知症の人は、自宅の近所や普段の買い物など、よく知っているはずの場所でも迷子になることがあります。
また、料理やひげ剃りなど、これまで毎日のようにしてきた行為で戸惑うようになります。

6. 清潔感がなくなる

常に身だしなみに気を使ってきた人が、洗濯をしなくなりシミのついた服を着たり、何日も風呂に入らずに過ごすようになったりします。

7. 奇妙な行動

鍵を置いた場所を忘れることは誰にでもありますが、認知症の場合は「なぜそんな所に?」と首をかしげてしまうような場所に物をしまいがちになります。
たとえば、歯ブラシを冷蔵庫にしまったり、牛乳を流し台の下にしまったりしたら、要注意です。

 

認知症かも、と思ったら

上の初期症状にいくつか当てはまったからといって、認知症と決まったわけではありません。
まずはかかりつけ医に相談し、場合によって神経内科の専門医を紹介して貰いましょう。

医療機関にかかる際は、以下の情報をまとめてメモしていくとよいでしょう。

  • 認知症かもしれないと思った症状と、その症状が始まった時期
  • この半年の間にその症状が進行したかどうか
  • ほかの持病
  • サプリメントや代替医療(漢方・ハーブなど)を含む常用薬
  • 食生活・飲酒
  • 生活の大きな変化(退職・引っ越し・配偶者の死など)

認知症だった場合には、患者も家族も、長く付き合っていくことになります。
診断結果に納得がいかない場合はセカンドオピニオンを仰ぐなどして、信頼できる医師・医療機関を見つけることが重要です。

 

認知症は早期発見、早期治療こそが後々の生活の質を高めます

認知症かもしれないと思ってもなかなか専門家に相談せず、自宅で経過を観察する家族も多いようです。

  • 「認知症かも」と指摘すると本人が怒るかもしれないから。
  • アルツハイマー型認知症は治らないのだから、診断を受けても受けなくても変わらないという認識。
  • 問題があることを気付きたくない、認めたくない思い

などが、診断を先延ばしにする理由として挙げられます。

しかし、初期症状に気付いたら、なるべく早く診断を受けるべき理由が3つあります。

1.アルツハイマー型認知症ではない可能性
認知症にはいくつかのタイプがあり、治る認知症や、認知症のような症状を引き起こす別の病気の場合も考えられます。
具体的にはビタミン欠乏や甲状腺異常、鬱、薬物相互作用、正常圧水頭症などです。
これらの多くは根本治療の出来る症状。早く診断を受ければ、早く治療に取り組むことできます。

2. 診断が早いほど、早く治療に取り組み、進行を遅らせることができる
残念ながら現在のところ、認知症の多くを占めるアルツハイマー型認知症の根本的治療薬は見つかっていませんが、薬によって進行を遅らせることや、認知症にともなう不眠や妄想などの周辺症状に対する対症的な治療ができます。
治療時期が早いほど、よりよい状態を長く維持できるようになり、周囲の方々の負担も軽減されます。
逆に、症状が悪化してからは、それをよくすることは現時点では困難です。

3. 診断が早いほど、早く将来の見通しを立てられる
愛する人が認知症であることを受け入れるのは、困難なことです。
しかし早く診断を受ければ、それだけ早く、この病気について学び、これから起こりうる症状を知り、心の準備や物質的な準備をすることができます。
 

おわりに

家族や愛する人が認知症かもしれないと思っても、なかなか認めたくないという気持ちは誰にでも働くものです。
一方で、診断を先延ばしにしたため「治る」認知症に気付くのが遅れたり、アルツハイマー型認知症のケアが後手にまわってしまうと、患者さん本人と介護される方のQOL(Quality of Life:生活の質)が下がることになります。
初期症状に気付いたら、本人のためにも自分や家族のためにも、早めに医師に相談するようにしましょう!