ホットフラッシュは、寒い季節でも突然カーッと熱くなり、大量の汗をかいてしまう症状のことです。外気の温度に関係なく、突然体温が上がり発汗するため、初めて発症したときには戸惑う人も少なくはありません。この記事では、更年期障害のひとつであるホットフラッシュの対策と更年期に摂取したい食べ物について解説します。
ホットフラッシュの原因
ホットフラッシュは更年期障害のひとつで、ほてりやのぼせ、発汗などの症状があらわれます。発症の原因は、体の様々な機能を無意識に調節している自律神経の乱れです。
自律神経の乱れがホットフラッシュを誘発する
更年期(閉経の前後10年間)にさしかかると、女性ホルモンの分泌が減少し、自律神経に乱れが生じます。
自律神経は体温の調節も行っており、血管の収縮や拡張のコントロールができなくなることでホットフラッシュとなってあらわれます。
他の病気が原因の場合も
更年期にあらわれることが多いホットフラッシュですが、血圧や甲状腺の異常が原因である場合があります。
特に閉経以降は、女性ホルモンの減少によって血圧が高くなりやすくなるため、高血圧のリスクが高まります。
また、ホットフラッシュに加えて、脈が早くなる、手の振るえ、体重が減少するなどの症状がある場合は、甲状腺に異常がある可能性があります。
病気が慢性化してしまうおそれもあるため、症状が長く続く場合は婦人科で一度検査してもらうことをおすすめします。
ホットフラッシュの症状を緩和する方法
ホットフラッシュなどの更年期障害は女性ホルモンの分泌が減少することで発症しますが、体内の抗酸化力の低下と、精神的なストレスが自律神経の不調を強めることで、更年期障害の症状の重さに影響を与えています。
更年期障害を緩和するには、以下の3つの要素に対策をすることが大切です。
規則正しい生活・バランスの良い食生活を心がける
規則正しい生活習慣やバランスの良い食生活を心がけることで、女性ホルモンの分泌が減少したことによる自律神経の乱れを整えることが期待できます。
以下のことに気を付けて、更年期の症状が起こりにくい日常生活を送りましょう。
自律神経を整えるために気を付けること |
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・朝は太陽の光をしっかり浴びる ・朝食をしっかりとる ・手湯や足湯などで、習慣的に末端を温める ・腹巻をつけるなど、お腹を冷やさない習慣をつける ・ゆったりした入浴、ストレッチを習慣にする ・軽い運動を心がける |
更年期に摂取したい成分と食べ物
バランスの良い食生活が基本ですが、さらに、更年期障害の軽減が期待できる成分を意識して摂取することをおすすめします。また、辛味や酸味などの刺激が強い食事は自律神経が乱れる原因になるためなるべく控えると良いでしょう。
ホルモンバランスを整える成分 | ・大豆イソフラボン |
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精神的なストレスを軽減する成分 | ・GABA |
体内の抗酸化力を高める成分 | ・ビタミンE ・メロングリソディン |
ホルモンバランスを整える成分と食べ物
女性ホルモンが減少することで、自律神経が乱れ、ホットフラッシュなどの更年期障害の原因になります。紹介する成分を意識的に摂取することで、ホルモンバランスの乱れを改善しましょう。
大豆イソフラボンは、構造が女性ホルモンに似ており、女性ホルモンの代わりとして働くことから、更年期障害の軽減や骨粗しょう症の予防に有効とされています。
また、大豆イソフラボンから体内でつくられるエクオールという成分をサプリメントで摂取することでホットフラッシュの回数が減ったという研究結果も発表されています。
大豆イソフラボンを含む食べ物 | 大豆製品(納豆、豆腐、味噌 など) |
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精神的なストレスを軽減する成分と食べ物
精神的なストレスが更年期障害を悪化させる原因になります。可能な限りストレスの無い生活を送ることが大切ですが、以下の成分を摂取することでもストレスを軽減することができます。
GABAは、興奮を抑制する作用のある成分で、脳や脊髄に存在しています。
精神状態が不安定になると血中のGABAの濃度が低下します。
また、加齢によっても脳内のGABA濃度が低下し、特に女性の方が減少が激しいことも特徴です。
GABAを摂取することによって、一時的な精神的ストレスや、疲労感を緩和する機能があることが報告されています。
