妊娠中・授乳中の口唇ヘルペスに「アラセナS」は使える?【口唇ヘルペス市販薬】
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薬剤師監修日:
再発した口唇ヘルペスの治療薬「アラセナS」が市販されていますが、妊娠中や授乳中の女性は使えるのでしょうか。「アラセナS」の妊婦・授乳婦への影響と、授乳中の口唇ヘルペス治療中の注意点を薬剤師が解説します。

妊娠中・授乳中の口唇ヘルペスに市販薬は有効?
妊娠中や授乳中は、口唇ヘルペスが再発しやすいといわれています。
その原因は、免疫力の低下です。
妊娠中は、お腹の中の赤ちゃんを異物と判断しないために、免疫力が下がります。
そして授乳中は、環境の変化や体力の消耗で免疫力が低下しがちになります。
その結果、体内に潜伏していた単純ヘルペスウイルスが活性化し、口唇ヘルペスが再発してしまうのです。
では、妊娠中・授乳中の口唇ヘルペスの再発に、市販薬である「アラセナS」は使用できるのでしょうか?
「アラセナS」や、同成分の医療薬「アラセナ-A軟膏3%」の添付文書を元に、妊娠中や授乳中の使用が与える影響についてみていきましょう。
「アラセナ-A軟膏3%」の妊婦への影響
添付文書によると「アラセナ-A軟膏3%」の妊娠中の使用に関しては安全性が確立されていません。
その上で「アラセナ-A軟膏3%」を使う危険性よりも、薬を使って治療するメリットの方が大きいと判断された場合のみ処方されます。
つまり、妊娠中に口唇ヘルペスの治療薬「アラセナ-A軟膏3%」を使う場合には、医師の診断が不可欠です。
アラセナSは、アラセナA軟膏と同じ成分を同量含んだスイッチOTC薬というタイプの市販薬です。
下記の表の通り、添加物に多少の違いはあるものの、妊娠中の女性や赤ちゃんに与える影響は、アラセナA軟膏とほぼ同じと考えられるでしょう。
販売名 | 成分と量 | 添加物 |
アラセナ-A軟膏3% | ビダラビン (1g中30mg) |
白色ワセリン |
アラセナS | ビダラビン (1g中30mg) |
ワセリン 流動パラフィン |
なおアラセナSの添付文書では、「使用前に相談が必要な人」として、妊娠中の人や妊娠の可能性がある人が挙げられています。
次の人は使用前に医師又は薬剤師にご相談ください
妊婦又は妊娠していると思われる人。
(薬の使用には慎重を期し、専門医に相談して指示を受ける必要があります。)
口唇ヘルペス自体が、おなかの赤ちゃんに悪い影響を与える危険性はありません。
自己判断での薬の使用は、絶対に避けましょう。
参照:アラセナ-A軟膏3%添付文書
参照:アラセナS添付文書
アラセナSの授乳中の使用について
「アラセナ-A軟膏3%」の添付文書には、授乳中の使用に関して具体的なことは記載されていません。
では問題なく使用できるかというと、そうではないので注意が必要です。
「アラセナS」の添付文書では、授乳中の使用も妊娠中と同様に、事前の相談が必要とされています。
次の人は使用前に医師又は薬剤師にご相談ください
授乳中の人。
(本剤と同じ成分を動物に注射したときに乳汁への移行が確認されています。)
口唇ヘルペス自体が母乳に影響を及ぼす危険性はありません。
急いで治療しようと独断で薬を使用せず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
赤ちゃんへ感染を広げないように注意!
授乳中の口唇ヘルペスで注意したいのは、母乳による影響よりも日常生活における赤ちゃんへの感染です。
口唇ヘルペスの原因である「単純ヘルペスウイルス」は非常に感染力が強く、スキンシップや食器、タオルの共用でもうつってしまいます。
そして妊婦同様、新生児や乳児も「アラセナ-A軟膏3%」の使用における安全性が確立されていません。
薬を使用する機会をできるだけ避けるよう、感染拡大には充分注意しましょう。
さいごに
スイッチOTC薬である「アラセナS」は、再発した口唇ヘルペスに効果を発揮します。
しかし妊娠中や授乳中といったデリケートな時期には、薬の使い方にも慎重にならなければなりません。
できるだけリスクを軽減して口唇ヘルペスを治療をするには、早めの対処がカギになります。
口周りがピリピリとする初期症状がみられたら、早急に医師または薬剤師に相談しましょう。
正しく治療を行えば、10~14日程度で治すことができます。
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