アルコール依存症、予備軍含めたら900万人!

自分で飲酒の量やタイミングなどがコントロールできなくなる、アルコール依存症。
「晩酌が楽しみで、あと1杯がやめられない人」や「胃腸が弱って吐いてしまっても、お酒が飲みたい人」まで様々おり、予備軍を含めたら約900万人いるとされています。
これだけ多くの人に関わりのある病気なので、ご自身、あるいはご家族が「アルコール依存症なのでは?」と心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「アルコール依存症」近年の傾向
罹患者数(病気にかかっている人)
約109万人(2013年厚生労働省研究班)
患者のうち、適切な治療を受けている人
約8万人
患者の男女比
男性:女性  6:1
※男性は50代半ば、女性は40代半ばに多い傾向にある

アルコール依存症は、早期治療を行えば回復が早いとされる病気です。
しかし上の表の通り、まだまだ適切な治療を受けている人が少なく、1人で抱え込んでいる人が沢山いらっしゃるのが現状です。
こうした状況の原因は「症状の自覚がなく、自発的に病院へ行く人が少ないこと」や、「精神科の通院にハードルの高さを感じてしまう」といったものが考えられます。

しかし、アルコール依存症を放置してしまうと、身体や精神に悪影響を及ぼすほか、社会的・経済的なトラブルを招くおそれがあります。お酒との付き合い方に違和感を感じたときには、一度、アルコール依存症の可能性を疑ってみると良いでしょう。

そこで、この記事ではアルコール依存症のチェックや、進行した場合にみられる主な症状、さらにどんな人がなりやすいか?といった傾向に注目していきます。

 

このお酒の飲み方はアルコール依存症?チェックしてみましょう

まずは自分のお酒の飲み方が、アルコール依存症かどうか?以下のチェックシートで、確認してみましょう。
3つ以上の項目に当てはまる場合、アルコール依存症の可能性がります。
 

チェック:1 状況を問わず飲酒したいという強烈な欲求や強迫感がある
チェック:2 飲酒の開始や終了、あるいはアルコール摂取量の制御ができない
チェック:3  飲酒を止めたり、アルコール摂取量を減らすと離脱症状がみられる
(離脱症状・・手の震え、発汗、不眠など)
チェック:4  飲酒量を増やさないとアルコールの効果が得られなくなった
チェック:5 飲酒のために、ほかの楽しみや人付き合いが減った。
あるいは興味がなくなった
チェック:6  過剰なアルコール摂取で、明らかに身体的・精神的な異変があると自覚しているのに、飲酒がやめられない

 
 世界保健機関(WHO)による診断ガイドライン(ICD-10)をミナカラ編集部で改変

チェックの結果はいかがでしたか?
アルコール依存症の場合、こうした傾向のほかに、どのような症状がみられるのか?
次の章で具体的にみていきましょう。

 

アルコール依存症が進行すると、どんな症状みられる?

アルコールを大量に摂取することで、離脱症状のみならず、体や心に様々な変化が生じます。
アルコール依存症の患者に特にみられる症状は以下の通りです。
いずれも日常生活に大きな影響を与える病気なので、こうした症状があらわれる前に普段のお酒の飲み方を見直すことが大切です。

アルコール依存症の症状[1]:うつ病

アルコール依存症の方に高い頻度でみられる症状が、「うつ病」。
アルコール依存症によって、うつ病が引き起こされるケースもあれば、うつ病によってアルコール依存症が引き起こされるケースもあります。
長時間に渡って飲酒を続け、酔った状態が長く続くと、うつ病を発見することが困難になる場合も。
就職や結婚をはじめとした、大きく環境が変わった時期に起こりやすいほか、以下の傾向が多くみられるのが特徴です。

・気分が滅入っている
・意欲が湧かない、無気力
・食欲が出ない
・眠れない、あるいは過眠気味だ
・イライラすることが増えた

 

