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貧血は大人の女性に多いイメージがあるかもしれませんが、実は赤ちゃんにも多いことをご存じでしょうか。貧血を放置すると赤ちゃんの貧血の予防法を紹介します。
はじめに
貧血は女性に多いということは知られていますが、乳幼児にも貧血は多くみられます。
乳幼児の貧血は放置すると成長や発達に影響を与えることがわかっています。
乳幼児の貧血の原因や予防法を確認しておきましょう。

貧血とは?
「貧血」は血液中の赤血球に含まれている「ヘモグロビン」が不足して、血液が薄くなっている症状です。
血液は、液体の「血漿(けっしょう)」と細胞の「血球」で構成されています。
細胞には「赤血球」「白血球」「血小板」があり、赤血球には「鉄」と「たんぱく質」から作られたヘモグロビンが肺で酸素と結びつき、体内のすみずみに酸素を運んでいます。
そのため貧血になると、体内の多くの臓器や細胞が酸欠状態になり代謝機能が低下してしまいます。
赤ちゃんが貧血になる原因は?
赤ちゃんの貧血にはいくつか種類がありますが、最も多いのは「鉄欠乏性貧血(母乳性貧血)」です。
赤ちゃんは胎児期に、母体から鉄分をもらって生まれてきますが、乳児期以降にはもらった鉄分の蓄えが成長とともに少なくなります。
特に母乳には鉄分の含有量が少ないため、ミルクの子にはあまり貧血はみられませんが、母乳のみの場合は貧血になりやすいといわれています。
貧血の主な原因は、離乳食がうまく進まず、成長に必要な鉄分が不足することにあります。
離乳食をすすめる時期の、生後6か月~2歳位までに離乳食が上手く進まず偏食が多い場合には注意が必要です。
乳幼児の貧血の主な症状は?
・顔色が青白い
・唇の赤みが薄い
・口の端が切れている
・目の粘膜の赤みが薄い、白っぽい
・爪が白っぽい、スプーンのように反り上がる
・食欲が落ちる
・生気がない、疲れやすい
・呼吸が早い
などがみられますが、乳幼児の場合には気づきにくく、健診で分かることが多くあります。
貧血を放置すると?
乳幼児の貧血を放置すると、精神・運動の発達遅延の影響があることが分かっています。
脳や体全体に酸素を運ぶヘモグロビンが不足するため、運動するとすぐに息切れしたり、体力もなくきゃしゃになったり、集中力がなくなるなどの症状が起こります。
また、かぜなどをはじめとする感染症にもかかりやすくなります。
貧血は子どもの成長と生活を考える上では、離乳食が始まる頃には注意し、貧血の症状がみられたら治しておく必要があります。

鉄欠乏性貧血の診断と治療法は?
血液検査で、血中のヘモグロビンの濃度を調べます。
WHO(世界保健機構)の基準は、生後6ヵ月~6歳までは、ヘモグロビンの量が11.0g/dL以下を貧血とみなします。
乳幼児は症状を自分で訴えることができないため、検査にて確認しましょう。
治療法は鉄剤と食事療法
1)鉄剤
治療は、食事療法のみで治そうとしても、偏食気味だった子供にはなかなか効果が出にくいため、小児科医で鉄剤を処方してもらいましょう。
ただし鉄剤は飲み過ぎると中毒を起こすことがあるため、医師の指示通りの量を守りましょう。
もちろん鉄剤だけに頼ることはいけないため、鉄を含む食品を多く摂らせるよう食事にも注意します。
2)鉄を含む食品
・まぐろやカツオなどの赤身魚
・レバー、牛肉、鶏肉
・ほうれんそう、小松菜
・プルーン
・納豆、高野豆腐
・のり
・しらす干し
・ひじき
などを積極的に食べさせましょう。
その他、おやつを与えるときは、鉄を多く含む幼児向けのお菓子を利用するのも良いでしょう。
3)ビタミンCもたくさん撮る
ビタミンCは鉄分を効率よく吸収するために必要です。そのためビタミンCを多く含む果物なども合わせて食べさせることが大切です。

おわりに
子供の貧血の症状がみられたら、かかりつけの小児科で診断してもらいましょう。
鉄欠乏性貧血は乳幼児に多い病気ですが、食事内容に気をつければ予防できるため、離乳食の時期には気を付けてあげたいですね。