イライラする、眠れない…。ある日いきなり、キッチンに立っても食事のメニューが思いつかなくなってしまった…。そんな更年期のうつ症状に悩まされる人は少なくありません。人によっては布団から起きて出られなくなることも。ではいったい、なぜそのような症状が現れてしまうのでしょうか?

 

更年期に起こる「更年期障害」の原因と症状

原因

更年期は、45~55歳までの閉経前後10年間のこと。その時期に、卵巣機能の低下によるホルモンバランスの乱れが起こす症状のことを「更年期障害」といいます。その症状は、不定愁訴(ふていしゅうそ)といわれるもので、具体的な病気に当てはめにくい「なんだか体調が悪い」といった感覚のもの。しかし、その症状を訴える本人にとっては身の置きどころがないような苦しさなのです。

また、ホルモンバランスの乱れだけが原因ではなく、その人物が置かれている社会的なものや、生活の変化も要因に入ってきます。例えば、仕事において責任の重いポストになったためにストレスが増えたとか、子供の独立による喪失感、家族・夫婦環境の変化、親の介護によるストレスが増えたなど。加えて、顔や身体の老化を切実に感じ始めることで、さまざまな不安が襲ってくる時期でもあります。

そして、一概には言えませんが、真面目で几帳面な性格であったり、責任感が強く、すぐに頑張ってしまう、我慢してしまう人などが、更年期障害になりやすいとのこと。

症状

主な症状は、「顔がほてる、急な発汗、腰や手足の冷え、動悸・息切れ、不眠・寝つきが悪い、イライラする、怒りっぽい、急に不安になる、くよくよする、憂うつになる、頭痛やめまい、疲れやすい、肩こり・腰痛・手足の痛みがあるなど多岐にわたります。※但し、これらは「更年期障害」の症状ですが、あらゆる病気の予兆である可能性がないわけではありません。

 

なぜ更年期で「うつ」症状が起こるの?

更年期「うつ」の原因は、もとをたどれば「更年期障害」の原因と同じ。つまり、

「卵巣機能の低下」+「社会的な責任や生活の変化」+「性格的な要因」などが重なり発症する、

更年期障害が悪化して「更年期うつ病」になるといわれています。

 

更年期は不安がいっぱい

ただでさえ、卵巣機能が低下しホルモンバランスが乱れて身体が”あちこち”しんどいのに、更年期は「子供の独立」 「老化」 「介護」といった大きな変化が起こるので、それらを受け止めていかなければいけない辛い時期でもあります。

◆「子供の独立」

子供を守り育てるという使命感が生きる活力となっていたにもかかわらず、その子供の独立で、まるで自分の役割が終わってしまったかのような喪失感にさいなまれてしまいます。また、子供の独立で夫婦二人残された生活が始まると、その関係にストレスを感じたりすることも。

◆「老化」

「40代前半は、まだ30代を引きづっている」という言い方をする人がいます。その意味は、40代後半になると、今まで感じていた程度では”老い”とは言えなくなるぐらい、「本格的な老い」を感じてしまうからです。自分は絶対に太らない体系だと思っていた人でさえ身体にお肉がつき始め、おまけに顔にはシワだの、シミだの、くすみだの、たるみだの、歓迎したくない客人が居座ります。自分のビジュアル的な変化は、もちろん女性ですから心にこたえるのです。

◆「介護」

高齢者大国といわれる日本。誰にでも訪れるのが「介護」という仕事です。大切な両親を介護することは、育ててくれた恩に比べれば大したことはないと言いたいところですが、その肉体的・精神的負担は計り知れないもの。昨今では、在宅介護者がうつ病を患うことは、珍しいことではありません。昔のように、何世代も一緒に暮らし、隣近所との交流が多ければ介護の負担を分散できるというものですが、今のように大家族世帯が減り、近所付き合いが減少した日本では、逃れにくい社会問題となっています。

 

更年期うつの具体的な症状

更年期うつになると、以下のような症状が現れます。

●寝つきが悪い・よく眠れない・早く目が覚める

●一時的な物忘れがある

●気分の落ち込みが激しい・自己嫌悪

●理由もなく不安で涙が出る

●無力感・倦怠感・憂うつ感

●食欲がでない

●何をしていても楽しくない

 

更年期うつになったら…病院と治療

病院

もしも、少しでも更年期うつの症状が現れていると感じたら、早いうちに専門医に診てもらうことが大切です。実は、更年期うつを併発することで、更年期障害の症状がすべて重症化する恐れがあるからです。

「婦人科」「更年期外来」を受診することで、うつ症状が更年期障害によるものかどうかを調べることができます。精神疾患が強ければ「心療内科」「精神科」での受診が必要になります。もしも、婦人科や心療内科で最初から診察してもらうことにためらいがあるならば、「内科」でも大丈夫ですよ。

治療

更年期うつの治療は、その症状によって選択されたり、併用されたりします

■抗うつ薬・抗不安薬などによる薬物治療

■漢方薬による治療

■精神療法

  • 認知行動療法…うつ病を引き起こしやすい考え方のクセを改善
  • 対人関係療法…対人関係の問題を解消し、ストレスを軽減させる。

■ホルモン補充療法 

※但し、精神疾患が強い場合、従来の更年期障害治療が効かない場合があります。

 

更年期うつに有効「セロトニン」

女性ホルモンのエストロゲンは、脳内で神経伝達物質である「セロトニン」を増やします。つまり、更年期には女性ホルモンが減少してしまうので、「セロトニン」も減少してしまうということ。この「セロトニン」は幸福ホルモンともいわれ、脳内の神経系や自律神経に働きかけて気分を明るくする作用があるといわれています。また、これが不足すること、うつ病指数を高めてしまうのです。

そのセロトニンは、太陽の光を浴びることや、ウォーキングジョギングなどの有酸素運動、そして、バランスの良い食事よく噛んで食べることで活性化され、増やすことができます。

また、「トリプトファン」を含む食品と「ビタミンB6」を含む食品を一緒に摂ることで「セロトニン」が合成されます。

●トリプトファンを含む食品

乳製品、ナッツ類、バナナ、大豆など

●ビタミンB6を含む食品

肉、魚、レバー、にんにく、玄米など

 

おしまいに

更年期うつになってしまうと、気分の落ち込みや不安、自己嫌悪が、孤独感を増長させてしまいます。本当は一人で悩む必要はないのに、どんどん自分を追い込んでしまうのです。ささいなことでも家族、友人、職場の同僚に話してみると、ちょっとした会話のなかにヒントがあったり、気分を変える言葉があるかもしれませんよ。また、受診という意識ではなく、専門医に話を聞いてもらうだけでも大きな効果があります。

永遠と心に何かをため続けることは不可能です。心のなかを吐き出すのは人間にとって非常に大事なこと。吐き出してみると、想像よりもずっと心と身体が軽くなるはずですよ!

 

(image by Photo AC)

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