マイスリー(ゾルピデム)ってどれくらいで効く?効果時間は?
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薬剤師監修日:
マイスリー(ゾルピデム)の効果と薬の特徴について詳しく解説。また、マイスリーを使用する上での注意点もあわせて紹介します。マイスリーが効くまでの時間や効果時間についても解説します。

不眠症の薬は薬局で買える?
日本の成人の30%以上が入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠困難などいずれかの不眠症状に悩み、6~10%が不眠症と診断されているという報告があります。
睡眠薬は市販薬では販売されていません。市販されているものは睡眠改善薬といって、医療機関で処方される睡眠薬とは成分が異なります。
一時的な不眠であれば市販の睡眠改善薬を試してみても良いのですが、市販薬を使用しても症状が改善せずに生活に支障がでるなどといった場合は、医師に相談し適切な睡眠薬を処方してもらった方がいい場合もあります。
マイスリー(ゾルピデム)ってどんな薬?
処方薬の中でもマイスリー(ゾルピデム)は「超短時間型」と呼ばれるグループの睡眠薬で、主に寝付きの悪さ(入眠障害)に有効な薬ですが、熟眠障害・中途覚醒・早朝覚醒にも効果があると報告されています。
マイスリーの主成分は「ゾルピデム酒石酸塩」で、ジェネリック医薬品では成分名がそのまま薬品名として使用されています。
マイスリー(ゾルピデム)の効能・効果
マイスリー(ゾルピデム)は「非ベンゾジアゼピン系」というグループの睡眠薬です。
ゾルピデム酒石酸塩はGABAA系の抑制機構と呼ばれる脳内の興奮性の神経伝達をおさえるメカニズムに作用することで、催眠鎮静作用を発揮し、入眠を促します。
マイスリーは「不眠症」に効能・効果を示しますが、統合失調症および躁うつ病にともなう不眠症には、有効性を期待できません。
【効能・効果】
不眠症(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)
マイスリー(ゾルピデム)の特徴
臨床試験の結果、マイスリー(ゾルピデム)には以下のような特徴があることがわかっています。
就寝から睡眠開始までにかかる時間を短縮する
マイスリーは服用から1時間程度で体内血中での最高濃度に達します。寝付けるまでに時間がかかってしまうことが多い入眠障害の場合は、マイスリーが向いています。
深い睡眠が得られる時間を増加させる
マイスリーは、レム睡眠に影響することなく深い睡眠(ノンレム睡眠)が得られる時間を増加させる作用があると示されており、睡眠の質が高まることが期待できます。
催眠・鎮静効果があり筋弛緩が少ない
ほかの超短時間型の入眠剤の中には、催眠・鎮静作用以外に不安をおさえるような効果が含まれていることがあります。
しかし、マイスリーの場合は催眠・鎮静作用以外の不安をおさえるようなほかの効果は出にくくなっているため、主に寝付きの効果のみを期待することができます。
脱力・転倒を起こしやすい筋弛緩の副作用が少ないことも特徴です。
翌朝へ持ち越しにくい
睡眠薬の中には効果が長時間残ってしまい、眠気・ふらつき・頭痛・倦怠感などの症状が翌日の日中にも残ってしまうことがあります。
マイスリーは翌朝まで効果が残りにくいとされています。
薬の中断による悪化のおそれが少ない
睡眠薬の中には、突然服用を中止すると服用前より強い不眠が現れる「反跳現象(はんちょうげんしょう)」が出ることがある薬がありますが、マイスリーは反跳現象が比較的出にくい薬です。
ただし、長期間服用した後に中止すると反跳現象やイライラ感などの離脱症状がみられることがあるという報告もあります。
長期間服用してから中止・減量する場合は自己判断をせず、医師と相談した上で行いましょう。
マイスリー(ゾルピデム)が効くまでの時間と持続時間
