「更年期」は身体と環境の変化を受け止めなければいけない時期
「更年期」は、女性の閉経前後45~55歳の年齢あたりを指します。
その時期は自分の子供も成長して家を出たり、結婚したりという大きな変化を迎える時期でもあります。
子供が居るならばどこの家庭にも訪れることではありますが、我が子の成長を間近で見ながら、それを生きがいにしてきた女性にとっては非常に寂しく受け止めがたいものです。
「子供に手がかからなくなったから、これで私もゆっくりできる」なんて言いながら、心の中にポッカリと大きな穴が開いてしまい、空虚や喪失感に襲われてしまうようです。
また、子供に手がかからなくなったと思ったら、今度は自分の親たちが高齢になるため介護が必要になってきます。
育児も大変ですが、老いて変わりゆく両親の現状を受け止めながらの、精神的にも肉体的にも非常に重労働である介護は、時に精神をむしばむほどの負担を人に与えます。
それに加えて、この時期女性は閉経に向かって卵巣機能が低下するために、ホルモンバランスが乱れ身体に大きな変化が始まり、あらゆる不調を感じるようになります。
それは、いわゆる更年期障害と言われるもので、のぼせや急な発汗、動悸息切れ、睡眠障害、頭痛やめまいに加え、イライラや不安など精神的な症状まで起こります。
そして、実はひどい【寝汗】も、その更年期障害に起こる身体の不調のひとつなのです。
大きな「環境の変化」と「身体の変化」は、そのもの自体が身体の不調を起こすだけではなく、多大なストレスを蓄積し、さらにその症状を悪化させるという悪循環を招いています。
更年期に「寝汗」をかくようになる原因と流れ
基本的には、更年期に起こる「環境の変化」と「身体の変化」が根本的な原因である【寝汗】。
それが起こる流れとしては、卵巣機能が低下し、女性ホルモンを分泌することは難しいにもかかわらず、脳はホルモンの分泌を命令し続けるためにホルモンバランスが乱れます。
そして、脳が興奮してしまうために、活動時に働く「交感神経」が優位な状態が続き過ぎて、自律神経にも乱れが生じてしまうのです。
この自律神経の乱れが【寝汗】を引き起こすようです。
また、更年期は、身体の働きを整えてくれる女性ホルモンの一種「エストロゲン」は減少しますが、同じく
「プロゲステロン」が優位な状態の時は、汗の量も増やしてしまうようです。
自律神経の乱れと「プロゲステロン」が優位になるという流れが【寝汗】の症状をひどくしていると考えられています。
更年期の「寝汗」上半身と下半身の関係
もともと、生理があることから女性は下半身に汗をかきやすいようです。
そして、なおさら、更年期に起こる環境の変化によるストレスや、ホルモンバランスの乱れで、自律神経が調子を狂わせてしまった場合も、下半身に集中して汗をかいてしまうのだとか。
しかし、それとは逆に、更年期で身体のバランスを崩すと体温調節がままならなくなり、下半身が冷えることで上半身に熱がこもるため、上半身に汗をかきやすくなるとも言われています。
これは、いわゆる更年期障害の症状である「のぼせ」においてもいえることです。
このように、【寝汗】は上半身にも、下半身にもどっさりと、いやな汗をもたらしてしまうのです。
「寝汗」がひどくて睡眠障害?!効果的な対策とは
自律神経には活動時や緊張しているときに優位になる「交感神経」と、リラックスしていたり、休息しているときに優位になる「副交感神経」があります。
通常ならば、就寝中は副交感神経が優位になっているものですが、【寝汗】をかいている状態の時は交感神経が活発になっているため、睡眠障害を起こしやすくなってしまいます。
更年期の「寝汗」対策
◆環境の変化や、体の変調で起こる寝汗は、自分自身がストレスを軽減できる状況をつくっていくことで、症状を緩和に導きます。下記は寝汗だけではなく更年期の症状全般に有効といわれるものなので是非、お試しください。
適度な運動やストレッチ | 体力維持や、精神の安定に効果があります。ストレス解消にも役立ちます。 |
低脂質でバランスの良い食事 | バランスの良い食事は身体に栄養をまんべんなく行き渡らせ働きを良くしてくれます。そのような食事を心がける人の更年期障害の症状は軽いのだとか。 |
アロマテラピー | 心と身体のバランスを整えてくれるので、更年期障害の症状緩和に役立ちます。 |
ハーブティーの活用 | リラックス効果が高くホルモンバランスの調節に役立つので、更年期障害の症状緩和に役立ちます。 |
リラックスタイム・質の良い睡眠を増やす | 更年期障害の症状を悪化させるストレスの緩和に役立つのは何よりもリラックスすること!もちろん、質の良い睡眠は最高のリラックスタイム&エステタイムになります。 |
更年期の寝汗対策には漢方もおススメ!
更年期の寝汗症状は、女性ホルモンの減少が大きな原因でもあるので、女性ホルモンの補充も有効です。
その場合は、「婦人科」を受診することが必要です。また「漢方処方」で身体を良い状態に導いてくれる場合もあります。
漢方は市販で買えるものもありますが、ホルモン値の測定などで身体の状態を検査し、更年期障害であるか、ほかの疾患が隠れていないかを調べることができるので、まずは医療機関で診てもらうことをおススメいたします。
おわりに
寝汗は感触が不快なだけではなく、パジャマを着替えたりシーツを洗濯したり、お布団が湿りやすいので干さなきゃいけないなどの、「面倒」な不快事項も発生させてしまいます。
対処法としてタオルを挟んで寝たり、吸水シーツを活用したり、布団の下に段ボールを仕込んだりなど人によって工夫はさまざま。
なんにしても、自分が心地よい状況にしていくしかありません。
リラックスタイムを増やし、ストレッチをするようになってから寝汗がだいぶ少なくなったという人もいるので、いろいろ試していきましょう!