ミレーナは保険適用の過多月経治療薬:避妊だけではない効果について解説
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薬剤師監修日:
ミレーナは避妊リングとして知られてきましたが、2014年より過多月経、月経困難症の治療薬として保険適用になりました。ミレーナの効果や副作用について解説します。

はじめに
ミレーナはフィンランドで開発された「子宮内黄体ホルモン放出システム」といわれる、子宮内に装着する器具です。世界では120ヶ国以上において販売されています。※
日本では、いわゆる「避妊リング」として2007年から導入されてきましたが、保険は適用されず高額な費用がかかっていました。
しかし近年、ミレーナは避妊具としての活用だけではなく、過多月経や子宮内膜症といった子宮の病気への効用が注目されるようになり、2014年の9月から「過多月経治療薬」「月経困難症治療薬」として健康保険の適用が受けられるようになりました。一方で、避妊目的での使用はこれまで同様に保険適応外となります。
月経トラブルに悩んでいる女性はミレーナの使用を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事では、ミレーナの特徴や効果、メリット・デメリットについて解説します。
※2021年5月現在
ミレーナとは?
ミレーナは子宮内へ持続的に黄体ホルモンを放出するT字型の器具で、黄体ホルモンが付加されています。
高濃度の黄体ホルモンは子宮内膜の増殖を抑える効果がある為、ミレーナを子宮に装着すると子宮内膜が薄くなります。
子宮内膜が薄い状態であると妊娠は成立しない為、ミレーナは主に避妊用具として利用されていました。
しかし近年、この子宮内膜を薄くする働きが月経量を減少させ、「過多月経」「月経困難症」の治療に効果があると注目されはじめたのです。
ミレーナはなぜ過多月経に効果があるのか
生理の経血量が非常に多く、日常生活に支障をきたす程のものを「過多月経」といいます。
どれくらいの量が過多月経にあたるか判断が難しいかと思いますが、昼間に夜用ナプキンが必要だったり、経血の中に血の塊がみられるような場合は過多月経が疑われます。
過多月経になると経血量が多くなり貧血を起こしやすい為、目まいや立ちくらみなどの症状があらわれます。
そもそも生理の経血は子宮内膜が子宮から剥がれ、出血をともないながら体外へ排出されたものです。
子宮内膜が薄くなれば必然的に経血量が少なくなるため、ミレーナは過多月経に効果があるとされているのです。
ミレーナを使用するメリット
副作用が少ない
ミレーナは子宮内にのみ黄体ホルモンが作用するため、ピルに比べると吐き気や頭痛などの副作用が少ないとされています。
また、同じように避妊や過多月経の治療に使用されるピルは喫煙者や高血圧の人の使用が難しいのに対し、ミレーナは使用が可能です。
最長5年は交換の必要がない
ミレーナは一度挿入してしまえば最長で5年は交換をする必要がありません。ピルのように毎日かかさず薬を飲まなければいけないなどといった手間もいりません。
ただし、装着中に異常感じた場合はすみやかに医師に相談し、異常がなくても定期検診を受けましょう。
保険が適用される
ミレーナは先述の通り、2014年9月から保険適用になったため、自己負担は3割となります。ただし、診察料や検査代は別途必要です。
保険適用外の時はミレーナを挿入するのに高額な費用がかかったのに対し、費用は大幅に軽減しました。
注意したいのは、保険が適用されるのは「過多月経」「月経困難症」の場合であるということです。避妊目的の利用は現在も保険適用対象外となります。
ミレーナのデメリット
子宮口が狭い人は挿入しにくい
出産経験の無い女性は子宮の入り口が狭いため、ミレーナの挿入がしにくく、痛みを伴う場合があります。
挿入初期に不正性器出血が起こる
個人差がありますが、最初の3か月間程は生理ではないタイミングで出血が起こる場合があります。挿入後数か月程度ならば問題ありませんが、出血量が多い場合やなかなかおさまらないときは医師に相談しましょう。
さいごに
ミレーナは、避妊効果だけでなく過多月経・月経困難症にも効果があります。
毎月の月経トラブルに悩んでいる方は、ミレーナの使用も選択肢のひとつに入れてみてはいかがでしょうか。
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