【低用量ピル】1相性ピル、3相性ピルの特徴とメリット・デメリット
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薬剤師監修日:
低用量ピルは、正しい使い方をすればほぼ100%避妊することができます。この記事では、日本国内で処方されている低用量ピルの種類と注意点、メリットやデメリットについて解説しています。

「低用量ピル」は正しい使い方をすれば、ほぼ完全な避妊をすることができます。
また、妊娠したくなったら服用をやめれば妊娠準備に入ることができ、月経周期を安定化することもできるなど、現代社会の女性のライフスタイルにもよく合った避妊方法として浸透してきました。
現在日本国内ではアンジュ、トリキュラー、ラベルフィーユ、マーベロン、シンフェーズ、ファボワールといった低用量ピルが、婦人科などでの処方で入手可能となっています。
これら低用量ピルは黄体(おうたい)ホルモン・卵胞(らんぽう)ホルモンという女性ホルモンを主成分とした薬で、「1相性タイプ」と「3相性タイプ」といったホルモン量のバランスが異なるタイプがあります。
また、同じ1相性タイプや3相性タイプでも製品によって使用されている黄体ホルモンの成分が違ったり、ホルモン量が異なります。
この記事では、「1相性ピル」と「3相性ピル」それぞれの特徴やメリット・デメリットを確認します。
3相性タイプはホルモン量が3段階に変わる
低用量ピルの服用期間中である28日間のサイクル中、3相性タイプの低用量ピルはホルモン量が3段階に変わります。この時の変化の段階(ホルモン量)は、製品によって変わります。
「中間増量型」と呼ばれる、28日間のサイクルの中間に黄体ホルモン量が増えるタイプと、「漸増型(ぜんぞうがた)」と呼ばれる、28日間のサイクルの後半に進むほど黄体ホルモン量が増えるタイプがあります。
また、3相性ピルに使用される黄体ホルモンは、レボノルゲストレルやノルエチステロンなどの成分が使われますが、薬によって成分は異なります。
3相性タイプのピル
3相性タイプの低用量ピルの代表的なものにアンジュ、トリキュラー、ラベルフィーユ、シンフェーズTといったものがあります。
このうちアンジュ、トリキュラー、ラベルフィーユは「漸増型」、シンフェーズTは「中間増量型」になります。
3相性タイプのメリット
アンジュ、トリキュラー、ラベルフィーユのように3段階にわけて黄体ホルモンの量が増える漸増型は、女性の自然なホルモンバランスにより近くなるように変化します。
これにより不正出血が起こりにくくなるとされ、服用中の不正出血を起こしにくく、休薬期間(プラセボ・偽薬期間)に消退出血(みかけの月経)が起こりやすくなるといった特徴があります。
中間増量型のシンフェーズTは、後半の5日間の黄体ホルモン量を下げることで休薬期間の早い時期に消退出血(みかけの月経)が起こりやすくなると言われています。
3相性タイプのデメリット
錠剤ごとのホルモン量がかわるため、順番を間違えて飲むと避妊効果が落ちたり不正出血がおこりやすくなるため、1相性ピルより飲む順番や飲み方に注意をする必要があります。
ただし、1相性ピルも飲み忘れを防ぐ観点からしっかりと飲む順番を守ることは大切です。
1相性タイプはすべての実薬のホルモン量が同じ
1相性タイプの低用量ピルは3相性と異なり、低用量ピル(実薬)の服用期間中である21日間のサイクル中、ホルモン量が変わることはありません。
つまり、プラセボ錠(偽薬)以外はすべての錠剤が同じホルモン量の錠剤となります。
1相性タイプのメリット
万が一、飲む順番を間違えてもプラセボ錠(偽薬)以外は同じ成分なので問題なく効果が続きます。
ただし、1日1錠を飲むという飲み方を間違えたり、実薬を飲むべき時に順番を間違えて偽薬を飲むと効果が落ちたり不正出血が起きる可能性があるため、1相性タイプでも飲む順番を守ることは大切です。
また、低用量ピルで生理日の調整をしている方にとっては1相性ピルの方が調整しやすいということもあります。
1相性タイプのデメリット
3相性ピルのメリットの逆となりますが、3相性ピルの方が不正出血を起こしにくいと言われています。
1相性タイプの服用中にどうしても不正出血が気になる場合は3相性ピルを検討するなどの対応を検討できます。
飲む順番の間違いが心配な方は「1相性ピル」の方が分かりやすくおすすめで、不正出血などを防いだりより自然なほうがいいという人は「3相性ピル」を選ぶといった選び方もあるでしょう。
低用量ピルを使用する時の注意
現代女性のライフスタイルの質の向上(QOLの向上)という点でも便利な低用量ピルですが、医薬品である以上副作用や注意事項もあります。
副作用の防止のためにも違和感があった時に相談できるかかりつけの婦人科を持っておくことと、半年に一度など定期的に婦人科検診を受けることも大切です。
低用量ピルの使用に注意が必要な方
以下のような方は低用量ピルを服用できなかったり、低用量ピルの服用に注意が必要です。
該当する方は低用量ピルを服用しはじめる前に低用量ピルに通じた婦人科で医師に相談するようにしましょう。
・妊娠中の方
・出産後4週間以内の方(出産後にピルを服用する場合はまずは医師に相談してからにしましょう)
・授乳中の人
・高血圧な方(軽度の高血圧を除く)
・35歳以上で1日に15本以上タバコを吸う方
・血栓症にかかったことがある方
・前兆(閃輝暗点、星型閃光など)をともなう片頭痛の方
・乳がん、子宮体がんなどの疑いがある方 など
上記以外にもピルを使用できない場合があるため、持病をお持ちの方や他に薬を飲んでいる方は、低用量ピルに通じた婦人科で医師に相談してから低用量ピルをはじめるようにしましょう。
おわりに
低用量ピルは適切な使い方をしている限りほぼ完全な避妊効果を期待できますが、ピル自体に性感染症(STD)を予防する効果は全くありません。
低用量ピルを使うことでコンドームの使用をしなくなる方がいますが、クラミジアやHIV・エイズなどの性感染症を防ぐにはコンドームを併用することが大切です。
低用量ピルの使用中もコンドームで性感染症(STD)を防いでいくようにしましょう。
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