GABAを含む食べ物 | 漬物類(キムチ、たくわん など) |
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抗酸化力を高める成分と食べ物
抗酸化とは、活性酸素による細胞のダメージを防ぐことです。
活性酸素は、酸素をエネルギーとして利用する際に同時に生成される物質で、体内の免疫機能や感染防御の重要な役割を担う一方で、過剰になると細胞にダメージを与え、細胞が老化する原因になります。
活性酸素による細胞へのダメージを防ぐことを抗酸化作用といい、更年期の症状を悪化させないためにも大切な要素です。
ビタミンEは8種類の成分の総称で、体の免疫機能を高め、細菌やウイルスから体を守るためにも必要な成分です。
ビタミンEはビタミンCと一緒に摂取することで相乗効果を得ることができます。活性酸素によるダメージを防いだビタミンEを、ビタミンCがもう一度働けるように助けます。
ビタミンEを含む食べ物 | ・植物油(小麦胚芽油、ひまわり油、ベニバナ油 など) ・ナッツ類(ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、アーモンド) ・種子類(ひまわりの種 など) ・緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー など) |
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メロングリソディンは、品種改良されたメロンから抽出した抗酸化酵素を、小麦から抽出されたグリアディンという物質でコーティングした成分です。
メロングリソディンを摂取することで、細胞を酸化によるダメージから守り、老化を防ぐ働きがありますが、メロングリソディンはビタミンなどのように細胞の抗酸化力を補助する成分ではなく、体内にある3種類の抗酸化酵素の活性を高める作用を持っています。
メロングリソディンは、メロンから抽出した抗酸化酵素のため、サプリメントで摂取することができます。
メロングリソディンの摂取方法 | サプリメント |
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抗酸化作用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ホットフラッシュに効く漢方薬
ホットフラッシュなどの更年期障害は市販の漢方薬で対処することもできます。
漢方薬は特定の症状にアプローチするのではなく、体質に合わせて体全体のバランスを正常な状態に戻すという方法で治療します。体全体の状態が良くなることで、更年期の様々な不調の改善を目指すことができます。
成分 | 剤形 |
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当帰芍薬散(1/2量) | 錠剤 |
ホノミカイケツEX錠の主成分である当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)は、更年期障害や月経不順に効く漢方薬です。特に体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲れやすい方に向いています。
ホノミカイケツEX錠は、商品に添付してあるQRコードを読み込むことで薬剤師に無料で相談ができます。薬に関する疑問や心配事を薬剤師に相談できるため、安心して薬を使用することができます。
日常生活におけるホットフラッシュ対策
ホットフラッシュの症状があらわれたときは、体を冷やすことが大切です。
以下で紹介する方法で少しでも症状が和らげられるようにしましょう。
暑さ対策グッズを活用する
ホットフラッシュの症状があらわれたときは、保冷剤などで首回りやわきを冷やすと、サーっと涼しくなり効果的です。外出中は冷感スプレーや汗拭きシートなどの暑さ対策グッズを持ち歩くことをおすすめします。
着脱しやすい服を選ぶ
ホットフラッシュの症状があらわれたときに、すぐに脱げるように着脱のしやすい服を着るようにしましょう。服の中に熱がこもってしまうと体温が下がりにくくなってしまいます。汗を吸収しやすい素材の服や、通気性の良い服がおすすめです。
落ち着いて腹式呼吸する
ホットフラッシュによって多量に発汗すると、周りからの目も気になってしまいます。しかし、焦ってしまうほど体温が上昇し汗をかきやすくなってしまうため、まずは落ち着いて腹式呼吸(息を鼻から吸って口から吐く)をしましょう。