マイスリーは服用後すみやかに吸収され、約40〜50分(使用後0.7〜0.9時間)後には血中の濃度がピークに達するため、効果を早く得ることができます。
作用がどのくらい持続するのかについては、正確にいえばその人の薬に対する感受性や体から排出される時間によって異なるため、一概にはいえません。
人によって時間に差が生じるため、服用中は集中力を要する機械の操作や車の運転は避けてください。
マイスリーは翌日への持ち越し(眠気、ふらつきなど)が比較的少なく、なかなか寝付けない入眠障害タイプの不眠の治療に向いています。
マイスリー(ゾルピデム)の服用で気をつけるべきこと
寝付きに悩む方にとってマイスリーは有効な薬であるといえますが、服用する際は以下のようなことに気を付けましょう。
服用タイミングは睡眠直前にする
マイスリー服用で「一過性前向性健忘(いっかせいぜんこうせいけんぼう)※」という副作用が出ることがあります。生活に支障が出るほか、事故や怪我などの危険性も高まるため、マイスリーを服用するのは必ず睡眠直前にしましょう。
※一過性前向性健忘とは:薬の服用後〜入眠までの間に起こった出来事や夜間に目覚めてしまった際に起こった出来事を覚えていない状態のことをいいます
むやみに長期連用しない
睡眠剤なしで寝付くことができる場合は、医師と相談し、減量や減薬を検討しましょう。
発生頻度は不明ですが、マイスリーの長期連用で依存が生じることもあるため、医師指導のもと、経過観察を十分に行いながら服用することを推奨します。
また、長期連用中に急激に減量したり突然中止したりすることで、イライラ感や不眠の離脱症状が起こる可能性も報告されています。
妊娠中の服用は注意
妊娠中のマイスリーの服用は、禁止ではないものの注意が必要となります。
マイスリーを妊娠中に服用した場合、薬物が胎盤を通過し、胎児へ影響を与えてしまうおそれがあるためです。
自己判断で妊娠中にマイスリーを服用せず、医師に妊娠している旨を伝えた上で判断を仰ぎましょう。
また、マイスリー服用中に妊娠に気付いた場合も、早めに医師に相談しましょう。
妊娠中もやむをえず睡眠薬を飲む必要がある場合には、睡眠薬の種類と量、不眠の重症度や不眠の原因となる病気、妊娠週数などを総合的に判断して胎児への影響を推測して服⽤継続するべきかどうかを医師が判断します。
授乳中のマイスリーの服用は注意
マイスリーを服用すると、薬物が母乳中へ移行することが報告されています。これによって乳幼児に嗜眠(しみん)という、強い刺激を与えないと覚醒しないほど眠ってしまう状態(覚醒後もまたすぐに眠ってしまう)になる可能性があります。
そのため、授乳中のマイスリーの服用は避けたほうがよいが、どうしても服用しなければいけない場合には授乳を避けましょう。
授乳中にマイスリーを服用したい場合にも、自己判断で服用せず、必ず医師に相談しましょう。
自動車の運転や機械作業をする人は注意
マイスリーは比較的、眠気の残りにくい睡眠薬ですが、薬の効果が翌日まで残ってしまい、注意力や集中力を低下によってぼーっとしてしまうといった報告もあります。
睡眠薬の服用中には、自動車の運転や危険な機械作業を控えるようにしてください。
市販で買える不眠症の薬はある?
マイスリーのような睡眠薬は2023年4月現在、市販されていません。
不眠症なのかわからない、睡眠薬を服用するのはちょっと怖いという方は、漢方薬や睡眠改善薬などでも寝付きの悪さを改善できることがあります。
マイスリー(ゾルピデム)に代わる市販薬があるかどうかについて、詳しくはこちらの記事で解説しています。
おわりに
マイスリー(ゾルピデム)は比較的速やかに効く薬なので、就寝の直前に服用するようにしましょう。
また、効果や副作用は個人差があるので、処方された薬を本人以外が服用するのはやめましょう。
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