腟カンジダをはじめとしたデリケートゾーンの病気では、腟錠(腟坐薬)と呼ばれる薬を用いて治療を進めることがあります。
腟錠は、腟内に入れることで薬剤が溶けて成分が広がり、作用を発揮する外用薬です。医師に処方された腟錠や腟カンジダ再発時の市販薬を自分で腟内に入れるときには、薬の効果を得るためにも、正しく使用するようにしましょう。
この記事では、腟錠の基本的な入れ方とうまく入れるためのコツを解説します。
基本的な腟錠の入れ方
腟錠(腟坐薬)は、腟カンジダやトリコモナス腟炎といった腟の病気の他、炎症などの症状を治療するために用いられます。産婦人科などで医師に挿入してもらえるだけでなく、症状によっては処方薬として自宅に帰ってから自分で挿入することもあるでしょう。
慣れないうちはうまく使用できるか心配かもしれませんが、どのような腟錠も基本的な入れ方はほとんど同じです。
【大前提】腟の構造を知る
腟は、長さ7~8cmほどの筋組織でできた器官です。腟の入口からお腹の中に向かって真上ではなく、斜め後ろに向かって伸びています。
腟錠を入れる際に痛みを感じる場合は、真上に挿入してしまっている可能性があるでしょう。自分で腟錠を入れる際は、真上ではなく斜め後ろのおしり側に向かって挿入するよう意識してみてください。
腟錠の入れ方3ステップ
腟錠の使用にあたって複雑な作業はなく、「腟の入口から斜め後ろに向かって入れる」というポイントさえおさえておけば、3つのステップで挿入が完了します。
ステップ1
腟錠の使用前には石けんを使って手を洗い、清潔な状態にしておきましょう。水分に反応して発泡するタイプもあるため、しっかりと手の水分を拭き取ったうえで薬剤を触るようにします。
ステップ2
自分にとって腟錠を入れやすい体勢をとりましょう。足を開いてしゃがむ、立った状態で片脚を椅子などに乗せる、寝た状態で足を広げるなど、人によって入れやすい体勢はさまざまです。
まずは指先で腟の入口を確認します。挿入する場所を確認できたら、人差し指と中指で腟錠を挟むか、人差し指の先に乗せて腟の入口にセットしてください。そのまま腟の深くまで挿入しましょう。
ステップ3
挿入後はきれいに手を洗い、安静に過ごします。20~30分間は激しい運動なども避けましょう。異物が入っているような感覚があるかもしれませんが、腟内から薬剤が勝手に出てこない限りはそのまま様子を見てみてください。
腟錠をうまく入れるためのコツ
腟錠を入れる際は、体の力を抜いてリラックスすることがポイントです。挿入後に腟錠が出てきてしまいやすい場合、就寝前など安静に過ごせるタイミングで使用することをおすすめします。
力まずに入れる
緊張したり力んだりした状態だと、腟にも力が入ってしまい腟錠を入れにくくなってしまいます。挿入時にゆっくりと息を吐くなど、力をできるだけ抜き、リラックスしながら入れるようにしましょう。入浴後やお手洗いのあと、就寝前などはリラックスしやすく、おすすめのタイミングです。
時間をかけずに素早く入れる
腟錠は腟の中に挿入後、比較的早い段階で溶け始める点に注意しましょう。入れるまでに時間がかかったり、腟の浅い位置に挿入して脱落したりすると、薬剤が溶け始めてしまう可能性があります。慌てて入れる必要はありませんが、長く時間をかけずに入れることも大切です。
なるべく奥まで挿入する
力を抜いてリラックスし、指で薬を膣の奥まで押し込みます。
腟錠を入れた後、動いたときに違和感があるようなら、挿入位置が浅すぎるのかもしれません。挿入後に出てきてしまわないよう、指の根本(第3関節)あたりまで入れることを目安に、腟錠をより深い位置まで優しく押し込むように調整しましょう。
就寝前に使用する
就寝中は体と一緒に腟も横向きになるため、挿入した薬剤が脱落する可能性が低くなります。深く挿入するのが苦手な人や腟錠が出てきてしまいやすい人は、寝る前のリラックスできる時間に使用するようにしてみてください。
腟錠を入れる際の注意点
腟錠は、腟の中で溶けることで有効成分が広がるため、まだ溶けていない状態で薬剤が脱落してしまった場合には、再度挿入しなければなりません。一方で、腟錠の使用後、時間が経ってから溶けた状態の薬剤が出てきたようであれば問題ありません。
腟錠が出てくることがある
挿入位置が浅いと、腟錠が溶けずにそのまま出てきてしまうことがあります。薬剤の形がほとんど変わらずに出てきてしまった場合、治療薬としての効果は十分に得られない可能性があります。挿入直後に、何らかの原因で薬がそのままの形で膣外に出てしまった場合は、再度薬を挿入してください。
時間が経ってから膣錠が溶けずにそのまま出てきた場合は、効果が得られていない可能性があるため、医師または薬剤師に相談してください。
下着が汚れる可能性がある
腟錠を使ったあとで、溶けた薬剤がおりものとともに出てくることがあります。腟錠は腟の中で溶けて効果を発揮するため、出てきた薬剤がペースト状であったり、小さな固まりになっていたりするようなら問題ありません。汚れが気になる場合は、パンティーライナーやナプキンを活用しましょう。
生理中の使用可否は確認が必要
市販の腟カンジダ再発治療薬で治療を始めたものの、途中で生理が始まってしまったときには、市販薬の使用可否を確認する必要があります。腟カンジダ再発治療薬には、生理になったら使用を中止するよう指示のあるものもあります。購入した医薬品の添付文書を確認するか、薬剤師に相談してみてください。
医師に処方された薬の場合には、担当の医師に相談してみましょう。
市販の腟錠4選
腟カンジダの治療薬として市販されているものは、再発時にのみ使用可能です。これまでに腟カンジダの診断・治療を医師から受けたことがあり、再発してしまった方は、市販薬のなかから自分が使いやすいものを選んでみましょう。
メンソレータム フレディCC膣錠
腟カンジダ症の再発時に使用する腟錠です。1日1錠を6日間連続で使用する必要があり、途中で改善が見られてもすべて使い切るようにしましょう。腟内の水分で溶けて広がり、抗真菌効果を発揮します。有効成分はイソコナゾール硝酸塩です。
効能効果 |
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腟カンジダの再発(以前に医師から、腟カンジダの診断・治療を受けたことのある人に限る) |
オキナゾールL100
1日1回1錠を6日間連続して使用する、腟カンジダ再発時用の治療薬です。使い始めてから3日経っても症状の改善が見られない場合や、6日使用しても症状が消失しない場合には受診を検討しましょう。主成分はオキシコナゾール硝酸塩です。
効能効果 |
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腟カンジダの再発(以前に医師から、腟カンジダの診断・治療を受けたことのある人に限る) |
エンペシドL
6日間の連続使用で、再発した腟カンジダに使用するクロトリマゾールが主成分の腟錠です。腟に挿入すると速やかに崩壊し発泡する構造になっており、同シリーズの塗り薬と併用できます。
効能効果 |
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腟カンジダの再発(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る) |
メディトリート
坐薬型の腟カンジダ再発治療薬で、スムーズに挿入しやすい形状が特徴です。ミコナゾール硝酸塩を主成分としており、1日1回1個を眠る前に使用します。腟内だけでなく外陰部にも腟カンジダの症状があるときには、塗り薬との併用も検討しましょう。
効能効果 |
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腟カンジダの再発(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る) |
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