アルコール依存症の症状[2]:アルコール性肝障害

アルコール依存症の症状の中でも、特に自覚症状がなく、分かりにくいとされる「アルコール性肝障害」。
大量飲酒を続け、肝臓が休みなく働き続けた結果、肝細胞に変性(性質が変化すること)・壊死などが起こり、肝臓の機能が低下した状態です。
それでもなお、大量飲酒を続けると「アルコール性 肝線維症」や「アルコール性 肝硬変」へと進行するおそれがあります。

※アルコール性 肝線維症・・肝臓の組織結合が増えることで肝臓が硬くなる病気。倦怠感を感じる以外には、症状を自覚することは難しい。
※アルコール性 肝硬変・・アルコール摂取が原因の肝硬変。肝肥大や脂肪肝(肝臓に30%以上中性脂肪がたまる状態)が特徴。

 

アルコール依存症の症状[3]:慢性膵炎

お酒の影響を強く受けるのは、肝臓だけではありません。
消化を助けたり、血糖値を正常に保つ膵臓(すい臓)にも、アルコール依存症の症状があらわれる可能性があります。
「慢性膵炎」とは、大量飲酒によって膵臓に炎症が起こったことで硬くなり、萎縮していく病気です。
膵臓の機能低下によってインスリン分泌量が減ると、糖尿病を併発するリスクが高まります。
 

アルコール依存症の症状[4]:糖尿病

すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンが不足することによって、血糖値が異常に高くなってしまう病気、「糖尿病」。
アルコール依存症患者のほとんどの人に、発病するとされています。
アルコール依存症の人の場合、食事を摂らず飲酒を続ける傾向があり、糖尿病の症状のひとつ・低血糖(血中のブドウ糖が不足した状態)を招きやすくなるので注意が必要です。
低血糖になると、発汗、震え、動悸のほか、頭痛、けいれん、昏睡状態といった症状がみられます。
 

アルコール依存症の症状[5]:脳萎縮

脳の容積が減少する、「脳萎縮」。正常な場合でも30歳頃から軽い萎縮が始まるほか、アルコールも大きな影響を与えるとされています。
1日2合の以上の飲酒は、脳萎縮の危険因子とされており、アルコール依存症ではなくても、飲酒量が多い人ほど脳萎縮の程度は強くあらわれることが、近年、明らかになりました。
脳萎縮が進行すると、集中力・記憶力・理解力の低下といった、認知機能に障害が見られることが多くなります。
 

アルコール依存症の症状[6]:脳梗塞

大量飲酒によって脳血管障害が生じた場合、「脳梗塞」にかかる恐れがあります。
脳梗塞とは、脳の血流が悪化し、酸素や栄養が充分に届けられないことによって脳細胞が梗塞(細胞組織が壊死すること)状態。
アルコールは血流をよくするもの・・というイメージを持つ方も多いですが、酔いが抜けると共に血管が萎縮してしまうため、最終的には血流を悪化させてしまうのです。

 

アルコール依存症になりやすい人とは?

アルコール依存症になりやすい人には、どういった傾向があるのでしょうか?
「依存症」というと、「意志の弱い人がなる」というイメージを持たれる人もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではありません。
むしろ、何事も完璧に行おうとする思いからストレスを募らせ、徐々にアルコール摂取量が増えてしまうケースがほとんどなのです。

アルコール依存症になりやすい人

●完璧を求めやすい
●白黒をはっきりとつけたがる
●責任感が強い
●悩みを1人で抱えがち
●孤独を感じやすい

 

さいごに

先述の通り、アルコール依存症による大量飲酒は心身に多大な影響を与えます。
アルコール依存症の疑いがある場合は、早めに専門医に相談しましょう。主な診療科は精神科です。

これまでのアルコール依存症の治療は、お酒を一切飲まない「断酒」が主流でしたが、近年では徐々にアルコール摂取量を減らしていく「節酒」も行われています。

アルコール依存症の場合、自分だけで飲酒量をコントロールすることは困難です。
専門医による適切な指導を受けましょう。


(image by Photo AC)
(image by Photo AC)